「PCこそが、個室の情報端末の本命になる」、Ultrabookも「夏」投入を示唆──NECのPC夏モデル発表会:2012年PC夏モデル(2/2 ページ)
NECが2012年PC夏モデルの製品発表会を実施。NEC製PCの強みをより強調するラインアップを用意しつつ、同社高塚社長が2012年度の製品展開計画・方針を述べた。「Ultrabook」も夏頃の投入を予定するという。
より強化されたテレビソフトウェア「SmartVision」とテレビ関連機能
2012年夏モデルは、7月に開幕するロンドンオリンピック(時差9時間)を機会に「PCで便利にテレビ機能を活用」「セカンド/プライベートルーム向け」のモデルを強くプッシュする。「テレビを、PCで再定義する」とテーマはやや大げさだが、例えばVALUESATR Wシリーズは、3波ダブルチューナー+ぱっと観機能、長時間録画、録画予約、ネットワーク配信・共有、メディア記録など「単純なテレビ機能として得るべき到達点にはすでに達した」(高塚社長)と自信を見せるほど、家庭用AV機器に劣らない機能を備えている。
具体的には、テレビチューナー内蔵(あるいはワイヤレスTVキット付属)モデルはこれまで通り3波デジタルダブルチューナーによる視聴、録画、配信、記録用途に加え、上位シリーズのVALUESTAR Wは、Windows起動なしにすぐ3波での放送を視聴できる「ぱっと観TV」機能を新たに搭載し、これまでPC起動を待たないと利用できなかった“テレパソ”の弱点がほぼなくなった。
録画番組も、TS録画のほか、ハードウェアトランスコードを行う専用チップによりリアルタイム長時間(AVC)録画が可能。シーン判別による自動チャプターや簡易編集機能も備え、録画番組再生中の自動CM(あるいは本編)スキップ、CM(あるいは本編)をカット編集してメディアに記録するといったことも行える。PCのため、別途USB外付けHDDの増設のみで手軽に録画可能時間を延長できるのもメリットの1つだ。
スマートデバイスとの連携もより手軽に利用できるようにした。SmartVisionのDTCP-IP対応DLNA機能とともにスマートフォン/タブレットでも録画番組を再生できるが、スマートデバイスで再生できる形式にトランスコードして出力するのも、AV機器比でパフォーマンスに勝るVALUESTAR(DLNAサーバ)側ならではのメリットがかなり生きてくる。また、対応スマートデバイス(当初はN-04D、N-05D、N-06D)においては、録画番組を録画終了後/設定時間に無線LAN経由でダビングする「SmartVision 外でもVIDEOワイヤレス」機能も利用できるようになった。
また、テレビチューナーレスのモデルには「SmartVision/PLAYER」と呼ぶネットワーク視聴型アプリケーションをプリインストール(LaVie L、LaVie S、LaVie M)し、VALUESTAR W/Nのテレビ機能──ライブ試聴、録画番組再生などを利用できるようにした。
こちらは、テレビチューナー内蔵のVALUESTAR W/Nを親機(サーバ側)に、家庭内ネットワーク内の別PCで録画番組の再生、ライブ放送の視聴(ワイヤレスチューナー化)、番組表・録画予約・予約一覧・予約削除などレコーダー機能の制御、リモート電源オン/オフといったリモート制御が行える。こちらは、基本的な利便性の向上はもちろん、テレビチューナーレスのPCを「あたかもテレビ機能内蔵」にできることで、セカンド/家族向けPC、プライベートルーム向けPCといった市場の活性化にもつながる機能だ。
なお、サーバ側にDTCP-IP対応家庭用テレビ/レコーダーを用いても録画番組の再生は可能(ただ、一部利用可能な機能は劣る)、クライアント側のSmartVision/PLAYERは、従来モデル用に単体販売する予定。価格は1980円(税込み)。対象はWindows 7搭載LaVie L/S/Mで、7日間使用できる試用版も用意する。「サポート・確実な動作を提供するため、動作検証済みの機種を初期対象としている。(それ以外のモデルでも使えるか否かとする)機種判別インストール制限をかけるかどうか検討中」(説明員)
“でんき予報”と連動した、「よりかしこい」自動ピークシフト設定機能
ECOボタンでの一発節電設定機能といったPCでの節電機能の実装はすでにあたり前ものになっているが、2012年夏期の電力状況も前年と同様に決して安泰ではない。NECは、ノートPCのLaVieシリーズを中心に「ユーザーに意識させず、かしこくPCで節電」をテーマにした節電ソフトウェア「ピークシフト節電ツール」を実装する。
ピークシフトとは、電力需要が高まる(ピークになる)昼間の時間帯は電力の利用を避ける(シフトする)取り組みのこと。PCにおいては、設定した時間帯にACアダプタからバッテリー動作に切り替える作業を自動制御することでピーク時間帯の電力消費量を低減する。同様のツールは2012年5月現在、PC各メーカーより公開あるいは実装されているが、NECのピークシフト設定ツールもその1つだ。
今回の夏モデルでは、これまでのツールにあった時間帯(例えば11時〜14時)や曜日(月〜金)を指定した半手動の制御に加えて、新たに「でんき予報と連動」することでより効率的に制御できるよう工夫した。電力各社が提供するでんき予報(時間帯別電力予想使用率)を取得し、その予想使用率に合わせてピークシフトする時間帯を自動設定するわけだ。
でんき予報の情報をもとに自動的にECOモード(節電状態で動作するモード)への切り替え、さらに電力がひっ迫した状況になった場合(電力使用率が95%を超えた場合)は電力使用の停止を促すメッセージを表示することで、PC節電はもちろん、それ以外の電力機器も含めた節電も意識できる。対応電膂力会社は東北電力・東京電力・関西電力・中部電力・九州電力(これ以外の電力会社は2012年5月現在非対応)。東北電力・東京電力・関西電力は時間ごとの予想電力情報をもとに設定、中部電力・九州電力は予想最大時間帯と電力量をもとに自動設定する。こちら、なんらかのそもそも論はあると思うが、大きな面倒をかけずに節電を意識できること、普段使うPCでユーザーができる、さらにIT技術/PCだからできる取り組みの好例と思える。
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