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2024年のWindows、AI時代を迎えた2つの方向性 “Windows 12”はハードウェアで進化するWindowsフロントライン(2/3 ページ)

Windows 10 EOSが迫ってくる中で、Windows 11の次期バージョンはどうなるのだろうか。“Windows 12”となるのか、Copilotがどのように絡んでくるのか。考察してみた。

「Windows 12」と「Copilot」

 前段の話題にも懲りずにWindows 12の名称を使用しているが、Microsoftから正式発表があるまでは次期“大型アップデート”としての仮名称として「Windows 12」を便宜的に継続使用していく。

 仮にWindows 11の名称のままで24H2に相当するアップデートが提供されたとしても、前述のようにOSコアの部分が大きく変化している可能性が高く、その場合はアップデータのサイズも大規模になるとみられ、結果として本来の意味での“大型アップデート”に近いものになるだろう。

 話は冒頭に戻るが、Windows 12における機能強化の“2つの方向性”について、ここからは考えていく。

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 まず1つめだが、WindowsのUIはよりAIに近付いたものとなる。より具体的には「Copilot」のさらなる統合だ。Directions on Microsoftでメアリー・ジョー・フォリー氏が触れているが、Microsoftとして「AIによるUIの統合」を進める方針を明確に示している。

 2023年12月7日(米国時間)に開催されたBarclays Global TMT Conferenceにおいて、米Microsoftでエクスペリエンス+デバイス担当EVPのラジェシュ・ジャー(Rajesh Jha)氏が、UIの将来の質問について次のようにコメントしている。

Raimo Lenschow: Yes. Since you're working on the experience side for Microsoft, how will I need to reimagine my UI going forward? Is there a classic way a good generative AI system should be more interactive? What's the work that you're doing there?

Rajesh Jha: Super good question. For 35 years, computing hasn't changed in terms of the way, you're on a phone, you swipe, on a PC you use a keyboard and mouse. And the operating system does a very basic job of abstracting away the hardware and allowing you to get to an application. That's going to change.

And so the way you'll see us integrate the Copilot, for example, in Windows, and we think that the lines between the shell, search, browser, Copilot is going to blur because you enable something that understands your intent at a higher level with natural language, it can take a lot of the grunge out for you. The application relationship to the operating system to the Copilot is going to evolve rapidly, and you will start to see us do this stuff by bringing the Copilot into Windows. It's going to be very exciting. But I do think it's a new paradigm for user experiences.

 Windowsが登場して既に35年以上の月日が経過しているが、結局のところ基本的なUIは何1つ変わっておらず、PCだろうがスマートフォンだろうが、異なる“入力方法”を通じて作業を行っているに過ぎない。

 これが“Copilot”のような仕組みがやってくることで、OSの“シェル”/検索窓/ブラウザといったインタフェースに存在する垣根を取り払い、自然言語を用いてより高いレベルでの操作が可能になるというのがジャー氏の意見だ。

 つまり、UIの進化に向けてどんどんCopilotを使ったWindowsを含む周辺の機能統合を進めていく意向を示している。AIがあくまで“作業補助”だった領域を越え、ブレイクスルーとなる技術が登場したことで、よりユーザーへと寄り添ってくる存在になったというわけだ。

 ボーデン氏は先の記事の中で「Advanced Copilot」というキーワードを出しているが、Windowsの“シェル”そのものがAIに補助される形でバックグラウンド動作を続け、検索や各種作業など、その内容を理解して率先的に行動できるようになるという関係者の話を伝えている。

 このあたりのアイデアはジャー氏の発言とも符合しており、おそらく“Windows 12”における目玉機能の1つとなる可能性が高い。


Copilot(左/旧Bin Chat)とCopilot in Windows(右)

 これは個人的意見だが、UIやUXの将来は「機械がユーザーの特性を理解し、率先してアクションを起こしてくる」という、一種の“先読み”的な要素が重要だと考えている。

 正直なところ、現状のGPTなどの大規模言語モデル(LLM)では厳しいところだが、生成AIがプロンプト・プログラミングの“くびき”から解放されたとき、初めてUIのステージが一段階上がったといえるだろう。

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