スマホ乗り換えで「Pixel 3」を選んだ理由:ITはみ出しコラム
Googleのハイエンドスマホ「Pixel 3」が日本上陸。iPhoneとハードウェアスペックや価格を比較されがちですが、AppleとGoogleのスタンスの違いにも注目です。
GoogleがハイエンドAndroidスマートフォンの「Pixel 3」「Pixel 3 XL」を発表しました。3世代目でようやく日本でも販売するということで、これまでより注目を集めています。
そして、多くの人が価格が高いと驚いています。これまでGoogleが出してきた「Nexus」シリーズや「Android One」とは違って、Pixelシリーズはハイエンドなので、「Galaxy」や「Xperia」のハイエンドモデルとあまり変わらないと思うのですが……。
また、「iPhoneと同じくらいの値段なのに、何でPixelを買うの?」という声もちらほら聞こえてきます。でも、「Pixel 3」(税込み9万5000円)の64GBと「iPhone XS」の64GB(税込み12万1824円)を単純に基本スペックで比較すると、Pixel 3は2万円以上安い割に、それほど劣っているとは思えません。
真面目に比較表を作ってしまいましたが、スペックの比較はあまり意味がないでしょう。スペックの優劣が多少あったところで、iPhone(iOS)からAndroidへも、AndroidからiPhoneへも、よほどのことがなければ乗り換えないのではないでしょうか。
それに、Pixel 3の、というか、Googleのハードウェアの特徴はハードウェアのスペックではなく、それを経由して使う「AI+ソフトウェア」にあると思います。
AppleとGoogleがオリジナルのハードウェアを出す目的は、それぞれ違います。Appleはもともと、ハードウェアが主な収入源ですが、Google(の親会社Alphabet)は今でも主な収入源は広告です。
Googleがハードウェアを出すのは、ユーザーがそのハードウェアでGoogle検索やGoogleフォト、Googleマップなどのサービスを使ってもらうことで個人情報をどんどん集め、その個人情報で最適化された広告を見てもらうのが目的です。
10月9日(米国時間)のイベント「Made by Google 2018」で発表されたハードウェアも全て、その例外ではありません。
かつてはPC上のWebブラウザで検索していた人々も、今ではスマホやスマートスピーカーを使うことが増えました。そういう人々を離さないための「Pixel」シリーズや「Google Home」です。音声検索は楽ちんでも、答えは目で見た方が分かりやすいことが多いので、スマートスピーカーだけでなくスマートディスプレイ「Google Home Hub」も用意しました。
Googleは、2017年のMade by Googleから「AI+Software+Hardware」というキーワードを打ち出し続けています。スンダー・ピチャイCEOは、この組み合わせがユーザーの問題を解決するために有効だと語りました。AIとソフトウェアあってのハードウェアなのです。
一方で、Googleにどこまで自分の個人情報を差し出すかは難しいところです。私もかなり抵抗を感じました。でも、ある時点で腹をくくって投降しました。Googleのハードウェアを使うからには、個人情報を使ってもらわないと便利さも中くらいになってしまうからです。
SNSなどに個人情報を提供するのは極力避けているのですが、Googleには全てさらけ出しました。GoogleがAIを使ってどこまで便利にしてくれるのかを見ていたいからです。
もちろん、AppleもAIに取り組んでいますし、(収入源は広告ではないので)個人情報では商売しないと誓ってもいます。だからAppleを選ぶという人も少なくありません。ただ、そうした誓いもあって、検索をはじめAIの機械学習に使えるデータ量ではGoogleに分があるともいえます。
そんなわけで、個人的にはPixel 3(手が小さいのでXLじゃない方の、128GBモデル)を予約しました。画像検索の「Googleレンズ」やFeliCaで使える「Google Pay」を使うことで、これからも個人情報をどんどんGoogleに提供していくことになりそうですが、その分どんどん便利になってくれることを期待しています。
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