スムーズに動くが注意点あり! Armベースの「Windows 開発キット 2023」を“実用”する(Zoom編)(3/3 ページ)
Microsoftの「Windows 開発キット 2023」は、Armアーキテクチャ向けの64bitアプリの用意されたデスクトップPC……なのだが、“普通に”使うことはできるのだろうか。今回は、Zoomアプリを使ってWeb会議をしてみようと思う。
Arm版アプリでも「バーチャル背景」はバッチリ動く!!
結論からいうと、現行のArm版Windows向けZoomアプリではバーチャル背景機能をしっかりと使える。背景ぼかし機能も、特にカク付くことなく利用可能だ。
「リリースノートに記載がないから使えないままなのでは……?」という不安は杞憂(きゆう)に終わったことになる。
CPUの負荷はどのくらい?
先述の通り、バーチャル背景機能や背景ぼかし機能は、それなりにCPUパワーを使う。Windows 開発キット 2023が備えるSoC「Qualcomm Snapdragon 8cx Gen 3」は、CPUコアを8基搭載している。そこそこパワフルなはずなのだが、どうだろうか?
まず、普段のZoom会議を想定し、Zoomアプリとは別にEdgeで「Google カレンダー」「Google スプレッドシート」と他に3つのタブを開いた状態で、メモ用に「メモ帳」を同時に起動してみた。
Edgeで新しいタブを開くと、一瞬CPU負荷が高まるものの、基本的にはCPU使用率は7~8%で推移する。Web会議は全く問題なさそうである。
相手が画面共有すると、開始時にCPUへの負荷が高まる。これはWindows 開発キット 2023でも同様なのだが、いったん共有が始まってしまえばCPUの負荷は7~8%で安定する。こちらも問題ない。
逆に、自分が画面共有するとどうなるだろうか。自分が「ホスト」となるため、画面共有の開始時はもちろん、共有対象のウィンドウのサイズを変えるとCPUへの負荷が高まる。ただ、ウィンドウの表示内容を更新しない限りは、CPU負荷はやはり7~8%で安定する。
画面共有を活用しても、思った以上に快適に使えることはある意味で“収穫”だった。
業務用端末としても十分に活用できそう
ネイティブ動作するArm版アプリを使ったせいもあるが、Windows 開発キット 2023は開発業務をこなしつつ、Web会議にも活用できるパフォーマンスを備えていることが分かった。これだけキビキビ動くなら、純粋な業務用端末として導入しても良さそうである。
ただし、Webカメラは外付けで別売であることに注意が必要だ。もっとも、一般的なUSB接続のWebカメラなら、特別なデバイスドライバなしでも動くので、ドライバー回りの心配は不要である。
ノートPCと比べると可搬性には劣るが、社内据え置きの端末と考えれば省スペースで、これだけのパフォーマンスを発揮できると考えると、非常に強力で魅力的な選択肢ではないだろうか。
関連記事
x64アプリはしっかり動く? 使い心地は? Microsoftの「Windows開発キット 2023」を試してみよう!(後編)
Microsoftが10月24日(米国太平洋時間)にリリースした「Windows 開発キット 2023」は、Armアーキテクチャ向けのWindows 11に対応するPCとしては比較的手頃な価格である。この記事では、筆者が入手した開発キットを使って、x64アプリの動作を検証していく。果たして、実用的なのだろうか……?「Arm版Windows 11」を試してみたい! ならMicrosoftの「Windows開発キット 2023」はどう?(前編)
Microsoftが10月24日(米国太平洋時間)にリリースした「Windows 開発キット 2023」は、Armアーキテクチャ向けのWindows 11に対応するPCとしては比較的手頃な価格である。Windowsにおける「非x86CPU」の対応を振り返りつつ、この開発キットがどのようなものなのかチェックしていこう。Armアプリの開発を促進――米Microsoftが開発者向け小型PC「Project Volterra」を発表 2022年内に発売予定
Arm版Windows向けのアプリ開発を促進すべく、MicrosoftがSnapdragon搭載の小型デスクトップPCの開発を表明した。詳細は後日発表のようだが、2022年内の発売を予定しているという。ついにSnapdragonがPC向けWindows 10をサポート 新Surfaceの布石か?
Windows 10 Mobileの不調が伝えられる中、Qualcommの次世代SnapdragonプロセッサがPC向けWindows 10の動作をサポートすることが明らかになった。「Windows RT」、「8」とは何が違うんでしたっけ?
忘れていませんか? 覚えていますか? Windows RT。今回は改めて「Windows RTって何だっけ?」を説明する。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.