「Windows 7」のアップグレード、“ここ”に注意:“7”に過去メールデータは移行できる?(2/2 ページ)
OSの上書きインストール条件やデータのバックアップ手段、メール移行時の注意点など、個人ユーザーがWindows 7の乗り換えで留意したいポイントをまとめた。
「新規インストール」時も、データや設定を移行できる手段はある
一方、Windows XPユーザー(や、上書きインストール条件外のWindows Vistaユーザー、Windows 7 β/RC版なども含む)は新規インストールのみとなる。
新規インストールは、上書きインストールのようにファイルや設定は保持されない(引き継がれない)が、旧OSから起動したインストール時に旧環境のファイルやフォルダがある場合は、旧データを「Windows.old」というフォルダへ自動格納する仕組みが備わる。「バックアップと呼ぶものではなく、あくまで緊急用という考え方のもの。万一に備え、データは別途あらかじめバックアップしておいてほしい」(マイクロソフト)とするが、アップグレード後も旧環境のデータは参照できるようになっている。
このほか、主にPCをリプレースしたユーザー向けにデータや設定を移行できる「Windows 転送ツール」も用意する(実は、以前からあるものだが)。移行できる項目は以下のとおりだ。
操作は、Windows 転送ツールをWindows 7のインストールメディア(あるいは新規購入したWindows 7インストール済みPC経由でコピーしたUSBメモリなど)から旧環境にインストールし、データを外付けHDDやUSBメモリなどへバックアップ(ネットワーク経由、データリンク・ピアツーピアUSBケーブル接続)。インストール後のWindows 7環境、あるいはWindows 7プリインストールPCで復元する──という流れで行う。別のPCにあるWindowsに複数のユーザー設定がある場合もまとめて移行できるという。
移行できる主なデータと設定 | |
---|---|
データ | お気に入り、アドレス帳、個人フォルダ(デスクトップ上のデータ、ドキュメント、ビデオ、ピクチャ、ミュージック、ダウンロード、保存したゲームデータなど)、任意のフォルダ |
設定 | プログラム設定、Windows設定 |
「標準メールソフト」は、原則として“なし”
Windows XPにはOutlook Express、Windows VistaにはWindowsメールが、それぞれOS標準のメールクライアントとして用意されていたが、Windows 7は原則としてメールクライアントを標準で備えない。メールやIMソフト、ムービー系ソフトなどクライアントソフトウェアは、HotmailやSkydriveなどのオンラインサービスを組み合わせた「Windows Live」の中の1アプリケーションとして無償提供され、ユーザーが必要なものを好みでインストールする仕組みだ。
「OSのバージョンアップは約3年サイクルであるのに対し、メールなどのクライアントソフトやオンラインサービス用ツールは流行やユーザーニーズに応じてそれより早いサイクルでの更新が求められる。このためにOSそのものとは切り離した」(マイクロソフト)のが主な理由だ。Windows Liveは約1年ごとに更新していくとし、次は2010年1月ごろにバージョンアップを行う予定だという。
このため、Outlook ExpressやWindowsメール利用者は、Windows Liveソフトウェア群の1つ「Windows Liveメール」を自分自身でダウンロードおよびインストールして利用する必要がある。ある程度PCの操作に慣れたユーザーであればインストールそのものは容易だと思われるが、今後登場するWindows 7標準搭載のメーカー製PC購入者を中心とする初心者層に対してはどうか。
この点、国内で発売する主要約20社のメーカー製PCは、はじめからWindows Liveメールなどのソフトウェアをプリインストール(ダウンロード済み状態)で出荷する──といった策とともに展開する予定とのことだ。
メールデータ「移行時」の注意点
Windows Vista+Windowsメールユーザーは、上書きインストール+Windows Liveメールの別途インストール、あるいは新規インストール+Windows転送ツールで旧メールデータのバックアップ・復元+Windows Liveメールの別途インストールの2パターン。Windows XP+Outlook Expressユーザーは新規インストール+Windows転送ツール+Windows Liveメールの別途インストールの方法で、原則として過去のメールデータ(アカウントやメール本文など)を引き継いで利用できる。
なお、新規インストールを行った場合(特にXPユーザー)、あるいはWindows 7搭載PCを新たに購入した場合は、「メールのバックアップデータを先に復元」してからでないと過去メールの引き継ぎが行われない点に注意が必要だ。
最近はHotmailやGmailなどのWebメールのみに移行する利用シーンも増えたが、過去のメールも含めてプロバイダメールのデータは重要と考えるユーザーももちろん多い。マイクロソフトは、複数のメールソフトを使用している場合なども含めた移行手順を解説するユーザーサポートサイト(http://www.microsoft.com/japan/windows/mail/ 2009年10月22日開設予定)を開設するという。公開はWindows 7発売日の2009年10月22日の予定だ。
関連キーワード
Windows 7 | XPモード | Windows Vista | Windows Live | Microsoft(マイクロソフト) | Windows Vista SP1 | Hotmail | Gmail | SkyDrive | 仮想化 | Webメール
関連記事
- 「Windows 7」関連記事一覧
- MS、Windows 7対応キー搭載のワイヤレスキーボードセット
マイクロソフトは、Windows 7の新機能“Taskbar Favorites”に対応したワイヤレスキーボード/マウスセット「Microsoft Wireless Comfort Desktop 5000」を発売する。 - Windows 7 前奏曲:第5回 Windows 7のエクスプローラは使いやすくなったか?
