そりゃ品薄にもなる? iPhone 7のジェットブラックは作るのが大変:ITはみ出しコラム
iPhone 7のジェットブラックは安定供給に向けて、今日も海の向こうで磨かれ続けています。
「傷つきやすい」という注意書きがあっても大人気の「iPhone 7/7 Plus ジェットブラック」。発売日の9月16日には、予約で初回出荷分は完売とAppleが発表しました。Apple Storeで予約開始から30分後に注文を完了した人でも、出荷予定は11月だそうです。
AppleのiPhone 7公式ページには、「表面には酸化皮膜処理された他のApple製品と同等の硬度がありますが、使用とともに光沢に微細な摩耗が生じる場合があります。磨耗が気になる方は、iPhone用のケースを使って表面を保護することをおすすめします」との注意書きがあります
ジェットブラックの高光沢仕上げは、「精密な9段階の酸化皮膜処理と研磨加工によるもの」とAppleは説明しています。ベースとなる素材はiPhone 6s/6s Plusと同じく硬度の高い「7000シリーズアルミニウム」です。
9月7日の発表イベントで公開されたジェットブラックの仕上げプロセス説明動画(ナレーション by ジョナサン・アイブCDO)を見て、「これは手間がかかってるんだなぁ」と思った方は多いことでしょう。
iPhone 7を粉の中に入れて回転しながら磨く「3D回転研磨」。特殊な化合物を複雑な形状のハウジングに流し、不要な部分を取り除くことで、素材同士がシームレスな状態になり、鏡のような表面になるそうです
さすがに実際の工場では、動画で公開されたまま4台ずつ機械にはめて粉の中に入れて磨いているわけではないと思いますが……。いや、ひょっとすると広ーい工場の一角にこの機械が何台も設置されていて、iPhoneを4台磨き終わる度に専任担当者がそっと付け替えているのではないか、と妄想してしまいます。
最後の水中針山地獄みたいなところにボディーを漬けて泳がす(磁化した超微細な鉄粒子の溶液で酸化皮膜を磨く)プロセスも自動化されてはいるのでしょうけど、とても大変そうです。
この一連のプロセスについて、米Wiredが専門家に動画を見せて意見を聞いたところ、全部で1時間はかかるだろうと推定しています。飛行機用パーツの陽極酸化処理では、1万gallon(3万7854L)のタンクいっぱいの溶液に40分パーツを浸すのだそうです。
無事にこのプロセスが終わっても、その後に機械から外したり運んだりする間に傷がついたらもうおじゃんです。最終段階のチェックではぴっかぴかのつやつや、無傷な状態でなければ、Apple品質ではありません。
このプロセスがどこの工場で行われているのか、Appleから正式な発表はありません。ただ、台湾では5月の段階でFoxconnとPegatronがiPhone 7生産のために従業員の大量採用を始めたと報道されています。
かつてFoxconnでは、iPhone 5の厳しい品質水準の引き上げでストライキが起きました。ジェットブラックの傷つきやすさはiPhone 5の比ではなさそうなので、生産に関わる方々の苦労が忍ばれます。
そもそもiPhone 7/7 Plusは、iPhone初となるボディーの耐水性能を確保することや、デュアルカメラ(Plusのみ)の新採用が歩留まりを悪化させていて、品薄の原因になっているともいわれています。それに加えて、繊細な仕上げのジェットブラックはさらに安定した供給を難しくしていることは想像に難くありません。
「速攻で予約したのに入手できるのがいつになるか分からない」とお嘆きの方も多いようですが、日夜頑張ってジェットブラックのボディーを磨いてくれている人々のことも思い出して、気長に待ってみてはいかがでしょうか。
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