念願の10GbEに対応したMINISFORUMのミニワークステーション「MS-A2」を現役情シスが試す:逸般の誤家庭にもピッタリ(3/3 ページ)
新モデルのMS-A2はわれわれ“逸般”の“誤家庭”ユーザーも満足できる仕様に大幅にアップグレードされたようだ。そこで、実機を手元に用意してMS-A2の詳細に迫っていこう。
MS-A2のパフォーマンスをチェック!
外観や中身についてはこれくらいにして、続いて各種ベンチマークテストを通してMS-A2のパフォーマンスを詳しく見ていこう。
なお今回テストしたのは、AMD Ryzen 9 9955HXを搭載したモデルだ。主な構成は以下の通りだ。
- CPU:AMD Ryzen 9 9955HX
- メモリ:DDR5-5600 32GB×2
- SSD:Crucial P3 Plus 1TB
以上の構成で、直販での価格は17万5990円となっている。OSとメモリ、ストレージが付属しないベアボーンキットは13万4390円だ。いずれもクーポンなどで割引される場合もあるので、直販サイトをチェックしてみるといいだろう。
CrystalDiskMark 9
まずはCrystalDiskMark 9を使ったテストを通してMS-A2に採用されている「Crucial P3 Plus 1TB」の性能をチェックしてみた。ファイルの読み書きによる結果は以下の通りだ。
【テストデータサイズ:1GiB】
- 読み出しテスト
- SEQ1M Q8T1:毎秒5198.76MB
- SEQ1M Q1T1:毎秒3181.75MB
- RND4K Q32T1:毎秒720.95MB
- RND4K Q1T1:毎秒80.21MB
- 書き込みテスト
- SEQ1M Q8T1:毎秒4758.08MB
- SEQ1M Q1T1:毎秒4675.98MB
- RND4K Q32T1:毎秒685.32MB
- RND4K Q1T1:毎秒277.87MB
PCI Express 4.0対応のTLC NVMe SSDということもあって、シーケンシャル読み出しは毎秒約5199MB、シーケンシャル書き込みは毎秒約4758MBと、非常に良好な結果が得られており、なんとカタログスペック以上のパフォーマンスを発揮している。
ランダム読み出し、書き込みアクセスも非常に高速ながら、発熱の激しいPCI Express 5.0対応のNVMe SSDと比べ、アイドル時は34度、負荷テスト時は47度と発熱量も小さい。もちろんMS-A2の冷却機能も相まっての結果だが、PC周辺が熱くならない点は好ましい。
続いて、テストサイズを1GiBから64GiBに変更した際に、どれほどパフォーマンスに影響が出るかチェックしてみた。結果は以下の通りだ。
【テストデータサイズ:64GiB】
- 読み出しテスト
- SEQ1M Q8T1:毎秒5189.51MB
- SEQ1M Q1T1:毎秒3115.19MB
- RND4K Q32T1:毎秒724.72MB
- RND4K Q1T1:毎秒68.81MB
- 書き込みテスト
- SEQ1M Q8T1:毎秒4753.97MB
- SEQ1M Q1T1:毎秒4680.06MB
- RND4K Q32T1:毎秒384.84MB
- RND4K Q1T1:毎秒231.28MB
テストデータサイズが大きくなると、HMBキャッシュとのやりとりが増えるため、ランダムアクセス時のパフォーマンスがある程度低下する。1GiBテスト時と比べると、特にランダム書き込みのパフォーマンス低下が顕著に現れているが、それでも引き続き高いパフォーマンスを示している。利用においては大きな性能低下は感じられないだろう。
CINEBENCH R23
続いて、MS-A2に搭載されているAMD Ryzen 9 9955HXのパフォーマンスを測るため、3Dレンダリングを行ってCPUの性能をテストする「CINEBENCH R23」を実行して、それぞれのモデルの実力を測ってみた。結果は以下の通りだ。
なお、参考までにMinisforum MS-01(以下、MS-01)のIntel Core i9-13900Hモデルで計測したスコアと比較しているので参考になれば幸いだ。
- マルチコア
- MS-A2:3万842ポイント
- MS-01:1万5043ポイント
- シングルコア
- MS-A2:2171ポイント
- MS-01:1887ポイント
こうして結果を比較してみると、Intel Core i9-13900Hは14コア20スレッド、それに対してAMD Ryzen 9 9955HXは16コア32スレッドという差を考慮したとしても、MS-01比でマルチコアスコアは約205%、シングルコアスコアは約115%と大きな差が開く結果となった。
ベアボーンキットの価格で比較すると、MS-A2は実売13万4390円、MS-01は実売9万6980円と約3.7万円の差があるが、予算に余裕があり、Intel AMTを使ったリモート操作が不要であれば、MS-A2を選ぶと良さそうだ。
高負荷ワークロードに良し、サーバに良し 文句なしなミニワークステーション
MS-A2の実機を基に、ハードウェア仕様やパフォーマンスについて詳しく見てきたが、高負荷ワークロードにも、サーバ用途にも十分耐えうる性能、ハードウェア要件を満たす非常に強力なミニワークステーションだ。
MS-A1にはCPU選択の自由度と、搭載できるNVMe SSDの数が多いメリットがあるものの、正直なところワークステーションや、サーバ用途に使うには少し中途半端なスペックという大きな弱点があったが、MS-A2でその弱点を克服している。
評価機を試用している筆者自身も、かなりMS-A2に引かれており、リプレースを予定している仮想基盤クラスタのメインサーバとしてぜひ購入したいと感じている。
筆者のような“逸般の誤家庭”のユーザーにとっても深く刺さる製品だと思うので、サーバのリプレースを検討している方は、ぜひMS-A2を購入候補として挙げてはいかがだろうか。
(製品協力:MINISFORUM)
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