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失礼な! 電気は通っていますよ!!──チベットの“大都市”でIT事情を探る山谷剛史の「アジアン・アイティー」(3/3 ページ)

日本では「ヒマラヤ!」の印象が強いチベット。情勢不安定で入域が難しく、生活する人の姿が見えてこない。PCやケータイを串、いや、駆使する人はいるのか?

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やっぱりあるんだ海賊版

 ポタラ宮などのランドマークを前に、多くの観光客が記念撮影をするが、チベット人観光客は携帯電話で撮り、高価な服をまとう中国沿岸部から来た中国の観光客はデジタル一眼レフカメラで撮る。中国人観光客が手にするのは携帯電話は、iPhoneをはじめとしてBlackBarry、Androidデバイスなどの、大画面タッチパネル搭載スマートフォンが多数だった。所得格差が激しい中国だけに、遠くチベットまで旅行できるのは、裕福で外見の見えを重視し、高価なガジェットを所有できる層に限られるようだ。

 生活の場として機能している旧市街の市場では、日用品やチベット仏教の仏具、それにチベット料理に必要な香辛料とウシ科の動物「ヤク」のバターなどを売る屋台が並ぶ。そういう、チベット色の強い商材と並んで、旧市街の市場で販売されているデジタルガジェットには、ポータブルのMP3プレーヤーよりUSBメモリやSDメモリーカードを差して使うミニコンポが主流だ。

 この手の市場でよくある「海賊版CD/DVD屋台」も複数確認できた。ここで並んでいた海賊版CD/DVDは、中国で販売されているコンテンツだけでなく、チベット語のコンテンツも多い。一部の屋台ではインドのコンテンツも扱っている。これは、インド文化がチベット文化と関係が深く、市民にも広く浸透しているためだ。旧市街の食堂でも店内に流れるインド音楽を聞きながらチャイを飲み、インドカレーを食べることができる。

庶民向け家電販売店でよく見かけるミキサーはチベットの伝統飲料「バター茶」を作るのに使われる(写真=左)。旧市街の流通は屋台が主役(写真=中央)。そういう屋台街に必ず生息する海賊版ショップ(写真=右)

 チベットの“大都市”であるラサは、過度に観光地化することなく生活の場として利用され続ける旧市街を、中国の都市のように整備された新市街が囲んでいる。そして、その外に広がる農村も機械化が進むなど、急速に進化しているようだ。次回は、チベットのさらに奥地、外国人が立ち入るのは非常に困難で出てくる情報がごくごく限られている中国の最果てに突入する。

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