Intelの最新プロセス「Intel 18A」が量産開始 新しいAIソリューションに注力:Intel Tech Tour 2025(2/2 ページ)
新型CPUの発表に合わせて、Intelが米国で報道関係者向けのツアーイベントを開催した。この記事では、AIに関する基調講演の模様をお伝えする。
「Agentic AI」とは何か?
カッティ氏の基調講演のスライドでは、たびたび「Agentic AI」という言葉が出てくる。これは一体何なのだろうか?
これと似たキーワードとして「AGI(Artificial General Intelligence)」がある。日本語でいえば「汎用(はんよう)人工知能」という意味で、人間並みに広範囲な課題に取り組める“究極の汎用性”を備えたAIと定義されている。
もう1つ、似たようなキーワードに「AI Agent(AIエージェント)」というものがある。こちらは与えられた特定の課題に対して、「調査」と「意志決定」のループを回すタイプのAIだ。AI Agentは、その種類に応じてつかさどる知性空間が異なることが多く、例えば大規模言語モデル(LLM)なら言語空間によって構築された知性空間において推論を走らせる。一方、膨大な写真や映像を学習したAIは、コンピュータビジョン的な視覚空間の知性空間で推論を走らせる。
そしてAgentic AIは、特に最近増えてきた先進AIスタイルだ。AGIほどではないものの高い自律性を持ち、与えられた課題を要素分解して、分解した課題を解決するために適切なAI Agentを複数起動(起用)して必要な調査を行い、そこから最終推論を導出することが特徴だ。
Agentic AIを高効率に実現するために、IntelではAI Agent群をそれぞれコンテナ化した上で仮想化し、仮想化されたAI Agent群を必要に応じて「Orchestrator Agent」を通して起用/活用する仕組みを提唱している。Orchestrator Agentは、その名の通りある意味で「AI Agentの“指揮者”」ともいえる。
取り扱う知性空間が視覚に関わるAI Agentなら、GPUを動員して処理するのが最適だろう。一方、一桁層程度の軽量ニューラルネットワークベースのAIなら、推論に特化したNPUを引っ張り出すよりも、CPUでAVX系のSIMD命令を使って推論を直接実行した方が低遅延かつ速いケースも多い。
Intelは、Agentic AIにおけるそれぞれのAI Agentの実務処理に適した、多様な種別のハードウェアが適材適所で動員される仕組みとして「Open AI Software Stack」を提唱している。
多様なハードウェアソリューションを持っているIntelならば、Agentic AIの構造改革を実践できる――というストーリーだ。もちろん、必要なら他社のハードウェアソリューションを組み込むことも可能だ
Intelは、CPUやGPUも多様な性能/消費電力レンジの製品を取りそろえている。AIアクセラレーターには強力なパフォーマンスを発揮する「Gaudi」シリーズもある。
Intelが持つ多様なハードウェア製品を適材適所に活用した、有機的な次世代AIシステムの登場にご期待下さい――これがカッティ氏のメッセージであった。
NVIDIAの「NVIDIA B200」のみのシステムに対して、「Open AI Software Stack」によって組み合わせた自社の「Gaudi 3」とNVIDIA B200を混合したシステムの方が、1.7倍の費用対効果が期待できると、Intelは説明している
AIデータセンター向けソリューションのロードマップには、よく見ると新しい推論専用GPUの予告が紛れ込んでいた。Intel Data Center GPU Max(開発コード名:Ponte Vecchio)の後継とされる「Jaguar Shores」がやってくるのか……?
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