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目玉は“可変絞り”だけではない――「iPhone 18 Pro」を先んじて使って分かったこと本田雅一のクロスオーバーデジタル(1/4 ページ)

先行レビュー用として、Appleから「iPhone 18 Pro」「iPhone 18 Pro Max」の貸出機が手元に届いた。実際に使ってみると、メインカメラの可変絞りよりも注目すべきポイントが複数あることが分かった。

 先行レビュー用として、Appleから「iPhone 18 Pro」「iPhone 18 Pro Max」の貸出機が手元に届いた。

 机の上で「iPhone 17 Pro」と並べてみたが、見分けがつかない。厚さは約8.75mmで変わらず、カメラの並びも同じ。画面上の「Dynamic Island」は小さくなっているが、並べてみてようやく「そういえばそうだったな」と分かる程度だ。「Face ID」ユニットは大幅に小さくなったものの、体感差は大きくはない。

 一方で新色のバーガンディは、写真に撮ると黒に近く写るのに、手に取ると深いワインレッドに近い。それに、今回は各色共に背面のカラーがベゼル部のカラーに近づけられており、先代(iPhone 17 Proシリーズ)よりも上品なたたずまいだ。外観上の話題といえば、言い換えればその程度の違いしかない。

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 ところが、Apple本社(Apple Park)で行われた発表会と、その翌日に行われた個別ブリーフィング、そしてAppleへの取材で集めた情報を重ねると、筆者はiPhone 18 Proシリーズはここ数年で最も“中身”が入れ替わったProモデルだと感じる。

 機能面では、アウトカメラのメイン(広角)センサーに可変絞りが付いたことに注目が集まっている。iPhoneとしては初の“機械式”絞りの搭載なので、当然といえば当然だ。しかし、真に注目すべきは「A20 Proチップ」「熱設計」「メモリの帯域」の3点だ。いずれもオンデバイスでAI(人工知能)を動かす上で、とても重要なポイントだ。

 本稿では、A20 Proチップの実力、熱設計の考察、そしてカメラの可変絞りについてチェックしていく。


筆者の元に届いた「iPhone 18 Pro」のバーガンディ(左)と、「iPhone 18 Pro Max」のブラック(右)

「A20 Proチップ」は、なぜメモリを横に並べたのか?

 A20 Proチップは、2nmプロセスで製造された新世代のチップ(SoC)だ。先代の「A19 Proチップ」比で、6基CPUコアのうち2基の「スーパーコア(高性能コア)」が最大20%、7基GPUコアが最大40%、16コア×2構成の「Neural Engine(NPU)」が最大2倍のパフォーマンスとなったという。

 数字だけ見ると派手に見えるが、筆者が重要だと思うのはそこではない。CPUダイとメモリチップが“横並び”配置になったことだ。

 これまでのApple Aシリーズは、他社のスマホ用SoCの多くと同様に「SoCの上にメモリ(DRAM)を積み重ねる」というスタック構造を採用していた。これは基板の実装面積を節約しやすいメリットがある反面、熱密度が高くなるため放熱面でのリスクが生じやすい

 そこでA20 Proチップでは、Mac向けのApple Mシリーズと同様にDRAMをSoCの“横”に置くように改めた。Appleによると、こうすることで「メモリのシリコンダイを経由せず、チップの発熱を直接ベイパーチャンバーに逃がせるようになった」という。結果的に持続性能が向上し、長めのAIワークロードを走らせても性能が低下しにくくなった

 ただし、この実装方法では面積をより広く取るため、隙間のないiPhoneの中にこれをどう収めるかはSoCの設計チームだけでは決められない。ボディーのメカ設計、そして熱設計を一体で進めることで成立したものだ。

 今回、A20 Proチップの実物を見る機会もあったのだが、パッケージ自体がシールドを兼ねていて、それを外すと隣にメモリが位置している。スマホ向けSoCでこうした構造の製品は、筆者の記憶の限り他に見当たらないが、今後のトレンドになるかもしれない。


A20 Proチップでは、メモリ(DRAM)を“横”に置くデザインに変更した。基板への実装面積が増えるというデメリットがあるものの、SoCを冷やしやすくなるというメリットもある

ベイパーチャンバーの表面積は約3倍に

 iPhoneでは、iPhone 17 Proで初めて放熱機構としてベイパーチャンバーが搭載された。この時は「持続性能は『iPhone 16 Pro』シリーズ比で40%上がった」と訴求された。

 iPhone 18 Proシリーズでは、ベイパーチャンバーの表面積が3倍に拡大された。これにより、「持続性能がさらに最大40%上がった」とAppleは説明する。持続性能が2世代で2倍になった

 Appleによると、18 Proのベイパーチャンバーは構造部材を兼ねるようになったという。ボディーの剛性を受け持つ部品として設計することで、放熱部品として許容できる大きさを超えたサイズにできた。これが、「ベイパーチャンバーの表面積が3倍」のからくりだ。

 SoCは基板の上面に露出する位置へ移され、グラファイトと金属とフォームを重ねた熱界面材料(チップの熱を放熱部品へ伝える充てん材)でベイパーチャンバーへとつながる。ディスプレイ側には業界で初めて「ナノ双晶銅(ナノツインコッパー)」のプレートが入った。これも、ボディーの構造強度と、熱の拡散を兼ねた措置だ。

 強度の部品と熱の部品を1つにまとめて、両方の量を増やした――これが、iPhone 18 Proシリーズにおける熱設計の要点だ。


ベイパーチャンバーは先代から約3倍の面積となった

 サーモカメラでiPhone 17 ProとiPhone 18 Proの高負荷ワークロードを動かした際の映像を見比べると、17 Proは温まり方が緩やかで、ベイパーチャンバーの範囲内に熱が広がる。それに対して、18 Proは熱がより広く拡散し、チップの搭載位置にかかわらず温度の分布が均一になる

 長時間ワークロードで最大40%の性能差が付く――2026年のProは、ピーク性能も追求しながら、熱ダレもしないことを設計の主眼としたようだ。

iPhone 17 ProシリーズとiPhone 18 Proシリーズのベイパーチャンバーを比較
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