Core Ultra(シリーズ2)にデスクトップ/ハイエンドモバイル向けモデルが登場! これまでのIntel製CPUとの決定的な違い(2/5 ページ)
Intelが、Core Ultraプロセッサ(シリーズ2)に高性能デスクトップ向けの製品(開発コード名:Arrow Lake-S)を追加する。同時に、高性能モバイル向け製品(開発コード名:Arrow Lake-HX/H)が追加される
複数のタイル(ダイ)をForveros 3D技術でパッケージング
Arrow Lakeの基本開発コンセプトは「エンスージアストレベルの高性能を低消費電力で」だったそうだ。結果として、Arrow LakeはCoreプロセッサ(第14世代)比で同性能時の消費電力を最大30%削減したという。
デスクトップの最上位モデル同士で比較すると、先代の「Core i9-14900K」が24コア32スレッド、「Core Ultra 9 285K」が24コア24スレッドという構成と8スレッドも少ない。にも関わらず、マルチコア(マルチスレッド)動作時の実効性能はCore Ultra 9 285Kの方が最大10%高いそうだ。内蔵GPUもより新世代のものを搭載したので、グラフィックス性能も従来よりも改善したとのことだ。
Core Ultra 200S/200HXプロセッサにおける各タイル(ダイ)の製造プロセスは以下の通りだ。
- Computeタイル:TSMC N3B(3nm)
- GPUタイル:TSMC N5P(5nm)
- SoCタイル:TSMC N6(6nm)
- I/Oタイル:TSMC N6
- ベースタイル:Intel 1227.1(22nm)
Intelは異なるプロセスで作られた複数個のタイルを1パッケージに収める3D積層技術「Foveros 3D」を適用して、これらをつなぎ合わせている。
Arrow Lakeに搭載されているタイルは、CPUコアをまとめた「Computeタイル」、追加のPCI Expressバス(レーン)やThunderbolt 4といった入出力インタフェースをまとめた「I/O(入出力)タイル」、グラフィックス機能をつかさどるGPUコアそのものを備える「GPUタイル」、そして各種タイルをつなぎ合わせるハブとなる「SoCタイル」の4つだ。これらはつなぎ合わせるための配線を備える「ベースタイル」の上に実装されるが、そのつなぎ合わせに使われるのが、Foveros 3Dとなる。
それぞれのタイルは、個別の動作クロック/電圧で動作している。また、Computeタイルに関してはパフォーマンスコア(Pコア)と高効率コア(Eコア)で基本クロック“も”異なるというのが興味深い。
先述の通り、Core Ultra 200SプロセッサとCore Ultra 200HXプロセッサは基本パッケージは共通だ。搭載先に合わせて動作電圧/クロックの他、外観にも違いがあるものの、チップとしての“素性”は同じだということになる。
そうなると「では、Core Ultra 200Hは何が違うのか?」と疑問に思うところだが、Intelは「詳細の明言は避けたい」としつつも、I/OタイルとGPUタイルに違いがあるとしている。
Core Ultra 200HプロセッサのGPUタイルは、Core Ultra 200S/200HXプロセッサの2倍となる8基のXeコアを搭載している上、Core Ultraプロセッサ(シリーズ1)では省かれていた「Xe Matrix Engine」(XMX:推論プロセッサ)も“復活”を遂げている。
XMXがあるということからも察することができる通り、Core Ultra 200HプロセッサのGPUタイルは、設計的にはモバイル向け独立GPU向けGPUコア「ACM-G11」(※1)に極めて近い設計になっていると思われる。このあたりの詳細は後述する。
(※1)Intel Arc A350M/A370M Graphicsで使われた
関連記事
IntelがNPUを統合したデスクトップ向け「Core Ultra 200Sプロセッサ」を発表 アンロック版は米国で10月24日発売
Intelの「Core Ultraプロセッサ」に、デスクトップ向けモデルがついに登場する。まずアンロック対応版が5製品発売される予定で、2025年第1四半期には同アーキテクチャを採用したモバイル向け製品もお目見えする予定だ。「Core Ultraプロセッサ(シリーズ2)」は驚きの内蔵GPU性能に メモリ帯域が当初発表から“倍増”
IntelがLuna Lakeこと「Core Ultra 200Vプロセッサ」を発表した。Core Ultraプロセッサ(シリーズ2)のモバイル向けモデルという位置付けだが、どのような特徴があるのだろうか。ドイツ・ベルリンで開催された発表会で得られた情報をもとにまとめた。Intelのモバイル向け次世代CPU「Lunar Lake」は2024年第3四半期に登場 ライバルを超えるAI処理パフォーマンスを実現
Intelが、モバイル向け次世代CPU「Lunar Lake」の概要を発表した。2024年第3四半期に登場する予定で、ライバルCPU/SoCよりも高速なAIパフォーマンスを発揮できることが特徴だ。「AI PC」がベールを脱ぐ! 次世代のモバイル向け「Core Ultraプロセッサ」正式発表 搭載ノートPCは順次発売
Intelが発表を予告していた「Core Ultraプロセッサ」が、ついに正式発表された。全てのモデルにAIプロセッサ(NPU)を搭載しており、NPUを利用できるアプリのパフォーマンスが大きく向上することが特徴だ。Intelが次世代CPU「Meteor Lake」の概要をチラ見せ 全モデルに「AIエンジン」を搭載
Intelが「Meteor Lake(メテオレイク)」というコード名で開発を進めているCPUの概要情報を公開した。同社初の7nmプロセスCPUは、全モデルにCPUコアとは別体の「AIエンジン」を搭載するという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.