東芝、日本MSを渡り歩いてきたNECPC/レノボの檜山社長が語る 国内トップPCメーカーの強みを生かす経営術:IT産業のトレンドリーダーに聞く!(1/3 ページ)
世界情勢の不安定化や物価の高騰、そして継続する円安と業界を取り巻く環境は刻一刻と変化している。そのような中で、IT企業はどのようなかじ取りをしていくのだろうか。大河原克行氏によるインタビュー連載の第8回はレノボ・ジャパン/NECパーソナルコンピュータだ。
コロナウイルスの流行から世界情勢の不安定化、製品供給網の寸断や物流費の高騰、そして急速に進む円安と業界を取り巻く環境は刻一刻と変化している。そのような中で、IT企業はどのようなかじ取りをしていくのだろうか。各社の責任者に話を聞いた。連載第8回はレノボ・ジャパン/NECパーソナルコンピュータだ。
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2022年10月に、檜山太郎氏がレノボ・ジャパンおよびNECパーソナルコンピュータ(NECPC)の社長が就いてから、ちょうど1年が経過した。もともと同氏は東芝でPC事業に携わり、欧米での事業成長に貢献。2017年からは日本マイクロソフトでコンシューマー事業およびコマーシャルパートナービジネスを統括し、その後、執行役員常務として、同社クラウド事業の成長をリードした人物だ。
ハードウェアとソフトウェア、国内と海外、コンシューマーとコマーシャルでの経験を持つユニークな存在でもあり、それが今、国内ナンバーワンシェアのPCメーカーであるNECレノボ・ジャパングループの経営に生かされている。
この前編では、トップシェアPCメーカーの社長の立場から見た日本のIT産業の課題、そして、檜山社長の経営術などについて聞いた。
国内No.1シェアのレノボグループをどう生かすのか
―― レノボ・ジャパンおよびNECPCの社長にして、約1年を経過しました。この間、どんなことに取り組んできましたか。
檜山 振り返ってみると、レノボグループ自身が、この1年間で大きく変化しています。レノボグループは、日本において、LAVIEやVersaPro、MateといったNECブランドのPC、ThinkPadをはじめとするLenovoブランドのPCの他に、タブレット/サーバ/エッジコンピュータ/IoT/ネットワーク機器、さらにモトローラのスマホまで、さまざまなデバイスを市場に投入しています。
また、LIFEBOOKやESPRIMOなどを展開する富士通クライアントコンピューティング(FCCL)もレノボグループの1社です。
これまでは、これらの企業やブランドが独立した形で、事業成長を目指してきました。この姿勢は変わらないのですが、それに加えて、2023年4月からスタートした新年度は、レノボグループ全体の総合力をどう生かすかという議論が活発化しています。
私の仕事も2023年3月までは、それぞれのデバイスをいかに拡販するかという点にフォーカスしていましたが、2023年4月以降は一番いい製品を、最も高いコンスパフォーマンスによって提供するという姿勢をベースにし、これをお客さまに使っていただいた上で、いかに付加価値を提供し、お客さまのビジネスにおいて成果をあげることに貢献できるか、といった姿勢を強化しています。
そこには、レノボグループの総合力が生かされることになります。
―― これまでにも「One Lenovo」という言葉を使ってきた経緯がありますが。
檜山 言うのは簡単ですが、実現するのはなかなか難しいものです。One Lenovoとして何が提供できるのか。そこにこれまで以上のチャレンジをしています。これは、私たちの意思ということだけでなく、お客さまから求められていることだという実感があります。
コロナ禍では、テレワーク需要の盛り上がりやGIGAスクール構想による1人1台のデバイス整備、サプライチェーンの混乱による部品調達の遅れなどがあり、いかに早く、プロダクトを提供するかという点が重視されましたが、生活環境や社会環境が変化してデバイスが行き渡ると、今度は、どう活用するかという点に注目が集まり、IT産業全体が、それに応えていくフェーズに入ってきたと考えています。
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