「VAIO Y(YB)」の真価を問う――“AMD Fusion APU”搭載モバイルノート:従来モデルと徹底比較(4/5 ページ)
ソニーの「VAIO Y(YB)」は、AMDの最新プラットフォームを採用したモバイルノートPC。インテルプラットフォームの従来機と比較しながら、その実力をチェックした。
AMD E-350+Radeon HD 6310のパフォーマンスを検証
初採用となるAMDの最新プラットフォームを搭載しているだけに、そのパフォーマンスは気になるところだ。インテルの超低電圧版Core i3-380UM(1.33GHz)を搭載した従来機のVAIO Y(YA)との力関係を中心に見ていこう。一部のテストでは、参考までにデュアルコアの超低電圧版Celeron SU2300(1.2GHz)を搭載した「UL20A」のスコアも併記している。
テスト結果を比較したノートPCの基本スペック | |||
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製品名 | VAIO Y(YB) | VAIO Y(YA) | UL20A |
CPU | E-350(1.6GHz) | Core i3-380UM(1.33GHz) | Celeron SU2300(1.2GHz) |
チップセット | AMD A50M Fusion | Intel HM55 Express | Intel GS45 Express |
GPU | Radeon HD 6310(CPU内蔵) | Intel HD Graphics(CPU内蔵) | Intel GMA 4500MHD(チップセット内蔵) |
メモリ | PC3-8500/2Gバイト(2Gバイト×1) | PC3-6400/2Gバイト(2Gバイト×1) | PC2-6400/2Gバイト(2Gバイト×1) |
ストレージ | HDD 320Gバイト(5400rpm) | HDD 320Gバイト(5400rpm) | HDD 320Gバイト(5400rpm) |
OS | 32ビット版Windows 7 Home Premium | 64ビット版Windows 7 Home Premium | 64ビット版Windows 7 Home Premium |
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まずはWindowsエクスペリエンスインデックスだが、プロセッサのスコアは3.7と低めな一方で、グラフィックスは4.6、ゲーム用グラフィックス5.9と、VAIO Y(YA)に比べて高くなっている。
PCMark05のスコアもやはり同様の傾向で、CPUスコアではVAIO Y(YA)にはっきり及ばないが、逆にGraphicsでは上回っている。Celeron SU2300を搭載するUL20Aと比べてもCPUスコアは少し低い。
PCMark Vantageについては、64ビットOSを搭載する製品では64ビットバイナリ(x64)と32ビットバイナリ(x86)の両方を実行することができる。前者のほうが少しよいスコアが出るが、ここでは比較の参考ということで32ビットで統一した。
ここでもVAIO Y(YA)に差を付けられた。同じデュアルコアでもHyper-Threadingで4スレッドの同時実行が行えるCore i3-380UMに比べると、マルチスレッド処理の実行性能で分が悪いようだ。Celeron SU2300搭載のUL20Aにも及ばないが、かなり拮抗したスコアも見られ、グラフィックス性能が比較的大きく影響するGaming Suitesでは逆転している。
DirectX 9.0c世代の3Dベンチマークテストである3DMark06では、逆にVAIO Y(YB)のほうが、VAIO Y(YA)の2倍近いスコアをマークしている。CPUスコアでは負けているが、ゲームシーンの描画テストでは2倍以上の差を付けており、グラフィックス性能の高さが分かる。
FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3でもHigh設定、Low設定ともにVAIO Y(YB)がVAIO Y(YA)の1.7倍前後と、明らかによいスコアを出した。本格的な3Dゲームのプレイは無理だが、描画負荷の軽いオンラインゲームなどのプレイには向いている。
以上の結果から、AMD E-350のCPUコア性能は、Celeron SU2300の80〜90%程度、グラフィックス性能はCore i3-380UM(Intel HD Graphics)の1.5〜2倍程度といったところだろうか。ちなみに、YouTubeで360p動画を再生している最中のCPU使用率は25%前後、VAIO Y(YA)は8%前後だった。
AMDプラットフォームのイメージを覆す省電力
バッテリー駆動時間のテストは、BBench 1.01(海人氏・作)で行った。BBenchの設定は「60秒間隔でのWeb巡回(10サイト)」と「10秒間隔でのキーストローク」だ。無線LANで常時接続し、電源プランはWindows 7標準の「バランス(ディスプレイ輝度40%)」を利用している。使用したWebブラウザはInternet Explorer 8(32ビット)だ。
テスト結果は、ちょうど5時間経過後に休止状態へ移行した(バッテリー残量5%表示)。まったく同じ設定で4時間53分だったVAIO Y(YA)を少しだが上回っている(誤差程度の違いだが)。このような常時ネット接続環境で5時間の駆動ができれば、モバイルノートPCとしては実用十分といえるだろう。
また、VAIO Y(YB)とVAIO Y(YA)の消費電力もワットチェッカーで計測してみた。ノートPCの消費電力をワットチェッカーで計測する場合、バッテリーを充電している最中は消費電力が高くなる。そのため、バッテリーは100%まで充電した状態で行っているが、使用中はどうしてもバッテリーが消耗するので、同じ機種、同じ処理でもタイミングによって上下することがあるようだ。厳密な比較には適さないが、何度か計測してみたところでは、だいたい似たような消費電力で、バッテリーの駆動時間やTDPの数値を裏付けている。
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