ようやく販売開始! Intel Compute Stickの実力をアイ・オーの「CSTK-32W」で知る:スティック型PC真打登場(3/3 ページ)
すでに複数のスティック型PCが登場しているが、Intel純正「Compute Stick」がようやく出荷開始。その実力をボディに搭載したファンの効果とともに検証する。
Bay Trailの処理能力。小ささゆえの熱問題はクリア
インテル純正スティック型PCともいえるCSTK-32Wで、処理能力を検証してみたい。スティック型PCは、そのコンパクトなボディゆえに動作中にボディ内部の温度が上昇し、それが処理能力に影響を与えているケースが少なくない。ファンを搭載したCSTK-32Wがその問題をどのように改善できているのかに注目したい。
PCMark 8では、Homeのスコアが「1075」、Workのスコアが「1124」だった。動作クロックの推移を見ても、ところどころで1.86GHzまで引き上げられているので、放熱が間に合わないときに発生するクロック抑制のような現象はなかった。スコアも、Atom Z3735Fの動作クロックや統合するグラフィックスコアを考えれば、その性能を素直に引き出せていると言えそうだ。
PCMark 8実行中のCPU温度をログで確認すると、50度台後半〜60度台半ばで推移した。これなら動作クロックを引き下げねばならないようなことは生じないだろう。一般的にデスクトップCPUで言えば、60度程度に収まれば問題ない。放熱面でファンの恩恵が確認できたといえる。動作音も、小径ファンはうるさいものなのだが、回転数を絞っているのか、負荷中もほぼ無音といえる状態(騒音計では暗騒音の30dB以下)だった。ただ、回転する部品であるため耐久性という問題もあるわけで、テレビの裏のようにほこりがたまりやすい場所で使い続ける場合は、定期的なメンテナンスが必要だ。
3DMarkではIce Stormが11473、CloudGateが1086、SkyDiverが432となった。FireStrikeは完走できなかった。DirectX 9ベースの軽量なゲームタイトルであればなんとか動くが、DirectX 10の重いゲームタイトルをプレイするのは厳しいことが分かる。なお、3DMarkではGPU温度のログも計測できるが、GPU温度がCPU温度を超えることはなく、3DMark実行中のCPU温度も最大で63度程度だった。こちらも熱に関して問題なしといえるだろう。
ゲームタイトルを使ったベンチマークテストでは、ファイナルファンタジーXIV:蒼天のイシュガルド ベンチマークがプリセットの標準品質(ノートPC)、解像度を1280×720ピクセルとしても「動作困難」という結果で、画質設定を落としてみてもスコアは低い。より軽量なドラゴンクエストX ベンチマークソフトでも、画質を低品質に、解像度を640×480ピクセルに落としてようやく「やや重い」で、ここから解像度を引き上げたり、あるいはグラフィック設定を引き上げたりすると「重い」という評価に下がった。ゲーム用途ととしては、2Dグラフィックスを中心としたタイトルに絞りこむのがよいだろう。
ストレージの性能はCrystalDiskMarkで計測した。eMMC接続であるので、Serial ATA接続SSDと比べると遅いが、それでもシーケンシャルリードは144.5Mバイト/秒を出している。ただ、シーケンシャルライトは46.01Mバイト/秒と低い値にとどまっている。
小さいことでリビング情報端末として活用できる
CSTK-32Wは、PCとして最低限必要な処理能力とインタフェースを搭載しつつ、コンパクトなサイズに収まった。パフォーマンスの点でCoreシリーズCPUを搭載したPCとは異なる用途となるが、リビングのテレビに接続し、Webページ閲覧したりストリーミングコンテンツを観たりといったことはもちろん、学校や家族のカレンダーを共有するといった用途にも活用できそうだ。従来からある小型PCでもいいが、コスト、設置スペース、活用方法とそれに求められるパフォーマンス、そして、結局のところ、家族が向き合う時間が最も多いテレビをディスプレイに使えるスティック型PCという選択肢が増えたことに意義があるといえるだろう。
なお、Intel Compute Stickは、不具合により発売が延期していたが、今回の検証作業中にインテルがパッチを公開していている。不具合はこれで解消されたとしており、インテルは、6月12日からの販売開始を告知しており、アイ・オー・データ機器でもMcAfeeのセキュリティ対策ソフト1年間ライセンス付きで6月中旬には発売となる見通しだ。
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