Amazon「Echo Studio」とAppleの「HomePod」は何が違う? 試して分かったこと:山口真弘のスマートスピーカー暮らし(2/2 ページ)
スマートスピーカーやその関連デバイスについて、試行錯誤を繰り返しつつ、機能をバリバリ使えるようになる(予定)までの過程を、時系列でお届けする本連載。今回は、Amazon Echoファミリーの最上位モデルとして登場した「Echo Studio」を紹介する。
HomePodとは似て非なるコンセプト
本製品はその外観からして、Appleの「HomePod」の直接の競合という位置付けで開発されたモデルと考えられる。実際、Dolby Atmosに対応した音の迫力はEchoシリーズ随一で、音楽再生を主な用途に考えている人、中でも高音質ストリーミング配信「Amazon Music HD」を利用している人にはもってこいの製品だ。
もっとも、音楽再生回りの使い勝手はHomePodとは大きく異なっており、HomePodに慣れていると不自由さを感じることもしばしばだ。例えば、本体側で音楽の再生や一時停止、次の曲/前の曲への移動など、再生にまつわる操作ができないのがその代表例だ。
HomePodは、本体天板部のタッチパネルを用いてこれらの操作を行えたが、本製品の場合、音量の調整こそ物理ボタンを用いて行えるものの、音楽そのものをコントロールする機能は本体側には一切ない。音楽回りの操作は、音声で行うか、もしくはスマートフォンアプリを使うかの2択になる。
HomePodであれば、しばらく席を外す時、天板部をタップして音楽を一時停止し、また戻ってきたらタップして再生を再開、ということができたが、本製品ではそれらの操作は行えず、音声による指示か、もしくはスマホアプリを使うかの2択になる。使い方によっては不便に感じるだろう。
また本製品は、Echo Plus(第2世代)やEcho(第3世代)と同様、2台をペアにしてのステレオ再生が行える。HomePodもこの機能に対応しているが、いかんせん価格が高いため、2台セットともなると税込みで7万円を超えてしまう。その点、本製品は2台買っても5万円(1台税込み2万4980円)の範囲で収めることが可能だ。
ただしネックになるのが、2台のペア設定時、本製品はストリーミング音楽をステレオ再生することはできても、スマホなど外部デバイスの音楽をステレオ再生できないことだ。ソースを問わずステレオ再生が可能なHomePodに比べると、これは大きなハンディだ。これは本製品に限らずEchoシリーズ共通の問題で、スマホの音楽を聴く用途で考えている場合は要注意だ。
その一方、本製品ならではの強みとしては、Fire TVと組み合わせて、ホームシアターのスピーカーとして使えることが挙げられる。この場合はステレオでの再生に対応するので、当初からこの構成を想定して、2台セットで購入する選択肢は十分にありだろう。サブウーファー(Echo Sub)を組み合わせることも可能だ。
なお、本製品はステレオ音響に立体感を追加する「ステレオ空間エンハンスメント」なる項目が追加されている。イコライザーでベースを強調した状態でこの機能をオンにすると、3D音楽ではない一般の音楽ソースであっても、音の質が明らかに変わる。イコライザーで音を調整しつつ、効果の有無を試してみるとよいだろう。
さらにAmazon Music HDで始まった3Dオーディオ(360 Reality AudioとDolby Atmos)もサポートしているので、対応楽曲を見つけて独特のサウンドを楽しむのもありだ。
スマートスピーカーとしての基本性能の高さが強み
一方、HomePodと比較した場合の本製品の強みとしては、やはりスマートスピーカーとしての基本性能の高さが挙げられる。
例えば、音声での呼びかけに対するレスポンスは本製品の方が明らかに高速だし、対応するスマートホームデバイスの種類、入手性の高さなども、今のところ本製品の方が上だ。Echoファミリーのラインアップも豊富ゆえ、他のモデルと組み合わせて自宅内にネットワークを拡張しやすいのも利点だ。
また本製品はスマートホームハブ機能を内蔵しているので、Philipsのスマート照明「Hue」などZigbee対応機器を所有している場合は、同製品の専用ブリッジを用意しなくとも、本製品から電球を直接コントロールできる。赤外線リモコン機能ではないので汎用性には欠けるが、スマートホーム機器としてはメジャーどころであるHueに対応するのは強みで、役に立つシーンはあるだろう。
いずれにせよ、本製品に関して言えるのは、外見がHomePodに似ていることで機能も類似していると思いがちだが、実際には性格はかなり異なることだ。
もちろんスピーカーの性能の高さは疑いようがなく、中でもAmazon Music HDとの組み合わせはベストマッチだが、製品の性格としてはあくまでEcho Plusの上位モデル(ただし温度センサーは搭載しない)であることを把握しておいた方が、製品選びにおいてもミスマッチを防げるだろう。
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