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Windows 10で動く「Bash」を試す Mac使いの開発者にもアピールする?鈴木淳也の「Windowsフロントライン」(3/3 ページ)

Windows 10の次期大型アップデート「Anniversary Update」が「Bash」をサポートすることとなった。プレビュー版を試しつつ、Bash対応の背景を探る。

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Bash on Windowsを試してみる

 前述のようにβ版であり、利用にあたって一部制限はあるものの、現時点で既にUbuntu上のBashとして利用可能だ。汎用(はんよう)的なコマンドやツールはほぼそのまま使えるので、これだけで十分遊べるだろう。シェルスクリプトも記述可能なので、パイプラインを駆使してさまざまな自動化ツールが記述可能だ。多少でもUNIXやLinuxの知識がある人ならば、ぜひトライしていただきたい。

Bashのウィンドウ
Bashの操作画面でWindowsのファイルシステムがそのまま見えるのは新鮮な気分だ
vi
「vi」でテキストを記述してWindows GUIからファイルを開くことも可能
Windowsのメモ張
Windowsのメモ張を開いてみた
Ubuntuバージョン
インストールされているUbuntuは安定バージョン(LTS)の「14.04.4」

 Bash on Windowsの真価は、「apt-get」などのコマンドを使ってパッケージのリポジトリへとアクセスし、パッケージのダウンロードからインストール、そしてアップデートが自在に行える点にある。

 UbuntuのELFバイナリがそのまま実行できるため、Ubuntuの最新パッケージを導入して開発・実行環境をすぐにそろえることが可能だ。予想ではあるが、この仕組みに興味を抱いてWindows 10を利用するオープンソース系開発者が多少なりとも増加するのではないかと考えている。

apt-get
基本的にはUbuntuなので、apt-getでリポジトリからパッケージをインストールすることも可能だ
Rogueをインストール
試しにbsdgamesの古典的名作「Rogue」をインストールしてみた
Rogueをプレイ
Rogueの起動画面。80×24の表示領域が必要なので、ウィンドウを最大化してある。現在のところGUI関係のツールは使えないようだが、いろいろ遊べそうだ

Windows 10がOSS開発者を取り込む?

 筆者は2005〜2008年くらいにかけて米国のオープンソースソフトウェア(OSS)系会議を集中的に取材していたことがある。興味深いのは、この時期に参加するOSS開発者らが持ち込むノートPCのMacBook比率が毎年増え続け、LinuxやBSDを導入したWindows PCからあっという間にOS Xのシステムが席巻してしまった。

 最初のx86プロセッサ搭載Macである「MacBook Pro」がリリースされたのは2006年1月のことだが、タイミング的にこの製品の登場がOSS開発者のMac利用を加速させたように見える。実際、開発者の何人かに「なぜMacBookを利用するのか」を聞いたところ、その製品デザインだけでなく、「OSSのツールや仕組みをOS Xの(先進的で便利な)GUIで利用できる」ことを一同に理由に挙げていた。

 当時のLinuxやBSDはあまりノートPCでの利用を想定した仕組みにはなっておらず、Wi-Fi通信やUSB接続の面でOS Xを利用したほうが効率的だったと言える。

 あれから10年を経て、Windowsにオープンソース系のツールを利用する仕組みがそのまま導入され、かつてのOS Xがそうだったように、OSS開発者を受け入れる下地ができつつあるように思える。

 現状で、Appleが(開発環境を直接利用できない)iPad Proを「PCの置き換えが可能な製品」とアピールする一方で、OSSに歩み寄ったMicrosoftのWindows 10ではさまざまな製品の選択肢が存在し、開発者が自由に環境を構築できる。現在、開発者がMac+OS Xを選択する最大の理由は「iOSアプリの開発」と思われるが、かつてOS Xが担っていたOSS開発者の取り込みはWindows 10が担うようになるのではないだろうか。

 試しにapt-getを使って懐かしの「Rogue」をインストールして遊んでみながら、そんなことを考えてみた。

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