Microsoftの開発コード名から考える新たなデバイスたち:鈴木淳也の「Windowsフロントライン」
Microsoftがプロジェクトなどに付ける開発コード名が話題を集めている。そこにまつわる命名法則や今後登場する見込みのデバイスについて考えてみた。
以前の本連載で、2019年に発表されそうなMicrosoftの新製品(可能性を含め)として「Windows Lite」という軽量版Windowsの話題を紹介したが、それにまつわる開発コード名や周辺トピックが改めて話題になっている。
「島」なのか「星座」なのか、あるいは
GoogleのChromebook OS対抗とおぼしきWindows Liteの基になっているといわれるのが「WCOS(Windows Core OS)」であり、WCOSが持つモジュラー構造を利用してWin32 APIなどの機能を削ぎ落として特定アプリやブラウザの動作に特化させたのがWindows Liteなのだが、この一端が2019年5月6日〜8日に米ワシントン州シアトルで開催予定の開発者会議「Build 2019」で説明される可能性が各所で指摘されている。
このWindows Liteの名称について、Windows Centralのザック・ボーデン氏によれば、現在Microsoft社内では「Santoriniと呼ばれているという。ただ、比較的最近までこの軽量版Windows 10の名称は内部的に『Lite』と呼ばれていたということで、なぜこのタイミングで開発コード名が浮上したのかまでは分からないと同氏は述べている。
Santoriniとは「サントリーニ島」で知られるエーゲ海に浮かぶギリシアの島だが、一部で「劣化版OSの印象がある」と指摘されていた「Windows Lite」という名称よりも、風光明媚(めいび)で有名な観光地の方がイメージがいいと判断したのだろうか。
なお、2019年に登場が予告済みの「Surface Hub 2」で採用されているOSの新型シェルに該当する開発コード名は「Aruba」と呼ばれており、こちらもおそらく中米の西インド諸島に浮かぶ観光地「アルバ島」から借用したものだと考えられる。ArubaもまたWCOSをベースにした「フォームファクターによって異なるシェルや機能を組み合わせたWindows OSの変種」であり、WCOSシリーズのバリエーションの1つともいえる。
一方、スペインのバルセロナで開催中の「MWC 2019」において発表された「HoloLens 2」だが、“ホログラフィックシェル”の開発コード名は「Oasis」だといわれている。
筆者はオアシスという名称の著名な島の存在を知らないが、少なくとも著名なロックバンドやスタンドの名称ではないことは確かだと思う。もっとも、法則性自体は意味がないものである可能性も高く、2016年当時に社内スタートアッププロジェクトのMicrosoft Garageにおいて「Project Santorini」が存在していたり、個人情報銀行を模索するMicrosoft Research(MSR)の「Project Bali」が存在していたりと、割と適当な印象だ。
ただ、もともとWCOSをベースにしていたWindows OSの派生形が冠していた開発コード名は「星座(もしくは星)」のシリーズであったことが知られている。「Centaurus」と「Pegasus」がそれで、おそらくこのシリーズで最も有名な開発コード名が「Andromeda」だろう。
前出のボーデン氏によれば、「Centaurus」は「折りたたみ型の2画面デバイス」、「Pegasus」は「従来型のノートPC(クラムシェル)や2in1デバイス」とのことで、実は「Andromeda=Centaurus」ということになる。
この辺りはZDNetのメアリー・ジョー・フォリー氏も自身の情報ソースから開発コード名の存在と相関関係を認めており、以後はAndromedaではなくCentaurusの名称で呼ばれることになるだろう。
なお、Windows Liteが元々「Lean」の名称であったり、Pegasusがかつては「Polaris」であったりしたことを考えれば、最近になりMicrosoft内部でWCOS関連について何らかの新しい動きがあるのだと予想している。名称は不明だが、Surface Studioの後継となる「スタッカブルPC」の話題も出ており、2019年のデバイス周辺は割とにぎやかになるのかもしれない。
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