アキバ店員のなすがままに、自腹でPCを組んでみた(前編):大人買いは素敵さ、ただ金があるのなら(2/2 ページ)
普段アキバ連載で高価な製品を紹介しているくせに、自分で買ったことがないのは人としてどうか。そんな思いから、予算を設定せずに“熱いパーツ”を買い漁ることにした。もちろん自腹で。
店員さんに心配されながら、Core i7の一番強い奴を購入
3件目のドスパラ秋葉原本店で、二谷氏が引いたのは「CPU」カードだった。合計6GバイトのDDR3メモリを購入したと伝えると、とたんに表情が曇る。「本当に予算の制限はなくていいんですよね?」と言われたのでハイと即答すると、「Core i7 965 Extreme Edition」をプッシュされた。
トリプルチャンネル向けのメモリを購入した時点でCore i7を購入することは予想していたが、まさか最上位となるとは。価格表にはほかのモデルよりケタの多い10万8480円の文字が踊っている。
しかし、二谷氏も単にクロック数が高いから推薦したわけではない。「メモリとのバスとなるQPIの速度が965だけ抜きんでて速いんです。Core i7 920と940が4.8GT/秒なのに対して、965は6.4GT/秒ですからね。メモリのスピードも高められるので、より高いパフォーマンスを体感できるはず。現行のCore i7で唯一内部クロック倍率が可変である点も魅力です」という。
それだけ熱い性能を持っているなら買う以外に手はない。しかも二谷氏は「今ちょうどデモ機に使った開封品が1個だけあります。7万9800円と非常にお買い得なので、ぜひそちらをどうぞ」と超強力な救いの手を差し伸べてくれた。ということで、普通よりも3万円近く安くCore i7 965 Extreme Editionを購入。それでも、領収書を個人名でもらう際「本当に“アイティメディア様”じゃなくていいんですか?」と繰り返された。
ハイエンドユーザー御用達の電源ユニットは?
続いて訪れたのはフェイス本店だ。2階に上がって、布施氏に単語カードを引いてもらい、同店で購入するのは電源ユニットに決まった。布施氏にこれまで購入したパーツを伝えると「Core i7マシンなら、定格600ワット以上はほしいところですね。そこからさらに複数のHDDなどを加えていくなら、750ワット前後の電源ユニットがよいと思います」と見当をつけ、該当コーナーに案内してくれた。
電源ユニットを選ぶ際のポイントとしては、定格ワット数だけでなく、複数のパーツが必要とする+12ボルト電圧の許容量と系統数も重要になる。さらに、もう1つ見逃せないのが信頼性だ。「電源ユニット内部のよしあしは、同じ定格ワット数でもモデルによって大きな差があります。一般的には安いモデルはそれなりのコンデンサや回路しか使えないので、壊れにくかったりバックアップ体制がしっかりととれる高級モデルと比べると、どうしても信頼性が落ちますね。価格度外視で性能重視でいくなら、信頼性で人気のオウルテックのSeaSonicシリーズかENERMAXブランドのモデルがオススメです」という。
そこで最終的に選んでもらったのは、SeaSonicシリーズの定格750ワット電源「SS-750EM」だった。価格は2万9980円。「静音性にも定評があるシリーズなのが決め手です。高性能な構成では特に冷却に気を配る必要があるので、1つ1つの騒音をなるべく小さくすることも重要になりますからね。ハイエンドユーザー御用達のモデルです」
現在4店を巡った段階での合計金額は15万78円。すでに仮予算の半分を超えてしまったが、それぞれ極上のパーツが購入できている満足感はある。このままの勢いで残る5店舗を回って、最高級のマシンを組もうじゃないか! できれば30万円以内で……(中編へ続く)。
著者プロフィール
古田雄介(ふるたゆうすけ)
週末アキバPick UP!を担当するデジタル系ライター。メインPCでは、主に一太郎などを使ったテキスト入力やエクセルによる表計算、インターネットブラウジングやメールチェックなどを行っている。つまり、ごく一般的なPCユーザー。自ブログは古田雄介のブログ。
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