MicrosoftのナデラCEOが開発者に語る 「ディストピア阻止は私たちの責任」:ITはみ出しコラム
昔は「悪の帝国」などと呼ばれることもあったMicrosoftですが、サティア・ナデラCEOが率いる現在の姿にそのようなイメージは全くありません。
米Microsoftの年次開発者会議「Build 2017」が5月10日〜12日(現地時間)に開催されました。このイベントの基調講演では、毎年CEOが自社のミッションやこれからの方向性について語るので、開発者以外にとっても注目です。
2017年も初日の基調講演の最初にサティア・ナデラCEOが登場し、ゆっくりと力強い話し方で考えを語りました。
まずは、誰かがネットに投稿した、1993年ごろにナデラさんが何かのイベントで使ったスライドを紹介。当時の自分の写真も披露しました。
「この写真を見た同僚が、私の髪の量とコンピューティングパワーにはリアルな反比例関係があると指摘しました。でも彼は後で自分の間違えに気付きました。なぜなら、未来はどうでしょう? 私にはもうこれ以上減らす髪はないんですから」と笑いを取ってから、「私がMicrosoftに入社した1992年、インターネットのトラフィックは1日当たり約100GBでした。今は1秒当たり1750万GBで、自動運転車は1台で1秒当たり約100GBのトラフィックを発生させます」とコンピューティングの成長について語ります。
コンピューティングパワーは今後も加速度的に成長していくことは間違いなく、「開発者としてのわれわれが社会や経済に深く広い影響を与える機会は、これまでになく増えます。これは機会ではありますが、責任も重大です」とナデラさん。そしてジョージ・オーウェルの小説『1984』のスライドを出し、「ディストピアが実現しないようにするのは私たちの責任です」と語りました。MicrosoftはGoogleやFacebook、Appleと同様に、人工知能の研究に力を入れています。
それからMicrosoftの新しいミッションを紹介して他のメンバーに引き継いで退場し、幾つかのデモの後に再登場したナデラさんは、パーキンソン病で手が震えてしまうデザイナーのために、震えを抑えるガジェットを開発したエンジニアを紹介し、「エマとカイエン(デザイナーと開発者)の物語は、開発者としてのわれわれにとっての機会と責任とは何かを見せてくれます」と語りました。Build 2016の基調講演の最後に、目の見えない人のためのサポートツール開発を紹介したことを思い出します。
これからの人工知能の実用化に当たっては、一歩間違えると本当にディストピアっぽくなりそうですが、この人がリーダーなら大丈夫かも、と単純な私は思ってしまいました(「世界をつなげるのがミッション」と言っている米Facebookのマーク・ザッカーバーグCEOは何だかちょっと怖い…)。
余談ですが、現在のナデラさん、1993年ごろの写真と比べて髪の量はともかく、スタイルは変わらないというか、むしろ当時よりマッチョになっているように見えます。49歳とは思えないバネのような肉体です。
2日目の基調講演に登壇したWindows & Devices担当上級副社長のテリー・マイヤーソンさんが昨年に比べて激ヤセ(2016年12月のWinHECのときの写真が1番痩せていた)していてびっくりしたのですが、もしかしたらナデラさんの影響でシェイプアップしたのかもしれません。
ナデラさん、いろんな方面でお手本になっている気がします。
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