「VAIO Y(YB)」の真価を問う――“AMD Fusion APU”搭載モバイルノート:従来モデルと徹底比較(5/5 ページ)
ソニーの「VAIO Y(YB)」は、AMDの最新プラットフォームを採用したモバイルノートPC。インテルプラットフォームの従来機と比較しながら、その実力をチェックした。
発熱の処理も優秀なレベル
静音性、発熱の傾向は、VAIO Y(YA)とVAIO Y(YB)でほぼ同じだ。どちらもそれほど静粛という感じではないが、うるさくもない。アイドル時や低負荷時でも静かな部屋でははっきりと風切り音を認識でき、高負荷時にはそれなりに大きくなることが確認できる一方、空調機器や生活家電などが動作している状況では、ほとんど気にならない。放熱ファンの動作は負荷に敏感すぎることはなく、ゆるやかに上下するので、ファンの音の変化が耳障りに感じることもなかった。
発熱の処理には優れており、表面のパームレストやキーボードに不快な熱が伝わってくることはなかった。高負荷時に、底面の一部が高熱になるといった問題も見られない。左側面の排気口から排出される空気も特別熱いと感じなかった。むしろ、排気口付近の風はVAIO Y(YA)のほうが熱いくらいだ。バッテリー駆動時間のテストと合わせて見ると、CPUとGPU合わせてTDPが18ワットという数値は、額面通りに受け取ってよさそうだ。
新しい選択肢として“十分アリ”なAMD Fusion APU搭載モバイルノート
VAIO Y(YA)は、PowerPointとOneNoteが含まれるオフィススイートのOffice Home and Business 2010をはじめ、VAIO独自の写真・動画管理ソフト「PMB VAIO Edition」やメディアプレーヤーソフト「Media Gallery」も備え、実売価格が10万円前後となっている。ソニーでは、VAIO Y(YB)のターゲットを学生やNetbookからのステップアップをしたいユーザーとしており、上位機のVAIO Y(YA)はオフィスアプリケーションを使いこなすなど、PCをプロダクティビティツールとして使いたいユーザー向けとしている。
PCMark Vantageのテスト結果に見るように、最近のリッチなオフィスアプリケーションを複数起動するなど、バリバリと使いこんでいくと、少し力不足を感じる場面もあるかもしれないが、OSの基本操作における体感的な性能はVAIO Y(YA)と比べても遜色なく、アプリケーション単体で入力作業などをするぶんには、特にストレスも感じない。
動画コンテンツの視聴も快適で、グラフィックス性能はVAIO Y(YA)よりもこちらのほうが上なので、オンラインゲームなどをするならば、有利だろう。さらに、バッテリー駆動時間や発熱のテストではVAIO Y(YA)をしのぐほどの結果を残しており、低価格モバイルノートPCとしての完成度はなかなかのものだ。
ただ、液晶ディスプレイの品質を考えると、VAIO Y(YA)とは価格以上の差も感じてしまう。個人的には、1万円程度高くても、液晶だけでVAIO Y(YA)を選びたくなるのだ。画質にこだわるなら、実際に2台を見比べてみることをおすすめしたい。この点に納得できれば、ソニーが狙うユーザー層にとって、十分検討対象に入るだろう。
関連キーワード
VAIO | VAIO Y | ノートPC | モバイルPC | APU | ソニー | AMD Fusion | アイソレーションキーボード | Brazos | CULVノート | ノートPC向けプラットフォーム
関連記事
- 2011年PC春モデル:AMD Fusion APU搭載の11.6型モバイルノート――「VAIO Y(YB)」
ソニーはVAIOの2011年春モデルに、11.6型ワイド液晶とAMD Fusion APU搭載のモバイルノート「VAIO Y(YB)」を追加した。1月29日に発売する予定だ。 - 2011年PC春モデル:ソニーが「VAIO」春モデルを発表――売れ筋モデルに注力、AMD Fusion APU搭載機も
ソニーは「VAIO」の2011年春モデルを1月22日より順次発売する。Sandy Bridgeの採用は見送られたものの、AMDの新プラットフォーム搭載モバイルノートが追加された。 - VAIO Z 長期使用リポート:第2回 「VAIO Z」のHDDをSSDに換装する(前編)
標準搭載ストレージの違いが、PC性能の決定的差ではないということを教えてやる――というわけで、HDD内蔵の「VAIO Z」を思い切ってSSDに換装してみた。 - VAIO Z 長期使用リポート:第1回 「VAIO Z」のクアッドSSDを味わう
“何もあきらめなかったモバイル”こと「VAIO Z」。なんて強気なキャッチフレーズなんだろう。ノートPC好きをワクワクさせてくれる、数少ない1台だ。 - ソニー、PC秋冬モデルの隠し球:「VAIO Y(YA)」徹底検証――“11.6型”追加モデルの実力は?
