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“暖かみのある会話”を実現――OpenAIの新言語モデル「GPT-4.5」は何が変わったのか?本田雅一のクロスオーバーデジタル(2/3 ページ)

OpenAIの新言語モデル「GPT-4.5」のリサーチプレビュー版をリリースした。従来の「GPT-4」と何が変わったのか、実際に試しつつ解説する。【更新】

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「GPT-4.5」の仕組み

 GPT-4.5の仕組みにおいて最も大きな特徴は「教師なし学習(Unsupervised Learning)」によってモデルの規模を大幅にスケールアップしたことにある。

 教師なし学習とは、その名の通り人(教師)が明示的に答えを教えなくても、AIが大量のデータから自分でパターンを見出して学習を進める方法だ。これまでは学習に使う大量のデータを事前に調整するために、大きな手間とコストがかかっていた。その点、教師なし学習ではデータを自律的に処理することで効率が上がるだけではなく、人間が気付かないような微妙なパターンや関連性を発見しやすい利点がある。

 また特定の分野やタスクに限定してチューニングやトレーニングを行うわけではないため、モデルに汎用(はんよう)的かつ柔軟な理解力を与えることができる。さらには、新たなデータや未知の状況にも迅速かつ適切に対応可能だ。

 例えばネット検索で見つかる新しい情報に対する適応力が高くなるため、ネット検索を併用した質問などに対する適応性(妥当性)は改善するだろう。

教師なし学習
GPT-4.5は「教師なし学習」によってモデルの精度と規模を高めることが特徴だ

 GPT-4.5のモデル規模は具体的な数字としては発表されていないが、こうした自律的な学習のアプローチが、学習規模やパラメーター数の増大に大きく寄与していると推察される。その結果、冒頭でも紹介したように、GPT-4.5では「知識の深さと正確さ」「EQの高まり」「ハルシネーションの低下」などを実現している。

 例えば、悩みを相談した時に機械的なアドバイスだけでなく、ユーザーの感情や状況を理解し、寄り添った励ましや共感を示すようになった。

「GPT-4」「GPT-4o」「GPT-4.5」の違いを整理する

 ここで最近のGPTシリーズのリリースを改めて整理しよう。

 「GPT-4」は、広範囲な知識と優れた文章作成能力を持つ汎用的なモデルとして、「GPT-3.5」の後継として登場した。この頃までのGPTは、一直線にモデル規模の拡大を続けていた

 「GPT-4o」の「o」は、ドイツ語の「Omni」を意味している。応用範囲が広く、マルチモーダル入力に対応したのが特徴だ。大規模化で知識と文書作成能力を高めたGPT-4をさらに高速/効率化したモデルでもある。最適化で応答速度や運用コスト面で優れ、コストも下がったものの、知識の深さやEQの点では進化しているわけではない。

 これに対してGPT-4.5は、GPT-4の特徴をさらに強化するために、知識に関しては「広げる」よりも「深みを持たせる」ことを重視し、より正確な情報を提供することを主目的に開発されたLLMモデルといえる。この中には、EQの向上も含まれる。

 先述したように、この進化軸とは別に、推論に特化したOpenAI oシリーズもあるが、現時点であGPT-4.xとoシリーズは相互補完の関係にある。アルトマンCEOによると、oシリーズは最終的にGPTシリーズに合流する方向とのことなので、将来的には両者が融合することでさらに強力なAIモデルが提供されることが見込まれる。

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