短納期とコスト削減ならAtomとAndroidの組み合わせだ(2/2 ページ)
インテルは、2月2日にAtom E600番台をはじめとする組み込み向けプラットフォームの製品展開に関する説明会を行い、納期短縮とコスト削減の可能性を訴求した。
開発工数は“従来プラットフォーム”の3分の1!
説明会では、Atom E600番台を利用した「Android BSP for Intel Atom Processor E600 Series」が紹介された。ターボシステムズが提供する開発環境サポートパッケージで、同社の専用Webページから組み込み機器関連開発者に対して無償で提供する。
ターボシステムズでは、組み込み機器の開発において、顧客の要求が高度化し、それに伴って開発コストと開発期間が肥大化していることが大きな問題になっていると説明、その解決のためには、標準化された組み込みプラットフォームの提供が不可欠と考え、OSには、Androidを、ハードウェアプラットフォームでは、インテルアーキテクチャを組み合わせることで、顧客が求める高機能だけでなく、開発現場が期待する低コストと開発期間の短縮が実現するという。
ターボシステムズ 代表取締役社長の谷口剛氏は、インテルアーキテクチャでもAndroidの対応が進み、また、組み込み機器用途にAndroidが十分耐えられるとの判断をした上で、この組み合わせを提案することになったと説明する。また、PCアーキテクチャが流用できるため、ハードウェアで選択できる幅が広く、Androidの採用によって、すでに存在するAPIを利用することで開発コードが少なくできることも挙げている。谷口氏は、具体的な例として、Weブラウザの開発は、50行程度で済んでしまうほか、動画再生アプリケーションでは、従来の組み込み機器プラットフォーム(MeeGoべース)の3分の1の工数で可能になるとしている。
説明会では、Atom E600番台を実装した開発ボードを使ったデモも行われ、インタフェースに接続したFeliCaリーダでSuicaのデータを取得して利用履歴を表示したり、利用履歴にある経路をGoogle Mapsに表示したりするアプリケーションが紹介された。これらのプログラムは、Android向けAPIを利用することで、従来より少ない工数で記述できると谷口氏は説明している。
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