不登校児童生徒をメタバースで救えるか? レノボが大阪教育大学とタッグを組んだ理由(2/4 ページ)
レノボ・ジャパンと大阪教育大学が、教育と研究などの分野で協力し、教育課題の解決等を目的とする包括提携協定を結んだ。調印式は、開設されたばかりの大阪教育大学天王寺キャンパスにある「みらい教育共創館」で実施され、「1人も取り残すことのない教育」支援の方法が提示された。
不登校の児童/生徒を支援するメタバースとは?
LMSは、対面学習の難しい児童/生徒、あるいは日本語指導の必要な児童/生徒が、自分に合わせた形で学びの機会を得られるようにすることを目的に開発された。もちろん、ターゲットには不登校の児童/生徒も含まれる。
GIGAスクール構想で導入された学習用端末でも利用しやすいように、専用アプリを用意せずともWebブラウザさえあればアクセスできるようにしたことも特徴だ。
不登校の児童/生徒は、LMSのメタバース空間でアバターとして活動できる。空間には、学習を行う「教室エリア」、声が外に漏れない「テントエリア」、支援員と会話できる「会話エリア」(詳細は後述)が設けられており、学びの場だけでなく、相談体制も設けられ、“自分の居場所”を見つけられるようにデザインされている。
メタバースの構築では大日本印刷(DNP)と、学習コンテンツ作成では城南進学研究社、すららねっと、ECCの3社と、ICT支援員の手配ではPCテクノロジーと連携し、不登校の児童/生徒の支援を円滑に行えるようにした。
LMS空間で児童/生徒から相談を受けたり話し相手になったりする「オンライン支援員」は、実際に不登校の児童/生徒のサポートについて一定の実務経験や知見/資格を得た上で、キッズドアによる研修を受けた主婦が派遣される。
不登校となっている児童/生徒は、アバターとなることで話しやすくなり、心に寄り添う支援員が話し相手となることで、社会との接点を持ちづらいまたは築きづらいと感じていても社会とのつながりを見出し、社会へ出ていく際のハードルを下げられる――そういう寸法だ。
LMSは、2023年9月から東京都が5区3市と共同で実施した「東京都VLP(バーチャル・ラーニング・プラットフォーム)事業」に採択されており、既に一定の成果が出ているという(参考リンク)。
レノボ・ジャパンは、東京都VLP事業で得られた成果の発信をみらい教育共創館から行う他、同施設で有識者を交えた意見交換会を開催することなどを計画しているという。LMSを活用した学習支援を、東京にとどまらず大阪など全国に広げることで、家から一歩も出られないような児童/生徒も含めて、誰もが学びの機会を得られるようにしたいと意気込んでいる。
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