即戦力の「プロジェクター」を利用シーンごとに選んでみた:SOHO/中小企業に効く「プロジェクター」の選び方(第3回)(3/3 ページ)
会議や取引先へのプレゼンに欠かせないプロジェクター。そんなビジネス用プロジェクターの選び方を提案する本連載の最終回は、3つの利用シーンごとにおすすめ製品例を紹介しよう。
モバイルユース
最後は、バッグに入れて持ち歩き、取引先などで使用することを前提にしたモバイルユースの製品だ。モバイルユースでは利用環境が毎回変わるだけに、短焦点かつ投写距離のカバーする範囲が広いことが理想だ。せっかくプロジェクターを持参したのに、部屋が狭く使えなかった、という失敗を回避できる。
薄型タイプでオススメなのは、厚さ44ミリのエプソン「EB-1771W」だ。明るさ3000lm、解像度はWXGA(1280×800)と基本スペックを抑えつつ、重量は約1.7キロと軽量なので持ち歩きにも向く。
本体の傾きを検知して台形補正を行う機能を搭載しているほか、投写距離が40型で最短0.89メートルから、60型で最短1.35メートルからと短く、かつ最大で300型の投写にも対応するなど、モバイル用途に向いている。接続方式がRGBやHDMIに加えて、USBに対応しているのも利点だ。
ただし、量販店の実売価格は10万円台前半なので、どうしても10万円を切らなくてはいけないのであれば、明るさがワンランク下の「EB-1761W」もよいだろう。こちらも解像度はWXGA(1280×800)で、重量も同じく約1.7キロだ。
このライバルとなるのが、カシオ計算機の「XJ-A257」だろう。明るさ3000lm、解像度はWXGA(1280×800)で、43ミリという厚みはエプソン製品よりもわずかに薄い。40型を最短0.95メートルから、60型を最短1.43メートルから投写でき、最大300型にも対応するほか、2倍の光学ズームを搭載しているため、スクリーンからの距離を調整する際に融通が利きやすい。
ただし、2014年5月に発売されたばかりの新機種なので、実売価格は18万円を超える。世代が1つ前の「XJ-A256」や、明るさがワンランク落ちる「XJ-A246」(2500lm)もあわせて検討するとよいだろう。ちなみに先ほどのエプソン製品は3LCD方式、こちらは1チップDLP方式だ。
上記2機種は薄さにフォーカスしており、フットプリント自体は据え置きタイプのプロジェクターとほぼ同じだが、これに対してフットプリントを小型化したモバイルプロジェクターがTAXANの「KG-PS303WX」だ。明るさは3000lm、解像度はWXGA(1280×800)で、47型を最短0.71メートルから、60型を最短0.93メートルから投写でき、最大300型の投写にも対応する。
本体の厚みは78ミリとかなりあるが、幅と奥行きは上記2機種に比べてそれぞれ2〜3センチほど小さいので、厚みがあってもフットプリントが小さいほうがよいというニーズに向く。重量は約1.9キロとそれほど変わらない。実売価格6〜7万円という安さも魅力だ。
なお、近ごろはポケットに入るサイズの非常にコンパクトなLED光源プロジェクターも登場しているが、多くの製品は明るさが1000lm以下と照明をつけたままで使いづらく、かつ台形補正などの機能が貧弱で本格的なビジネスユースには不足を感じることが少なくない。
多人数でのプレゼンには向かないばかりか、少人数だと外付けの液晶ディスプレイに接続したほうが見栄えがよいということもある(画面サイズはプロジェクターのほうが大きく取れるが、暗くなりがち)。あくまで用途次第になるが、見た目のコンパクトさだけにとらわれず、上記の製品などと仕様をよく見比べて判断したほうがよいだろう。
メーカーによる無料訪問デモも活用を
以上、3つのグレードに分けて製品を紹介した。多くのメーカーではこれらビジネス用プロジェクターの導入にあたり、無料訪問デモのサービスを用意している。貸出機ではなく訪問サービスというのがミソだが、これはプロの手で実際の利用環境に正しくセッティングすることで、製品が有用かどうかを的確に見分けられる利点がある。
素人が設置して可否を判断するのに比べて、信頼できる回答が得られるので、明るさなどの基準にいまいち自信が持てず、製品の導入に踏み切れない場合、Webサイトで窓口を探して申し込んでみるとよい。製品選びで迷っている際のアドバイスなども受けられるはずだ。
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