SNSの死後削除ニーズは5割! コロナ禍で変化した「おひとりさま信託」の実態:古田雄介のデステック探訪(3/3 ページ)
三井住友信託銀行が2019年12月から提供している、死後事務委任契約と金銭信託をセットにした「おひとりさま信託」。提供開始からコロナ禍を経て6年以上が経過するなか、契約者の高齢化や夫婦での申し込み増加など、利用者のニーズには変化が見られるという。担当者に詳しく話を聞いた。
オプションで見守りや墓じまいサービスも追加
おひとりさま信託は、運用においてもデジタルをうまく活用している。初回の契約時は同行の店舗でやりとりするが、以降はオンラインが基本となる。契約時に渡した「未来の縁-ingノート」は電子化され、契約者のマイページからログインして内容を確認したり、書き換えたりできる仕組みだ。
日頃の安否確認も、基本はデジタルとなる。1カ月、もしくは1週間に一度SMSで安否確認のメッセージを送り、一定期間反応がない場合は安否調査に乗り出す流れとなる。ただし、医療機関や介護施設などに移った場合、もしくはオプションの警備会社による見守りサービスを利用している場合は機能が重複するため、SMSでの設定は解除が推奨される。いつでも調整できるので、生活環境や心境の変化などに合わせて切り替えていけばいい。
そのあたりの柔軟性が、おひとりさま信託の要だと川西さんは語る。
「おひとりさま信託は、弊社の社員がお客さまとお話しする中で必要性を感じて生まれました。(以前から提供していた)遺言信託ではカバーしきれないところにニーズがあるようだ、と。2025年から提供している『見守り』や『身元保証』、『墓じまい』などのオプションも、そうした現場の声から企画されました。人生100年時代となると、お子さまも80歳近くになることが珍しくなくなります。そのときに金融機関がどんなサービスが求められるのか、そこを意識していきたいと思っています」
サービス開始当初、死後事務委任の活動は契約者の家族から警戒されることを覚悟していたという。しかし、予想以上に協力的な人が多く、現在もスムーズに事務処理が進むケースが多いそうだ。そこには死後の後片付けをアウトソーシングすることへの理解が、社会全体で進んだ背景もあるだろう。
おひとりさま信託は、デジタルの持ち物の後片付けを外注するサービスともいえる。今は本人や遺族が処理するしかないケースが多いが、デジタル遺品もアウトソーシングで済ませられたら助かる人も増えるのではないかと思う。
関連記事
AI故人との対話は「1年」まで?――開発者があえて「卒業」を推奨する理由
双方向のやりとりが可能なタイプから単方向タイプ、さらにはペット用まで、さまざまなAI故人を提供するニュウジアは、AI故人を提供する1つの目安に1年間という区切りを想定している。その背景には何があるのだろう。マイナンバーカードで“死後”を自動判定 半年で5000人が登録した「SouSou」が選ばれる理由
デジタル終活アプリ「SouSou」は、マイナンバーカードの公的個人認証機能を活用し、利用者の「デジタル逝去判定」を自動で行う画期的な仕組みを採用している。2025年7月の本格始動から半年で5000人のユーザーを集めるなど順調な滑り出しを見せているが、一方で「マイナンバーカード連携」には心理的なハードルも残るという。デステックの最前線を追った。デジタル資産継承サービス「アカレコ」が指し示す半世紀先を見据えた終活という課題
2023年8月に登場したばかりの「akareco」(アカレコ)は、「40代からはじめる、プレ終活 まずは、デジタル資産の整理から」のキャッチコピーを掲げる。その後の人生にずっと付き合うことを想定したサービスだ。月額税込み495円。その狙いと勝算を尋ねた。脳腫瘍から始まったデジタル終活ツール「まもーれe」
自分の身に何が起きてもデジタルの持ち物を託すべき人に託し、隠したいものは隠しきる。実体験からそのためのWindowsツール「まもーれe」を開発したMONET代表の前野泰章さんが重視したのは、徹底したローカル化だった。「デジタル遺言」の可能性――遺言書を作成できるアプリの開発元に聞く
チャットで質問に答えていくだけで、遺言書につづる文言が自動で作成されるアプリがある。世界的にデジタル×遺言の動きが進む中で、どんなニーズをつかんでいるのか。遺言書自動作成アプリ「らくつぐ」を開発した司法書士事務所を尋ねた。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.