インタビュー

「最初は高いが、かえって安い」顧客満足度1位を支えるモノ作り VAIOの糸岡社長が語る“値上げ”の真意と次なる挑戦IT産業のトレンドリーダーに聞く!(2/3 ページ)

法人向けPC市場で支持を集め、顧客満足度1位を獲得するまでに成長したVAIO。その根底には、ソニー時代から受け継がれ、新たに言語化された「カッコイイ、カシコイ、ホンモノ」という商品理念がある。糸岡健社長が描く次なる成長戦略に迫った。

新たな知見を生む再生PC「Reborn VAIO」 法人品質のPCを個人ユーザーへ

―― VAIOは、個人向けPCに対しては、どんなスタンスを取っていきますか。ノジマの店舗での販売を強化したり、ドコモショップでの販売を開始したりといった積極的な販売展開も見られています。

糸岡 現在のVAIOのラインアップは、個人向けに作られたものではありません。法人ニーズを想定し、作り込まれた製品が中心です。法人ニーズに求められる品質や機能を評価していただいた個人ユーザーに購入していただくというスタンスです。このスタンスは当面は変えません。

 しかし、個人向けのタッチポイントを多く持つノジマグループの1社になったわけですから、個人ユーザーに対して訴求するための仕掛けは、積極的に行っていきます。2025年12月から開始した「VAIOバッテリー保証サービス」はその1つです。

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 当初は、ノジマ店舗で開始しましたが、現在ではノジマの店舗以外にも展開しています。これは、購入から3年以内にバッテリーの満充電容量が80%以下になった場合、バッテリーを無償で交換する日本初の取り組みとなります。

 また、2026年4月からはノジマ全店で「VAIOマイスター制度」を導入し、VAIOに関する知識を持った販売員が、お客さま一人一人の利用目的や環境に応じて最適な提案を行う環境を整えました。

 そして、ノジマの4店舗では「VAIO Shop in Shop」を展開し、VAIO独自のAIノイズキャンセリングや画面共有、高速起動などの機能を実機で体験できるようにしています。


VAIO製品に関する知識と、コンサルティング力を備えたノジマの販売員が着用するVAIO マイスターバッジ

―― VAIOは法人向けPC事業が約9割を占めていますが、これは事業バランスとして最適ですか。

糸岡 そうとは捉えていません。これまでは、個人ユーザーとの接点が少なかったのですが、ノジマグループ入りしたことで、その課題が解決できます。結果として、個人向けの比率がもう少し増えていくことになるのではないでしょうか。

 新入社員に聞くと、VAIOのことをあまり知らない若い人たちが増えていることを感じます。ノジマの店頭などにVAIOを展示する機会が増えれば、若い人たちにもVAIOの認知度を高めることができると思っています。若い人たちにVAIOの利用が広がれば、そこからも声を聞くことができ、新たな商品開発や新たな挑戦にもつなげていくことができるようになります。

―― 若者を対象にした、個人向けPCが出てくる可能性もありそうですね(笑)。

糸岡 いや、まずは今の製品ラインアップの中で、若者にも「いいね」と言ってもらえるVAIOを目指します(笑)。企業だけでなく、個人にも「いいね」と言ってもらうことが、これからのVAIOには重要になります。VAIO自らがもっと体力を付け、新たなことに挑戦したいと思っています。

―― 周辺機器事業への取り組みはどう考えていますか。

糸岡 VAIOの周辺機器ビジネスの基本姿勢は、PC本体を使っているときに「こうしたものがあればいいよね」という観点のものであり、VAIO本体とつながりがあるものに限定しています。

 モバイルディスプレイの「VAIO Vision+ 14」は、「外出先でも2画面あるといいよね」という声をベースに開発したものです。お客さまの声を聞いて、VAIO Vision+ 14とは異なるディスプレイが欲しいということになれば、ラインアップを増やしていく可能性はあります。

 ただ、周辺機器は数を追うビジネスにはしませんし、ここで新たな事業の柱を作るつもりもありません。VAIOユーザーに使っていただきたいシーンやユースケースにおいて、なくてはならないものを出していくことになります。ですから、VAIOの中に周辺機器事業部ができるということはありません(笑)。


モバイルディスプレイの「VAIO Vision+ 14」

―― 一方で、VAIOでは、メーカー保証付きリファービッシュPCの「Reborn VAIO」を、2025年8月から本格的に開始しています。反応はどうですか。

糸岡 非常にいい手応えを感じています。Reborn VAIOは、自社工場を使ってVAIOの生産ノウハウを生かしながら、再生作業を行い、品質を担保して見た目も新品同様にし、安心して使ってもらえる製品に仕上げています。

 あえてReborn VAIOという名称を付けたのも、中古品でもなく単なる再生品でもなく、VAIOが思いを込めて作り上げた再生PCであることを示したいという思いからです。私は、VAIOの新たな製品ラインアップの1つと位置付けており、VAIOユーザーの裾野を広げる製品になると思っています。

 もう1つ、私たちが、Reborn VAIOによって得られるメリットがあります。それは、お客さまが使った後のPCから得られる情報です。Reborn VAIOの元となるPCは、企業で利用されていた使用済みPCであり、まとまった台数で同一の機種が集まってきます。これを検品すると、コールセンターなどには届かない課題や事象を発見することができます。

 例を挙げると、3年間使うと特定の場所の塗装が黒ずみやすいとか、傷がつきやすいなど、共通の課題を発見できるのです。これらは機能には影響しない部分であるため、なかなかコールセンターに伝わりにくい課題だといえます。これらの情報を、開発や生産現場での改善、新製品の開発などに反映しています。

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