2021年のアキバ自作街は「警戒」に終始した:アキバ2021年まとめ【前編】(3/4 ページ)
コロナ禍による対面営業の難しさと、半導体不足による慢性的な供給の不安定さ。そして、熱狂的なマイニングブームによる特定パーツの払底。1年を通して警戒すべきことが多かった2021年のアキバ自作街を振り返りたい。
LHR版GeForceとともに「NVIDIA A4000」が存在感を放つ
新しいGPUの登場の軌跡を追いかけても、2021年はマイニングと完全に切り分けるのが難しい。
上半期に目立っていたのは2月末に登場した「GeForce RTX 3060」だ。2020年12月に発売されたRTX 3060 Tiの下位にあたるGPUで、意図的にマイニング効率を下げた仕様としていることから、発売当初は他のカードが売り切れる中でRTX 3060カードだけ在庫がそろっている光景が各店で見られた。しかし、マイニング制限を解除するプログラムが出回ったため、この差異化もすぐに瓦解してしまう。
解除不能なLHRが実装されるようになったのは、前述のGeForce RTX 3080 Ti搭載カードが登場してからだ。同GPUが登場した2週間後には「GeForce RTX 3070 Ti」搭載カードも売り場に並ぶようになり、GeForceのハイエンドクラスの供給量と選択肢の増加に貢献するようになる。当時あるショップは「組織的な転売ヤーが買わなくなったのが大きいかなと思います。発売時に並ぶ人は減りましたが、純粋にその人数分が売れている感覚です。正常な売れ方ですね」と話していた。
一方で、NVIDIAは“非LHR”のヒットGPUも送り出している。7月に登場したプロ向けGPUである「NVIDIA RTX A4000」で、価格は13万円弱だ。同じ頃に価格が高騰しきっていたGeForce RTX 3070搭載カードは10万円〜14万円となっており、プロ向けながらコンシューマー向けにも匹敵するコストパフォーマンスの高さも相まって、大きな注目を集めた。
当時オリオスペックは「いろいろなベンチマーク結果でゲームでも使えると評価されているみたいで、法人より個人に売れている印象です」と語っている。同様の反応は12月に登場した「NVIDIA RTX A2000」(6万円台後半)でもあり、マイニング需要も重なって瞬く間に売り切れている。
対するRadeon陣営は、3月に投入した「Radeon RX 6700 XT」搭載カードを皮切りに、8月に前述のRadeon RX 6600 XT、10月に「Radeon RX 6600」とRadeon 6000シリーズを厚くしている。3GPUともマイニング効率が注目されて、登場してから過熱気味といえる人気を得ている。
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