上質デザインとカラーで魅せる富士通初のNetbook──「FMV-BIBLO LOOX M」:Netbookらしくない質感を重視(2/2 ページ)
国内大手PCメーカーでは最後まで日本市場への投入を静観していた富士通が、ついに10.1型ワイドディスプレイを搭載する「FMV-BIBLO LOOX M」をひっさげてNetbook市場に参入した。その実力やいかに。
パフォーマンスは他社Netbookと同等
ベンチマークテスト | FMV-BIBLO LOOX M |
dynabook UX(参考) | |
---|---|---|---|
PCMark05 | PC Mark | N/A | 1497 |
CPU | 1482 | 1530 | |
Memory | 2357 | 2442 | |
Graphics | N/A | 558 | |
HDD | 4533 | 4211 | |
FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3 |
Low | 1438 | 1505 |
High | N/A | 1054 |
気になるパフォーマンスについては、おおむね他社のNetbookと似た傾向だ。標準環境ではPCMark05が完走せず、3DMark06はなんとかスコア計測に成功したものの、スコアは91だった。Final Fantasy XI Official Benchmark 3は、Low(低解像度)では“FINAL FANTASY XI for Windowsを動作させることができる”とされる1438を記録したが、High(高解像度)ではグラフィックスの性能不足時に表示されるエラーメッセージが出て測定できなかった。
もちろんこの結果はLOOX Mが実用性に乏しいという意味ではなく、メールソフトの利用やWebサイトの表示といったNetbookで想定される用途ならばもたつき感もすくなく、ごく普通にこなせる。
ただ、分かってはいるものの、利用する上でなによりも不便と感じたのは、画面解像度──特に縦方向の狭さだ。アプリケーションの一部には設定画面の下部が切れてしまい、「OK」ボタンなどが押せない場合があるだけでなく、Flashを用いた(XGA解像度程度の利用を想定してデザインされた)Webページも下部が表示できない状態になることが多々ある。この場合、スクロールや表示倍率を変更すればいいが、この手間は予想以上に面倒だ。普段からモバイルノートPCをメインPCとして使用する筆者ですら、ややいらいらさせられた。
このほか、稼働中は左側面にある排気口から「サー」というファンの風切り音が聞こえる。この音は通常は一定の音量を保っているので、駅のホームや喫茶店などでの利用では耳につくことはまずないが、システム負荷が高くなるとやや高音質の「キーン」といった音も混じるため、図書館などの静かな環境下ではかなり耳障りに感じる。これについては、BIOSのFAN Control設定で「Silent」を選択することにより低負荷時のファン動作状況を抑えられる。ボディの放熱面では不利になるが、音が気になる場合はこちらの設定を行っておくとよいだろう。
最後に実際のバッテリーの持ちをチェックしよう。標準バッテリー(カタログ値で約2.6時間駆動)において昼間に無線LAN接続でWebブラウズする場合を想定し、電源設定を「バッテリの最大利用」かつ輝度を最大とした状態で、「BBench 1.01」(海人氏作 10秒ごとにキーボード入力、60秒ごとにWebサイト巡回)を行う設定で、満充電状態から自動的に電源が切れるまでの時間を計測した。
結果は約1時間53分だ。スタンバイ状態で半日程度持ち歩き、喫茶店などで1時間から1時間半ほどのWeb閲覧やドキュメント作成などの作業をこなすのがぎりぎりのラインといったところか。より駆動時間を気にすることなく利用したい場合は、カタログ値で約5.3時間の駆動が可能なオプションのバッテリーパック(L)を購入するか、ACアダプタを持ち歩くことになるだろう。
LOOX Mは、上質かつスタンダードなデザインと国内大手メーカーのサポートとともに使用できる安心感が大きな強みだ。同社直販サイトで5万9800円、ネット通販での実売最安値が5万円前後で販売される価格は、先発のNetbook他製品と比較すると大きな割安感はないが、「明鏡国語辞典」や「ジーニアス英和辞典」といった便利に使える14種類の辞書ソフトが付属し、優れた検索機能を備える電子辞書代わりに活用することも可能だ。今後は、SSD搭載モデルの追加などラインアップの強化や本体の軽量化、バッテリーの長寿命化に取り組むことで、国内大手メーカーブランドに安心感を感じる層だけでなく、より辛口のコアユーザー層の取り込みも可能になるのではないだろうか。
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