開発者向けに日本語版RTMの提供が始まり、いよいよ発売間近になってきたWindows 7。本連載も今回からRC版ではなく、RTM版を使って、XPやVistaと各機能を比較していく。 - Vistaと同じ轍を踏まない──“よい口コミ”を期待するWindows 7の販売戦略
マイクロソフトはWindows 7のマーケティング戦略として発売日前後のローンチスケジュールを公開。今後数カ月に渡ってパートナー企業と共同でアピールしていく。 - Windows 7 Starterを導入したNetbookは使えるのか?
開発者向けにリリースが始まったWindows 7。ファミリーパックの動向や、NetbookでWindows 7 Starterが使えるのか、気になる点をチェックした。 - MS、Windows 7の「アップグレードパック」と「ファミリーパック」を発表
Netbook版やHome Premiumエディションを上位エディションに割安価格でアップグレードできる「Anytime Upgrade」と、3台分ライセンス付きHome Premiumの価格が発表された。 - Windows 7 前奏曲:第3回 Windows 7のスタートメニューと通知領域はこう進化した
Windows 7ではタスクバーの仕様が大きく変わり、通知領域やスタートメニューは使い勝手の向上が図られた。今回もVista/XPと見比べながら調べていこう。 - Windows 7 日本語版の発売日が10月22日に決定
マイクロソフトが、これまで国内の発売日を未定としていたWindows 7のパッケージを10月22日に発売すると発表した。 - そういえば今使っている周辺機器、「Windows 7」でも動くのだろうか
Windows 7へのアップグレードにより、今まで使っていた周辺機器が動作しなくなる可能性がある。現時点でのPC周辺機器メーカーが公開するWindows 7対応状況の一部をまとめた。 - 「ひとりでも多くのユーザーに」――Windows 7の価格と優待アップグレードを発表
マイクロソフトがWindows 7のパッケージ価格と優待アップグレードの詳細を発表した。7月5日までに先行予約をすれば、Windows 7が7777円で手に入るキャンペーンも。 - 期待が膨らむWindows 7に対するアレコレ
10月22日の発売に向けて、カウントダウンが始まるマイクロソフトの次期主力OS「Windows 7」。筆者が新OSに期待するものとは!? - Windows 7は「地デジ」と「マルチタッチ」を標準サポート──ただ、DTCP-IPは非対応
Windows 7はデジタル放送とタッチ操作を標準でサポートする。対応機器とWindows Media Center+タッチ操作で地上デジタル放送の視聴や録画、HDMI出力、ダビング10などに対応する。 - Windows 7の「デバイス管理」と「リモート再生」は何が変わる?
Windows 7には、接続したデバイスを一元管理して個別に詳細情報へアクセスできる機能が追加された。コンテンツの再生と配信の機能も強化されているが……。 - Windows 7の“互換性を高める5大取り組み”とは?
Windows 7では、ユーザーアカウント制御の仕様が変わり、互換性への取り組みも強化された。ロゴプログラムの変更で、Windows 7ロゴ付きの製品が増えることも期待できる。 - 「XPより快適」──動画で見るWindows 7の起動速度とパフォーマンス
マイクロソフトが実施したWindows 7 RC版の機能説明プレスセミナーで、「速い」と言われるWindows XPとWindows 7の起動時間比較デモが行われた。 - Windows 7 RCの注目機能「XPモード」と「リモートメディアストリーミング」を試す
Windows 7の製品候補版(RC版)には、XPユーザーの救済策やモバイルでの利便性を高める新機能が追加されている。早速、これらの新機能をチェックしてみた。 - 「深夜販売は気合い入れるよ」――アキバに見るWindows 7の評判は?
Windows 7へのアップグレード権が付いたWindows Vistaの販売が始まり、一部のショップは特典を用意して盛り上げる。現在の売れ行き、そしてWindows 7自体の評判はいかほどか? - 新モデルの情報を随時更新:ミニノート/Netbook/UMPCのすべて
新作が続々と登場するミニノートPC。人気のVAIO type Pはもちろん、東芝や富士通、シャープといった国内メーカー製の新型Netbookに注目だ!! - 特集:Windows 7のすべてが分かる
10月22日に発売が決定した新OSのWindows 7。その最新情報をはじめ、VistaやXPの違いなどがすぐ分かる!! 各PCメーカーのアップグレード情報も網羅!! - 次世代PCデータ通信特集
モバイルWiMAXや3G/HSPAの旬なPCデータ通信から、次世代の高速通信まで、「PCでデータ通信を利用するユーザー」のためのPCデータ通信関連情報を随時更新!
関連リンク
- Windows 7
- マイクロソフト
- 製品最安値比較サイト:ITmedia +D Shopping
- ソフトウェアダウンロード販売サービス:+D Download
- ソフトウェアのライセンスはまとめ買いがお得:LICENSE ONLINE
- デジタルライフに彩りを与える専門ショップ:+D 専門店街
- PCパーツからオシャレなノートPCまで:msi style!
- 欲しかったアレがここにある!:ニーハオ!!上海問屋
- VAIOのことならお任せ!:VAIO LOVERS
- ソニーじゃなきゃもったいない!:SONY LOVERS
- FMVを安く買うならここ!:富士通マニア
- ThinkPadがWeb限定特価:Lenovo media
- デルのお得が毎週更新:DELL evolution
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.