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“グラスレス”で3D立体視が手軽に楽しめる――「FMV ESPRIMO FH99/CM」を試すもうメガネには頼らない(1/4 ページ)

3D立体視ってメガネをかけるのが面倒だし、2人で見たいのにメガネが1つしかない……。なんてことにならない“グラスレス3D”対応PC「FMV ESPRIMO FH99/CM」を試した。

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メガネなしで3D立体視が可能な液晶一体型PC

富士通の「FMV ESPRIMO FH99/CM」。ボディカラーはエスプレッソブラックのみ

 富士通の2011年PC春モデルにおいて目玉機種となるのが、3D立体視対応の液晶ディスプレイ一体型デスクトップPC「FMV ESPRIMO FH99/CM」だ。

 3D立体視対応といっても、FH99/CMは一味違う。外付けの専用パネル「3Dコンバージョンパネル」を液晶ディスプレイ表面に装着することで、メガネをかけないで3D立体視が楽しめる“グラスレス3D”機能をいち早くPCに導入してきたのだ。こうした方法で3D立体視の機能を提供しているPCはほかになく、その点だけでも注目に値する。

 さらに、明るく鮮やかな23型ワイド液晶ディスプレイをはじめ、Sandy Bridgeの開発コード名で知られる第2世代Core プロセッサー・ファミリー、地上/BS/110度CSデジタル放送用のダブルチューナー、Blu-ray Discドライブなど、テレビ機能付きPCとして高い性能と機能を搭載することに加えて、「ナノイー」発生ユニットや膨大な付属ソフトまで盛り込んでおり、実に欲張りな1台といえるだろう。

3Dコンバージョンパネルで“グラスレス3D”を実現

1920×1080ドット表示の23型ワイド液晶ディスプレイは光沢タイプで、高輝度、高色純度、高速応答をうたう

 23型ワイド液晶ディスプレイは1920×1080ドット(フルHD)の表示解像度に対応。富士通が「スーパーファインVX液晶」と呼ぶ、高輝度、高色純度、高速応答をうたう光沢タイプの液晶ディスプレイを採用しており、映り込みを抑える低反射処理も施している。

 実際の見た目も非常に明るく鮮やかで、画面への映り込みも一般的な光沢パネルに比べると抑えられている。TN方式の液晶パネルなので、上下方向の視野角はあまり広くないが、左右方向は比較的広い印象だ。

 3D立体視については、冒頭で述べた通り、独自のグラスレス3D機能を備えている。3D立体視では左目用と右目用に別々の映像を見せることで擬似的に立体感を作り出すため、どのようにして左目用と右目用の映像を表示するか、どのようにして別々に見せるかがポイントだ。

 専用のメガネをかけず、裸眼で3D立体視を行う方法としては、角度の違いによって片方の画素が隠れて見えるようにする技術の「視差バリア」方式(「ニンテンドー3DS」が採用)や、かまぼこのような形をした凸レンズをシート状に並べて画素が見える方向を制限する「レンチキュラー」方式などがある。

 このFH99/CMでは、液晶ディスプレイに付属の「3Dコンバージョンパネル」と呼ばれる着脱可能なパネルをかぶせることで、裸眼での3D立体視を可能にする。仕組みの詳細は公開されていないが、レンチキュラー方式の応用だと思われる。

 3Dコンバージョンパネルは、左右に取っ手の付いた透明のパネルにもう1枚厚みのあるパネルを貼り付けた構造になっており、うっすらと斜めの線が入っているように見える。これを液晶ディスプレイのフレームにあるツメにひっかけるだけという非常にシンプルな仕組みだ。3D立体視映像が視聴できる範囲はディスプレイの左右の端からそれぞれ100度の範囲内、100〜160センチの距離とされている。

メガネなしで3D立体視を楽しむための「3Dコンバージョンパネル」と専用スタンドが付属する(写真=左)。3Dコンバージョンパネルの装着は、液晶フレームの下辺を合わせて押し込むだけと簡単だ(写真=中央)。3Dコンバージョンパネルは左右に取っ手が付いており、この部分を液晶フレームのツメで固定する仕組みだ(写真=右)

裸眼ならではの開放感ある立体視は一見の価値あり

 実際にBlu-ray 3Dコンテンツを試聴してみた印象だが、見え方としては円偏光方式に近い。しかし、見た目の解像度が半分になる円偏光方式ほど解像感の低下は感じなかった(1画面で2つの視差を作るということは同等なので、単にそう感じるだけかもしれない)。アクティブシャッター方式のようなキレはないものの、ナチュラルな解像感で、目立った輝度低下もなく、23型ワイド画面で見るぶんには不足を感じない。

 また、メガネをかける方式では得られない裸眼ならではの開放感、気軽さも確かに実感できる。2人並んで視聴しても裸眼での3D立体視が十分楽しめた。円偏光方式に比べれば目の疲れも少ない印象だ。なお、3Dコンバージョンパネルに施された斜めの線は、3D表示状態でも近めの距離ではうっすらと見えて、布に投写しているような質感に思えるが、100センチ以上離れれば、ほとんど気にならなかった。

 難点は、見る角度やシーンによっては画面と3Dコンバージョンパネルのモアレ(干渉縞)が発生することだ。見る角度を変えると目立たなくなるが、またシーンが変わると現れたり、完全に見えなくすることは難しいようだ。コンテンツに集中していれば気にならないことも多いが、白一色など画面の広い領域に渡って同じ色(特に明るい色)が表示されるような場面では、特に気になる傾向がある。

 また、3Dコンバージョンパネルの取り扱いも注意が必要だ。Windows 7のデスクトップ画面など、2Dの画面を表示している状態で3Dコンバージョンパネルをかぶせると斜めの線がそのまま浮き上がって見えて、小さい文字などはほとんど判別できなくなってしまうので、パネルは3Dコンテンツを見る直前に装着する必要がある。使わないときは本体とは別にパネル自体の置き場所をとってしまうし、メンテナンスの手間も余計にかかってしまう。この辺りは工夫の余地がまだまだありそうだ。

 なお、FH99/CMの下位機には従来同様、円偏光方式の3D立体視に対応したモデル「FMV ESPRIMO FH98/CM」も用意している。円偏光方式は専用メガネの装着が必須だが、FH99/CMのグラスレス3Dに比べて立体視の効果は高い。FH99/CMのグラスレス3Dは、家族や友人と一緒に見たり、カジュアルに3D立体視を楽しむのに向いた方式といえる。

2Dの画面で3Dコンバージョンパネルをかぶせると、このように表示が見にくくなってしまう(写真=左)。従来同様、円偏光方式の3D立体視に対応した23型フルHD液晶搭載モデル「FMV ESPRIMO FH98/CM」も用意しており、こちらはエスプレッソブラック(写真=中央)のほか、スノーホワイト(写真=右)のカラーが選べる

*** 一部省略されたコンテンツがあります。PC版でご覧ください。 ***

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