マウスコンピューターの新拠点がオシャレ 広島にサービスセンターを設置した理由:メーカー訪問(5/5 ページ)
マウスコンピューターの「広島サービスセンター」は、同社製PCのサポートセンターであり、コールセンター機能も内包している。その実際はどうだったのか。プレスに初公開された同センターを見ていこう。
目標値は超えるもゴールはまだまだ サポート強化に向けた取り組み
続いては、CCの稼働状況だ。現在のCCへの問い合わせ流入比率は約半数が電話で、3割ほどがメールやLINE、残りの約16%がAIチャットボットとなっている。軣氏は「AIチャットボットの比率がまだまだ低い」と指摘し、「今後はメールやLINEも含めた問い合わせを増やし、電話の比率を下げていきたい」という。
CCのパフォーマンスは、2023年度(進ちょく中)には受電率が88.4%、平均応答率が61秒、一時解決率が19.8%、アンケートスコアが89.1点となっている。これらはいずれも2022年度の実績を上回っているものの、目標値にはわずかに届いておらず、いずれも現状に満足することなく改善を進めていきたいと述べた。
その上で、2024年度中にはCCにAI音声認識システムを導入し、オペレーターの負担軽減に結びつけたいという。
SCでは、3年間の標準無償保証、72時間以内の修理完了、5年間の修理対応、法人サポートメニューの充実という4つの柱を掲げて運営している。
修理の入荷状況は、個人が55%、法人が45%で、そのうち有償修理が58%を占める。入荷エリアとしては全体の3分の1ほどが西日本エリアとなっており、そちらを広島SCが請け負っていくことになる。
2023年度(進ちょく中)のSCの実績は、入荷から修理を完了し出荷するまでの平均修理納期が70時間、5年間の修理可能率が99%、3カ月以内に不具合が発生する際の返却率が5.1%だったという。
5年間の修理可能率は目標値をわずかに下回っているが、他は目標値を大きく上回っている。ただ平均修理納期については、2022年度の60時間からかなり伸びている。これについて軣氏は、修理品質を高めるためにQCなどに時間をかけるようになったことで時間が延びていると説明した。それによって再返却率が低下しており、ユーザーにとっては修理品質の向上というメリットにつながっていると指摘する。
修理メニューとしては通常修理に加えて、出張修理や持ち込み修理、パーツ発送などのさまざまなメニューを用意する。また法人向け購入前サービスとしては、導入支援サービス、企業ロゴなどのカスタマイズサービス、バルク配送サービスなどを実施しているが、「ご相談いただければ、だいたいのことは対応できる」(軣氏)という。
法人向けの購入後サービスとしては、下取りサービスやPC買い取りサービスを実施しているが、買い取りサービスについては、2024年度には個別見積もりで買い取りが行える仕組みを構築する計画とのことだ。
他にも、自営保守契約という制度も実施している。こちらは研修を受けた上で認定した販売店が修理を行えるという制度で、サービスセンター経由よりも短時間に修理対応ができるという観点から、今後全国展開を推進したいという。
今後のサービスセンターの取り組みとして、広島と埼玉の間での連携を強化や、修理スタッフの交流や勉強会などによる情報共有、品質ミーティングを通じた業務改善を行うことでサービスの品質を向上することを挙げた。また、「修理品整理カードのペーパーレス化や、法人向けのオンサイト修理などにも取り組んでいきたい」(軣氏)とした。
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