ベンチマークテストで振り返る2010年のCPU:イマドキのイタモノ(3/3 ページ)
2010年の“イマイタ”レビューに登場したのは、CPU8モデル。その性能と仕様の進化と傾向をベンチマークテストのグラフで振り返る。
微妙な立ち位置だったCore i7-970
2010年3月に登場したCore i7-980X Extreme Editionは、2010年が終わろうとする今でもコンシューマー向けCPUで最高の性能を発揮するモデルだ。ただし、その価格も10万円をわずかに切るという“高値”にとどまっている。少しでも購入しやすい6コアモデルをユーザーに提供するために投入されたのが「Core i7-970」だ。倍率変更ロックが有効になった通常モデルで、動作クロックは定格で3,2GHz、Turbo Boost Technology有効時で最大3.46GHzとわずかに引き下げられている。
※記事初出時、Core i7-980Xの価格表記に誤りがありました。おわびして訂正いたします。
ベンチマークテストの結果も、引き下げられたクロックを忠実に反映していて、その差は少ない。それで実売価格は1万5000円程度の違いだ。“イマイタ”レビューでは、この差は自作PCユーザーにとってあまり意味はないものの、価格競争力が求められるショップブランドPCで効果を発揮するのではないかと、という微妙な評価でまとめている。
さらに微妙なAMDの6コア最上位モデル
インテルもAMDも2011年に新世代のCPUを発表を予定している。そういう年末になると、自作PCユーザーは従来プラットフォームに対応したPCパーツを買い控えるようになってくるが、そういう中でも、AMDは新製品をドカドカと投入してきた。その多くは、ミドルレンジの高クロック版であったり省電力版であったりしたが、12月になって、6コアモデルで最上位となる「Phenom II X6 1100T Black Edition」をリリースしている。
アーキテクチャに変更はなくリビジョンも同じで、唯一変わった動作クロックも100MHzアップという、微妙なスペックの最上位モデルで、性能検証の結果もベンチマークテストによっては100MHzの違いが誤差に埋もれてしまうほどだった。
年の初めに新しいアーキテクチャがミドルレンジで一気に登場し、春に最上位となる6コアモデルで盛り上がったものの、季節が進むにつれて派生モデルで場をつないで、最後は微妙な製品で幕を閉じるというのが2010年のCPUだった。
Phenom II X6 1100T Black Editionのレビューを掲載した直後に、「これが“嵐の前の微妙”というのか」と思わずつぶやいてしてしまったが、2011年の初めに新世代モデルが一気に登場する“予感”だ。自作PCユーザーとしては期待に満ちた(紹介する側としては疲労に満ちた)2011年の幕開けを楽しみに待ちたい。
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