AI特需で爆発するデータ容量を支えるのは“HDD”――Seagateが「Mozaic 4+」と1ドライブ100TB超への道筋を語る
Seagateが、プラッター(ディスク)1枚当たり4TB超のデータ記憶に対応したHDDをハイパースケーラー向けに出荷し始めた。その説明会が国内で開催されたので、レポートする。
既報の通り、Seagate Technologyは3月4日、熱アシスト磁気記録(HAMR)とその周辺技術からなるHDDプラットフォーム「Mozaic 4+」を発表した。本プラットフォームを使って作られた44TB HDDは、既に2社のハイパースケーラー(大規模データセンター事業者)において実環境で採用されているという。
同社の日本法人である日本シーゲイトは3月13日、HDD技術に関する説明会を開催した。説明会には日本シーゲイトの新妻太(にいづま・ふとし)社長と、Seagateのトーマス・チャン氏(アジア地域メディア開発担当 シニアディレクター)が登壇し、SeagateのHDD技術のロードマップなどを説明した。
AI需要の高まりでデータストレージの需要も高まる
AI(人工知能)のブームを背景に、昨今は世界中で大規模なサーバを集積した「データセンター」が新設されている。2030年までに世界中で約1万5000のデータセンターが稼働する見込みで、その多くが100MW~300MWの大規模タイプで、従来のデータセンターの約10倍の規模に相当するという。
ある意味での「AI特需」に引っ張られる形で、データセンターにおけるデータの総保存容量も爆発的に増加を続けており、米IDCの予測では2029年までに527ZBに達するという(1ZB=10億TB)。
特にAIでは応答性(レスポンス)が求められることもあり、データセンターでもストレージとしてSSDを使うケースも増えているが、容量当たりのコストを鑑みて今でも“主力”はHDDで、総ストレージ容量のおよそ87%はHDDが占めているとのことだ。
Seagateでは今後の3~5年、ストレージの総容量は平均年率20%の成長を見込んでいるといい、より容量と電力の効率に優れたHDDが求められるという前提で研究開発を進めている。
ロードマップに従って2032年までに「100TBのHDD」を実現
「より容量と電力の効率に優れたHDD」を作るには、HDDのプラッター(ディスク)1枚当たりに保存できる容量を大きくする必要がある。この点では、Seagateの競合に当たるWD(Western Digital)も、HDDにおいてePMR(エネルギーアシスト垂直磁気記録)とHAMRの“両輪”でプラッター1枚当たりの保存容量を高める取り組みを進めている。
Seagateでは、HAMRを軸とするHDDの技術プラットフォームを「Mozaic」と名付け、これを継続的に改良していくことでプラッター1枚当たりの保存容量を高めていくアプローチを取っているという。
先般発表したMozaic 4+を適用した44TBのHDDは、1枚当たり4TB超の容量の鉄/プラチナ合金製のプラッターを使っているという(4+は「4TB超」の意味)。
Mozaic 4+では、HAMRの“肝”となるプラッター表面のレーザー加熱について、レーザーの照射機構を一体化した磁気ヘッドを自社で開発/生産することで設計上の制約を減らし、一層の大容量化を進められるようになったそうだ。
先代の「Mozaic 3+」までは磁気ヘッドに外部調達(他社製)のレーザー照射装置を搭載していたが、Mozaic 4+ではフォトニクス技術に投資した上で、磁気ヘッドとレーザー照射装置を“一体化”して自社生産可能な体制を整えた
Seagateでは、2032年までに「Mozaic 10+」、つまりプラッター1枚当たり10TB超の記憶容量を実現する計画だ。これを3.55インチのボディーに収めると、1台で100TB超のHDDが実現する。
「え、HDDが二桁TBなの!?」と驚いていたところ、「三桁TB」になる道筋が見えてきたのは“AIさまさま”なのかもしれない。
関連記事
Seagate、最大44TBを実現した“Mozaic 4+”採用HDDの量産出荷を開始
Seagate Technologyは、熱アシスト 磁気記録(HAMR)ベースのプラットフォームを採用した大容量HDDの量産出荷開始をアナウンスした。Seagate、最大36TBを実現したデータセンター向けHDD「Exos M」を発表
米Seagate Technologyは、HAMR技術を採用するデータセンター向けHDD「Exos M」のサンプル出荷を開始した。Seagate、データセンター向けとなる容量24TBの3.5インチHDD「Exos X24」
米Seagate Technologyは、データセンターなどの用途に向く大容量設計の3.5インチHDD「Exos X24 Hard Drive」を発表した。Western Digitalがブランドを「WD」に統一 100TB超の大容量化とSSDに迫る高速化技術のHDDも開発中
HDD専業メーカーとなったWestern Digitalが、AIデータセンターにおけるHDDの重要性が増したとしてブランドを一新すると共に、今後の同社製HDDのロードマップを発表した。2026年に36TB超、27年に44TB超のHDDを投入予定 ウエスタンデジタルCEOが語る日本との関係性強化
Western Digital(日本ではウエスタンデジタル合同会社)のアーヴィン・タンCEOが来日し、記者会見を開いた。カントリーオフィサーの着任発表や日本との関係性強化について聞いた。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.