モバイルPCに20万円を払う時代は過ぎ去った――「HP 2133」発表会:ブームでは終わらせない
海外では499ドルという低価格で教育市場向けモデルも用意される「HP 2133」だが、日本ではどのような展開を図るのか? その詳細が明らかにされた。
一過性のブームではなく1つのカテゴリとして育てていきたい
発表会では、日本HP パーソナルシステムズ事業統括 取締役 副社長執行役員 岡隆史氏が、HPのワールドワイドでのビジネスの概況と日本での展開を語った。
冒頭、「米国で発表されたワールドワイドにおける第2四半期(2008年2〜4月)の決算発表があり、売り上げは約3兆円、PC部門は約1兆円となり、2007年に比べて16%伸びた。全社の売り上げは11%成長と、年間10兆円の売り上げ規模がある会社で2けたの成長を続けるのは、自分が所属する会社ながらすごいこと。PCの出荷台数は世界で21%、そのうちノートPCが31%成長とノートPCのビジネスがワールドワイドでHPをリードしている。2007年は約5000万台のPCを出荷しているが、日本全体の年間約1400万台と比較して約3.5倍ものPCをHP1社で世界に提供している計算になる」と実績を報告した。
「HPのPC世界シェアは6期連続No.1を記録し、成長を続けている。しかし、日本のシェアは7.6%と第5位に甘んじており、これをどうやって2けたに持って行くのか。メジャープレーヤーとみなさんに認識してもらうには、存在感を持ってビジネスをしないといけない。本日発表の製品はその1つのツールであると考えている」とし、「2006年から2007年の日本でのPC出荷台数を比べると、市場全体がフラットな中で日本HPは16.4%の成長を遂げることができ、日本でもちょっと勢いを出せてきたという状況」という認識を示した。
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今後、日本でのビジネス戦略では「1つは企業向けPCのコアビジネスをさらに強化し、製品のラインアップを増やしていく。グローバルの強みを生かして、日本の市場にあった製品をピックアップして投入していきたい。信頼できるパートナーとして認識していただけるよう、かゆいところに手が届くサポートとサービスを夏以降に提供していきたい。2点目はRCS(リモートクライアントソリューション)と呼んでいる、新しい製品の分野を提供していく」とした。そして「3点目は2007年の3月に日本でも個人向けPCを本気でやっていくと宣言したが、個人の方々に親しみやすいメーカーとして認知されているのか、ブランドを確立していくかが勝負であり、店頭でのPCの販売を含めて個人向けPC市場にも力を入れていきたい」と語った。
より具体的には「頭打ちの感がある日本のPC市場で成長するためには新しいことをやっていかなければならない。今回の新製品は先行で発売したアジア地域で10万台以上、北米ではそれ以上のバックオーダーがある人気モデルだ」とし、「今までも、日本では小さくて軽いPCはたくさんあったが、高価で手が届かなかった。小さくて低価格なHP 2133については、グローバルに展開してボリュームをアップし利益を上げていく。1つのブームで終わらせるのではなく、1つの製品カテゴリに育てていくのがHPの願いだ」と力を込めた。
HP 2133は歴史に名を残す、エポックメイキングなモデルだ
続いて、日本HP パーソナルシステムズ事業統括 モバイル&コンシューマビジネス本部 プロダクトマネージャ 菊地友仁氏が登壇し、36年前にさかのぼってHPモバイル製品の歴史を振り返った。「HPのモバイルプロダクトは常に業界の数年先を行く製品を提供し、市場をリードしてきた。今日発表する製品は、既存のUMPCやMID、ミニPCとはまったく異なるコンセプトで作られており、以前のHPモバイル製品と同様に、歴史に名を残す、エポックメイキングなモデルになると確信している」と自信を見せた。
加えて、「日本のPC市場全体が伸び悩む中で、10インチ以下の液晶ディスプレイを搭載したミニPCが際だった成長を続けている。ただ、ユーザーの需要が高い小型のPCでありながらフルスペックPC、と呼べるような製品は現時点で存在せず、HP 2133 Mini-Note PCを他社に先駆けて投入した」と本機の狙いを語った。
菊池氏は「モバイルPCを買うのに20万円を払う時代は過ぎ去った」と述べ、「これまでモバイルPCというと高価で、スペックに妥協を強いられることであきらめていた方にこそHP 2133 Mini-Note PCを届けたい。モバイルPCを想定したカバンではなく、今お持ちの普通のカバンに入れられるHP Mini-Note PCを5万9850円(スタンダードモデルの場合)で提供していく。これにより、みなさんのライフスタイルが変化していくであろうと信じている」とまとめた。
なお、Windows XPプリインストールモデルやSSD搭載モデルなどの投入については、「需要に応じて臨機応変に対応していく」と述べるにとどまった。
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