ソニーのバリューモバイルノートPC「VAIO Y」に11.6型ワイドモデルが加わった。VAIOの小型ノートが欲しいが、Atomでは力不足という人にマッチする1台だ。 - 第2世代VAIO P ロードテスト:第5回 「VAIO P」のデータ同期ソフトを活用する
主にサブノートPCとして使う「VAIO P」では、メインPCとのデータ同期をどのように行うかが使いこなしのポイントとなる。同期ソフトは標準添付されているが……。 - 第2世代VAIO P ロードテスト:第4回 「VAIO P」と知らない街をブラブラする
モバイルPCに「ナビ」的な機能を求める人は少なくないだろう。今回は「VAIO P」をガイドブック代わりに、知らない街を歩いてみた。そして、たどり着いた先は……。 - 第2世代VAIO P ロードテスト:第3回 「VAIO P」と競馬のオイシイ関係
競馬場でレースを観戦しながら、あるいは競走馬を撮影しながら、手元で予想したり勝馬投票できたりする「VAIO P」は、理想的なミニPCかもしれない。 - 第2世代VAIO P ロードテスト:第2回 「VAIO P」でWiMAX無双を体感する
充実したワイヤレス通信機能は「VAIO P」が持つ大きな魅力の1つだ。今回も前回に引き続き、VAIO Pを屋外でバリバリ通信しながら使ってみる。 - 第2世代VAIO P ロードテスト:第1回 「VAIO P」でb-mobileを使ってみる
外出先で「VAIO P」をカバンから取り出すと、「おっ」と、多少なりとも驚きの反応をもって迎えられる。その好奇の反応、視線が少し恥ずかしくもあり心地よい。 - 2010年PC秋冬モデル:ソニー、「VAIO」秋冬モデルを発表――カラバリ拡充、USB 3.0搭載
ソニーは「VAIO」の2010年秋冬モデルを10月9日より順次発売する。USB 3.0の採用など基本スペックを底上げし、カラーバリエーションを拡充をした。 - 2010年PC秋冬モデル:16.4型フルHD液晶のAVノートがUSB 3.0対応に――「VAIO F」
Core i7や16.4型フルHD液晶、ダブル地デジチューナーを搭載したハイスペックなAVノート「VAIO F」はUSB 3.0ポートを追加したほか、GPUやCPUの性能を底上げした。 - 2010年PC秋冬モデル:3コアCPUの低価格モデルと新色で攻めるカラフルノート――「VAIO E」
15.5型/14型ワイド液晶を搭載する主力ノートPC「VAIO E」の新モデルは、低価格帯にPentiumモデルとPhenom II X3モデルを用意。直販限定の新カラーも加えた。 - 2010年PC秋冬モデル:新CPU+新“柄バリ”、ハイエンドモバイルノートがマイナーチェンジ──「VAIO Z」
13.1型ワイド+SSD+重量1.37キロのハイパフォーマンスモバイルノートPC「VAIO Z」は、前モデルと基本仕様はほぼ同じく、マイナーチェンジ版として展開する。 - 2010年PC秋冬モデル:基本性能を強化した13.3型サイズのベーシックモバイル──「VAIO S」
13.3型ワイドの液晶ディスプレイと光学ドライブを搭載するベーシックなモバイルPC「VAIO S」は、CPUの強化と新色追加でリニューアルした。 - 2010年PC秋冬モデル:USB 3.0に対応した21.5型ワイドの液晶一体型PC――「VAIO J」
上位機種にタッチパネル対応モデルもそろえる21.5型ワイドの液晶一体型PC「VAIO J」は、基本スペックを細かく強化しつつ、新たにUSB 3.0対応ポートを搭載したのが目を引く。 - 2010年PC夏モデル:ソニー、Office 2010搭載の「VAIO」夏モデルを発表――ボードPC、カラバリ、テレビ機能に注力
ソニーは「VAIO」の2010年夏モデルを6月19日より順次発売する。目玉はフルモデルチェンジしたボートPCの「VAIO J」、カラバリの拡充、そしてテレビ機能の進化だ。 - 2010年PC夏モデル:16.4型ワイド液晶+ダブル地デジのプレミアムノート――「VAIO F」
クアッドコア搭載モデルもそろえるAV志向の高機能ノートPC「VAIO F」シリーズは、CPUが強化されたほか、最新のオフィススイートをプリインストール。 - 2010年PC夏モデル:極薄ノートにピンクが登場、無線“全部入り”にも対応――「VAIO X」
薄型軽量モバイルノートPC「VAIO X」は店頭販売が終了。直販モデルは新色のピンクや、無線WANとWiMAXの同時搭載構成が選べるようになった。 - 2010年PC夏モデル:コストパフォーマンス重視の新Netbook――「VAIO M」
「VAIO M」はNetbookの新シリーズ。従来の「VAIO W」をベースとして、よりコストパフォーマンスを追求している。カラーはホワイト、ピンク、ブルーの3色だ。 - 2010年PC夏モデル:24型ワイドの大画面“ボードPC”がグラフィックスを強化――「VAIO L」
上位モデルにマルチタッチ対応モデルをラインアップする24型ワイドの液晶一体型PC「VAIO L」は、CPUやGPUなどの基本スペックを強化した。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.