2021年のアキバ自作街は「警戒」に終始した:アキバ2021年まとめ【前編】(2/4 ページ)
コロナ禍による対面営業の難しさと、半導体不足による慢性的な供給の不安定さ。そして、熱狂的なマイニングブームによる特定パーツの払底。1年を通して警戒すべきことが多かった2021年のアキバ自作街を振り返りたい。
3年振りのマイニングブーム そして集団転売対策への苦慮
2021年から際立った動きとしては、マイニングブームによるグラフィックスカード需要の急騰がある。マイニング効率の良いグラフィックスカードを使うと暗号資産が低コストで安定して採掘(マイニング)できるということで、過去にも2017年の夏頃や2018年初旬にブームが起きている。しかし、2021年のブームはそれまでとは一線を画す深刻な事態となった。
2020年から急騰していたビットコインの値動きが口火となり、2021年初には「GeForce GTX 1660」や「同GTX 1660 SUPER」、「Radeon RX 5600 XT」搭載カードなどのミドルレンジが、ハイエンドではRadeon RX 6000シリーズや、2020年9月に販売されてから常に供給不足だった「GeForce RTX 3080」搭載カードが狙い撃ちされて、複数のショップの売り場から姿を消している。
1月20日に米国の新政権が発足したことでレートとともに人気のGPUも変化していったが、人気のGPUが払底するとその周辺が買われ、事態は一向に収まらない。そして、2月頃には3万円台〜7万円台(登場時/税込み、以下同様)までのグラフィックスカードがほぼ全て街から出払うという異常な状況に陥った。
背景には、組織だってマイニングする複数のグループが長期にわたって購入するようになった他、品薄に乗じて希少化したグラフィックスカードを転売する目的で買い漁る層が少なからず生じたことが挙げられる。そこに、半導体不足とコロナ禍で不安定になった流通による慢性的な供給不足も重なっている。そして、同時に価格の高騰も招いた。
ショップ側でも1月の時点で、多くが「1グループ1枚まで」の購入制限をかけていたが、事態の改善には至らず。4月には「転売目的お断り」と告知する例や、過去1カ月系列店でグラフィックスカードを購入していないことを条件としたドスパラ秋葉原本店のように、より厳しい条件を付ける例などが見られるようになった。
この状況を落ち着かせる決定打となったのは、マイニング効率を意図的に落とした「Lite Hash Rate(LHR)」版カードの登場だ。6月3日に売り出された「GeForce RTX 3080 Ti」搭載カード以降、各社のGeForce RTX 3000シリーズはLHR版に置き換わっていった。次第にマイニングブームの対象から外れていき、夏頃には棚の状況もかなり改善したように見えた。
しかし、「新品中古問わず、非LHR版の在庫を確認している人は今も見かけます」(某ショップ、8月)とのコメントがあるように、いつ再燃してもおかしくない状態が続いているという。実際、8月末に登場した「Radeon RX 6600 XT」搭載カードはマイニング効率の良さからすぐに品薄となった。マイニングへの警戒。この傾向は年末まで続いている。
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