「マウスコンピューターはPCの会社である」 小松社長が創業30周年を迎えて断言する理由:IT産業のトレンドリーダーに聞く!(1/3 ページ)
不安定な世界情勢が続く中で、物価高や継続する円安と業界を取り巻く環境は刻一刻と変化している。そのような中で、IT企業はどのようなかじ取りをしていくのだろうか。大河原克行氏によるインタビュー連載の第11回は、マウスコンピューターの小松社長だ。
ポストコロナウイルス時代となったが、不安定な世界情勢や物価高、円安の継続と業界を取り巻く環境は刻一刻と変化している。そのような中で、IT企業はどのようなかじ取りをしていくのだろうか。各社の責任者に話を聞いた。連載第11回はマウスコンピューターだ。
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1993年4月に創業したマウスコンピューターは、この2023年度(2023年4月〜2024年3月)を創業30周年イヤーに位置づけている。「新しいこと、マウスから。」のメッセージのもと、1年をかけて、30件の新たなことに挑戦を継続中だ。
2024年3月までには、全ての挑戦が出そろうことになる。コーポレートスローガンを、これまでの「期待を超えるコンピューター。」から「期待を超えるパソコン!」へと変更し、自らがPCメーカーであることをより鮮明にした。
こういった30周年を迎えた同社の取り組みについて、小松永門社長に聞いた。インタビュー前編では、30周年となった2023年度の取り組みと、30周年の節目において新たな挑戦となったゲーミングPC「NEXTGEAR」の狙い、そして、新コーポレートスローガンの意味について聞いた。
- →【後編記事はこちら】ChromeOS採用モデルも新たに投入 創業31年目を前に挑戦を続ける小松社長のこだわり
創業30周年の記念イヤーに30の新挑戦を実施
―― 2023年4月に創業30周年を迎えた際に、この1年間を「挑戦」する1年に位置づけました。「挑戦」はできていますか。
小松 この1年は、新たなことに挑むことができた1年になっています。重要なのは、これらの挑戦がトップダウンで進んでいるのではなく、現場の社員たちが中心になって進めているという点です。
私が言ったのは、「30周年なので、30個の新しいことに挑戦するぞ!」というところまでで(笑)、後は社員が考えて実行してくれています。社内を横断するプロジェクトチームが中心となってアイデアを出しますが、私の立場から見て、もっとアイデアを膨らませられそうだなと思える部分にだけ、口を出しています。
また、これまでにも検討はしてきたものの、なかなか実行に移せなかったことを、30周年に合わせた挑戦の中で実行に移すこときができたものもありました。
―― 30周年にあわせて、「新しいこと、マウスから。」のメッセージを打ち出しました。具体的にはどんなことに取り組みましたか。
小松 2023年の4月には、商品の選びやすさや問い合わせ時の利便性向上を目的に、製品名を一新したり、PC購入者への送料無料や3年間の無償保証サービスを標準化したりといったことを行いました。ほぼ毎月のように新たな挑戦を行いましたが、基本的な考え方は、直接お客さまのベネフィットにつながることをやっていこうということです。
―― 例えば、技術説明ページの公開を行いましたね。製品仕様には掲載していない技術説明や製品寸法図、さらには採用している部材のメーカー名や型番などを公開することになっています。これは、どのような狙いがあるのでしょうか。
小松 当社のPCを購入していただく際に参考になるように、製品に関する情報をもっと開示していきたいという姿勢がベースにあります。これまでの仕様の公開では、メモリの容量は開示していても、メーカー名や型番などは公開されておらず、これがどういう素性のものなのかが分からないままに購入をしていただいていました。
もちろん、当社が責任を持って採用しており安心して使っていただけるのですが、自作PCユーザーや企業の導入担当者にとっては、より詳細な情報を知りたいという声があったのも事実です。それならばより詳細な情報を公開することで、もっと安心して使ってもらえるという判断から実施することにしました。食品の成分表示みたいなものですね(笑)。
また、この情報をさらに進化させて、どういう経緯で開発されたものなのか、なぜこれを採用したのか、どんな評価をしたのかといったところまでを紹介し、当社の開発者の思いも届けられるようにしたいと考えています。
開発者は地道な努力をしながら徹底した評価を行い、部品メーカーとも何度もやり取りをして、最適な部品を採用していますが、その部分は、外からはなかなか見えません。お客さまに伝えたい部分でもありますし、購入時の参考にしてもらうという点では、もっと表に出していってもいい部分だと思っています。
ただ、ここまでやるには、この1年だけでなく、もうちょっと期間が必要ですね。これも、お客さまと、もっと近い関係でいたいという姿勢がベースにあります。
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