2画面ZenBook Duoは「真に使えるPC」になったのか?(4/4 ページ)
2画面を利用できるノートPC「ZenBook Duo UX481FL」が登場した。以前の2画面モデルよりもスペックを落として、求めやすい価格になったのがポイントだ。複数のディスプレイを使えるメリットは大きいが、実際に使えるPCになっているのかを検証した。
極めて良好なパフォーマンス、バッテリー駆動時間も優秀
ではベンチマークテストの結果を掲載しよう。改めて評価機の基本スペックを記載すると、Core i7-10510U、メモリ16GB、ストレージが1TB SSD(Intel 660p)、グラフィックス機能がNVIDIA GeForce MX250、OSがWindows 10 Home 64bit(1909)という内容だ。
CPUパワーがダイレクトに反映される「CINEBENCH R15」のスコアは837と非常によい。6コア12スレッドモデルには及ばないものの、4コア8スレッドのノートPC向けCPUのスコアとしては最高クラスのスコアだ。
AVX2に対応し、より高い負荷が長い時間かかる「CINEBENCH R20」でのスコアも同様だ。シングルスレッド性能を計測するCPU(シングルコア)も、デスクトップPC向けのCore i7-7700K並みのスコアが出ている。
HWiNFOで確認したTurbo Boostのリミット値(PL1)が45Wという点である程度予想できたが、冷却性能もそれに追いついており、Core i7-10510Uのポテンシャルは限界まで引き出していると考えられる。
「PCMark10」のスコアもやはり同クラスのCPUを搭載している製品の中では、明らかに良いスコアが出ている。
バッテリー駆動時間を計測する「PCMark 10/Modern Office Battery Life」では、11時間30分という長時間の駆動が可能だった。バッテリー駆動時間は2画面ノートPCの1つの課題といえるが、本製品は、技術の進歩や省電力設計、そして70Whという大きなバッテリーの内蔵でその課題を見事にクリアしている。
外部GPUとしてGeForce MX250を搭載しているため、3D描画性能もそこそこよい。3DMarkのスコアはCPU内蔵GPUの2.5倍ほど、「FINAL FANTASY XIV:漆黒のヴィランズベンチマーク」(フルHD)では、CPU内蔵GPUの3倍程度のスコアが出ている。最新のグラフィックス技術を使ったゲームをバリバリするには足りないが、「ファイナルファンタジーXIV」程度のゲームであれば快適にプレイできる水準にはある。
初めての「本当に使える2画面ノート」
テレワークやオンライン学習などで、ビデオ会議や配信を利用されることが増え、外付け液晶ディスプレイの需要が増している。外付けでデュアルディスプレイ環境を体験しているユーザーならば「1台で2画面使える」本製品の価値もより実感できることだろう。自宅にいて仕事をしなければならないときに、別途画面を持ち運ばずに2画面を使えるメリットは大きい。
そして、本製品はこれまでに各社から出ていた2画面製品で課題だった「高価すぎる」「バッテリー駆動時間が短い」「画面が小さく実用的ではない」「画面の移動時や入れ替えの使い勝手が悪い」といったような課題を、技術の進歩や同社の開発力によってかなりの高いレベルで解決している。
本製品のScreenPad+は横長の画面であるから、感覚的には実質1.5画面ともいえるため、全ての2画面需要を満たせるわけではないものの、メインとサブ、はっきりと役割を分けた使い方ならばぴったりとフィットするだろう。
モバイルというにはやや厚みがあってやや重いことや、パームレストがないことなど注意点はあるものの、2画面ノートPCとしての完成度はかなり高い。真に「使ってみたい」と思わせる仕上がりになっているといえる。
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