“暖かみのある会話”を実現――OpenAIの新言語モデル「GPT-4.5」は何が変わったのか?:本田雅一のクロスオーバーデジタル(3/3 ページ)
OpenAIの新言語モデル「GPT-4.5」のリサーチプレビュー版をリリースした。従来の「GPT-4」と何が変わったのか、実際に試しつつ解説する。【更新】
「GPT-4.5」が提供する自然で楽しい会話
Open AIはGPT-4.5が「自然で楽しい会話を実現する」としている。それがどのようなものなのか、気になるところだろう。
そこで実際に試してみると、例えばユーザーが「テストに失敗して落ち込んでいる」と伝えた際に、従来は改善のためのアドバイスを行うと共に「次は頑張りましょう」といった比較的平凡な返事をしていた。
その点、GPT-4.5は会話の中から感じ取ったニュアンスに応じて、多様な言葉を添える。先の例なら「失敗すると本当に気持ちが沈みますよね。でも、あなたの能力や価値がそれで決まるわけではないですよ。」「今回のテスト結果はあくまで現時点でのものです。これからの努力次第で、成績は必ず向上します。前向きな気持ちで、次のテストに向けて一緒に頑張りましょう。」といった共感して寄り添う言葉や、状況に応じて励まして向上心をかき立てる言葉を自然に掛けてくれる。
GPT-4.5は「ChatGPT Pro」を通して既に利用可能だ。筆者はまだ使い始めて数時間だが、一般的な文書作成の中でも、言い回しや論旨の不自然さが解消されているように感じる。
ただし、GPT-4.5はまだ研究開発段階の「リサーチプレビュー版」だ。今後継続して回答の品質が改善されていく可能性は高い。来週には「ChatGPT Plus」ユーザーも試せるようになるそうなので、契約している読者は実際に試してみるといいだろう。
今後「GPT」で考えられる展開
リサーチプレビュー版GPT-4.5は、自然な会話や文章作成支援において、大幅な性能向上が確認されている。誤情報を生成するハルシネーションが減少し、ユーザーの意図をより的確にくみ取る能力が増した点は、ビジネス現場での活用でも大いに歓迎されるはずだ。
ただし、GPT-4.5には推論機能がまだ公式実装されていない。外部ツールとの連携や、高度な論理推論が必要なタスクでは、既に一定の拡張が行われているGPT-4や、一部のバリエーションモデル(「GPT-4o」「OpenAI o1」など)の方が強みを持つ可能性がある。
今後GPT-4.5に推論機能が統合されれば、さらに幅広いビジネスユースケースに対応できる万能型AIに発展していくだろう。現時点では、あくまでチャットや文章生成を強化した「対話特化型」としてのアドバンテージに注目するといい。
例えばカスタマーサポートやマーケティング支援、アイデア発想サポート、さらには社内ナレッジベースへの応答など、「人間らしいやり取り」が求められる場面で効果を発揮することが期待できる。
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