ストリーミング配信では伝わらなかった裏話をたっぷり! WWDC 2016現地レポート:WWDCに参加してみた(3/3 ページ)
WWDCはAppleと開発者のライブなコミュニケーションが魅力。現地の熱気をお伝えします。
もはや出落ちネタの機能が満載だったiOS
最後はある意味4つのOSの中で最も会場が沸いたiOS。「過去最大のアップデート」として10の新機能が発表されました。
プレゼンテーションのMVPは間違いなく、Apple Musicのデモを行ったApple Music&iTunes グローバル コンシューマ マーケティング ヘッドのボゾマ・セイント・ジョン氏でしょう。顔の3倍はありそうなボリュームあるカーリーヘア、体のラインがセクシーで派手なピンクのワンピース、そしてノリノリなキャラクター。疲れかけた会場を全力であおっていくスタイルに会場全体がとまどいました。最初は。
記者はたいていスクリーンに表示されたスライドを撮影しますが、彼女のときだけは徐々に記者がプレゼン中の本人を撮影し始めて、私を含め周囲の複数名が心をわしづかみにされた模様。経歴を調べてみたら、元ペプシコの音楽&エンターテイメント、マーケティングの担当ディレクターで、米ビルボードが選ぶ「2013年音楽業界で最も影響力のある女性40人」の一人に選出されたハイパー優秀な方でした。
Apple MusicはiOS 10で完全に新しく生まれ変わります。ジョン氏はアプリ内で歌詞が見られること、For Youのデイリープレイリスト機能などを紹介してくれるのですが、そのたびに音楽をかけてあおってくるので内容が頭に入ってきません。ビル・グラハム・シビック・オーディトリウムはもともとライヴ会場なので、むしろこれが本来の正しい使い方ですね。
もう一つのハイライトはSiriの開発者への開放でしょう。拍手喝采の大盛り上がりで、9月の新製品発表とは歓声の上がるポイントがまったく異なるのもWWDCの特徴です。Siriが他社製アプリにも対応するということで、ユーザーがSiriのお世話になる機会がより増えることになりそうです。
最後に紹介されたiMessageアプリのアニメーション機能は、これでもかというほどコテコテに機能を盛り込んできました。リンク先の表示やスタンプ(ステッカーと表現)対応、英単語から絵文字への変換、エフェクトがかけられる吹き出し、背景に花火まで打ち上げました。
最初は失笑が混じった反応の会場でしたが、デモが珍しくグダったこともあり会場は変な盛り上がりを見せ始め、こちらも「開発者向けにAPIが提供」で大きな拍手。冷えきったプレス組との温度差が激しかったです。WhatsApp、Facebook Messenger、LINEなど既に億単位でユーザーを獲得するメッセージアプリがひしめくなか、iOS 10でメッセージアプリが存在感をどれだけ出していけるのか注目です。
Swift Playgroundsはプログラミング教育のエポックメイキングとなるか?
iOSデモでややゆるっとなった会場の空気でしたが、最後にキュッと引き締まる発表が行われました。ゲーム感覚でコーディングを学ぶことのできる子供向けの教育アプリ「Swift Playgrounds」の発表です。
Appleは近年、教育現場にiPadを積極的に導入しており、このアプリもiPadで使うことができます。次世代の開発者をアップルはSwift Playgroundsをもって育てたいのですね。
ここでティム・クックCEOが冒頭で紹介したスカラーシップの話がフリだったことに気づきました。プログラミングを学べば9歳の女の子だってアプリを開発でき、スカラーシップの一員としてWWDCに招待され、新たな可能性が生まれます。
基調講演というとつい、OSの新機能や新製品の発表ばかりに目が行ってしまいがちです。しかし初めから終わりまで、一貫して開発者だけを向いた2016年の基調講演は、世界開発者会議の名にふさわしいオープニングとなりました。Appleと開発者のライブなコミュニケーション。Appleが27年にわたって毎年大規模に開催するWWDCの意義を改めて感じました。
現場からは以上です!
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