OpenAIのサム・アルトマンCEOが日本で語った「ChatGPT」の未来像 「あと10年で世界は激変する」の真意:本田雅一のクロスオーバーデジタル(1/5 ページ)
ソフトバンクグループとの合弁会社立ち上げに合わせて、OpenAIのサム・アルトマンCEOが来日した。東京大学でのイベントにサプライズ登壇した同CEOから話を聞くことができたので、その時の話題をまとめる。
OpenAIが日本のソフトバンクグループ(SBG)と合弁会社を立ち上げ、大規模なAI事業プロジェクトを推進することになった。
本件に合わせて、OpenAIのサム・アルトマンCEOが来日した。発表に先立ってアルトマンCEOは東京大学を訪れ、自社主催の開発者向けイベントに“事前予告なしで”登場した。自らの言葉でAIの近未来や直近に起こる可能性、OpenAIの今後について率直に学生や開発者と語り合った。
このイベントの後、筆者はアルトマンCEOから直接話を聞く機会を得た。さまざまな軸で行った質問への回答を通して、彼が“心眼”で見ているAIの将来像や世界感が浮き彫りになった。話をする過程で出てきた話題を、整理して紹介することにしたい。
「演算能力100倍」を達成すると何ができる?
ご存じの通り、SBGは米国で設立された新会社「Stargate Project」に参画している。この新会社はOpenAIが現在のコンピューティングパワーの100倍に相当する演算能力を持つAIサービス向けデータセンターを構築することを支援するために誕生した。
100倍という数字だが、OpenAIのLLM(大規模言語モデル)「GPT(Generative Pre-trained Transformer)」が世代を重ねるごとに、前世代比でほぼ100倍の演算能力の向上が求められたことに由来する。初代(GPT-1)と比べると、現行の第4世代(GPT-4)は100×100×100=100万倍の演算能力が必要ということになる。アルトマンCEOによると、このペースは今後も変わらないという。
現在、OpenAI内部では「GPT-4.5」に相当するLLMの開発が進められている。言い換えると、Stargate Projectのゴールは「GPT-5.5」相当のLLMを動かせる、初代比で1億倍の演算能力を持つデータセンターの構築だ。
この話とは別に、インタビューでアルトマンCEOは「GPT-5とGPT-6の間のどこかで、(AIは)間違いなく『自分よりも賢い』と思えるしきい値を超える」と話してくれた。この予測が正しければ、「Stargate Projectの完成」は、AIによって人間よりも“賢い”知性が実現されるということを意味しそうだ。
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