ミドルレンジGPUシリーズ本選! GeForce GTX 650 Ti BOOSTも走る:イマドキのイタモノ(3/3 ページ)
Radeon HD 7790に続いて、GeForce GTX 650 Tiの上位モデルが登場した。実売価格2万円前後のミドルレンジGPUが発揮する最新パワーを新旧ラインアップで検証する。
3DMarkは低いが、ゲームタイトルのベンチマークテスト結果は良好
GeForce GTX 650 Ti BOOSTにおける3DMark 11の測定結果は、E8733、P5733、X1915となった。上位のGeForce GTX 660に迫るというより、GeForce GTX 650 Tiのやや上といったあたりだ。3DMark 11は、メモリ帯域幅よりCUDAコア数と動作クロックの影響が大きい。例えば、Radeon HD 7790のスコアは、Radeon HD 7770よりRadeon HD 7850に近い結果を出している。なお、GeForce GTX 650 Ti BOOSTは、Extremeプリセット測定においてRadeon HD 7850に迫る。高負荷でのパフォーマンスは良好といえそうだ。
3DMarkでは、Ice Stormが121841、Cloud Gateが17246、Fire StrkeのPerformanceが3757、Extremeが1840となった。3DMarkの測定結果において、GeForce GTX 650 Ti BOOSTのポジションは、2つのテストでGeForce GTX 660に近く、残り2つがGeForce GTX 650 Tiに近いと、テスト毎に傾向が分かれている。ただ、今回用意した比較対象が、GeForce GTX 660もGeForce GTX 650 Tiも、100MHz前後、オーバークロックしたモデルであることは考慮しておくべきだろう。
Radeon HD 7790は、3DMarkに関してはライバルのGeForce GTX 650 Tiを完全に上回り、GeForce GTX 650 Ti BOOSTに近いスコアを出している。2つの3DMarkにおける結果をみると、NVIDIAが競合と想定しているRadeon HD 7850より、Radeon HD 7790に近い。
テッセレーション性能の評価はUnigine Heavenの測定結果で行う。GeForce GTX 650 Ti BOOSTにおけるUnigine Heavenの結果は、1920×1080ドット条件で29fpsと、GeForce GTX 660とGeForce GTX 650 Tiの中間に収まっている。Radeon HDシリーズと比較すると、Radeon HD 7850のやや下あたりで、Radeon HD 7790よりもある程度上のスコアとなっている。
DirectX 9に対応するバイオハザード6を用いたベンチマークテストでは、GeForce GTX 650 Ti BOOSTの結果はRadeon HD 7850とほぼ同等だ。標準画質設定なら、1920×1080ドットにおいても、快適に動作するフレームレートを得ている。Radeon HD 7790は、GeForce GTX 650 Tiと同程度のスコアだ。同じく、DirectX 9対応のSkyrimでは、GeForce GTX 650 Ti BOOSTは、Ultra画質の1920×1080ドット設定で60fpsを叩きだした。Skyrimは30fps程度あれば快適に動作するといえるので、この数値を出していれば、Modを追加しても大丈夫といえそうだ。なお、Radeon HD 7790は、システムを入れ替えた今回も(ドライバは更新されていない)、1680×1050ドットにおいて、異常なスコアが出る点が変わらなかった。
DirectX 10対応のJust Cause 2は、標準画質設定では一部のGPUでスコアが頭打ちになっている可能性が高い。全体的に見て、Radeon HDシリーズでは低解像度でフレームレートが高く、GeForce GTXシリーズでは高解像度でフレームレートが高い傾向がある。100fps以上は上限に達した状態といえるため、このスコアを除くと、GeForce GTX 650 Ti BOOSTは、GeForce GTX 650 TiよりもGeForce GTX 660寄りのスコアが出ている印象だ。Radeon HD 7790は、GeForce GTX 650 Tiをわずかに上回る結果だった。
DirectX 11に対応するバトルフィールド3は、GeForce GTXシリーズへの最適化がスコアにも反映している。GeForce GTX 650 Ti BOOSTは、Radeon HD 7850をも上回るフレームレートを出していた。1920×1080ドット設定ではキビシイものの、1280×720ドット設定では90fps前後で、この少し上の1366×768ドット設定や1600×900ドット設定までの結果を見る限り、実際のゲームでも支障はない。一方、Radeon HD 7790のスコアはGeForce GTX 650 Tiと同程度だった。
消費電力の比較では、GeForce GTX 650 Ti BOOSTを組み込んだときに測定したシステム全体の値は、アイドル時が53.3ワットとなった。ほかのGPUを搭載するグラフィックスカードを組み込んだ状態でも、GeForce GTX 660の61.7ワットを除けば50ワット台で、ほとんど差はない。高負荷時に関しては、GeForce GTX 650 Ti BOOSTは184.3ワットとなり、GeForce GTX 650 TiよりGeForce GTX 660に近い結果だった。ただし、Radeon HD 7850の高負荷時消費電力と比べてかなり低く、ゲームタイトルによってはRadeon HD 7850に並ぶスコアを出している点を考慮すると、ワット性能比は良好といえそうだ。一方で、Radeon HD 7790も、高負荷時の消費電力がGeForce GTX 650 Tiよりやや低い値となっている。こちらもベンチマークテストのスコアがほぼ同程度であるので、ワット性能比はGeForce GTX 650 Tiより優れているといえる。
性能に見合った実売価格になるのかがポイント
GeForce GTX 650 Ti BOOSTは、新設計のコアではないが、パフォーマンスにおいてGeForce GTX 660とGeForce GTX 650 Tiの間を埋める。ミドルレンジGPUだけあってフルHDで高負荷なPCゲームを動かすには無理があるが、解像度と画質オプションを調節すれば、実用的なフレームレートが可能になる。
Radeon HD 7790も、Radeon HD 7850とRadeon HD 7770間を埋めるGPUだ。3DMarkのスコアでみればGeForce GTX 650 Tiをやや上回り、ゲームタイトルのベンチマークテストスコアでは、ほぼ互角だ。
GeForce GTX 650 Ti BOOSTにもRadeon HD 7790にもいえることだが、モデル数や製品数が多いミドルレンジGPUにおいて、実売価格、そして、製品付加価値が重要になる。この価格帯のグラフィックスカードでは、GPUの発表と同時のタイミングでグラフィックスカードベンダーのオリジナルクーラーユニットを採用するモデルが登場するだろう。静音性やオーバークロックといった付加価値を用意してくるはずだ。
そうなると、問題は実売価格になる。ベンチマークテストの結果から考えると、GeForce GTX 650 Ti BOOSTならRadeon HD 7850が、Radeon HD 7790ならGeForce GTX 650 Tiがそれぞれ競合することになる。それぞれの上位モデルは、発表からかなりの月日が経ち、価格も落ち着いてきている。実売価格でそれほど差が出せない場合、ユーザーが新モデルを選ぶか、従来のモデルを選ぶか、難しい選択となるだろう。
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