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近付く「20H2」の足音、次の大型アップデートでWindows 10の何が変わるのかWindowsフロントライン(1/2 ページ)

間もなくやってくる次期Windows大型アップデートとなる「20H2」(開発コード名)だが、現行のバージョン「2004」から何が変わるのだろうか。最新動向を見ていこう。

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 「もう次か」という声も聞こえてきそうだが、間もなくWindows 10の次期大型アップデートの季節がやってくる。“実質的な”現行バージョンにあたる「20H1」こと「May 2020 Update(バージョン2004)」の次にあたる「20H2」について、現状で最新版にあたるWindows 10 Insider Previewの「Build 19042.450」が8月11日(米国時間)にWindows Insider Previewの「Beta Channel」に参加するユーザーに提供が開始されている。

 Beta Channelについては以前にレポートした通りだが、従来のSlow Ringにあたる配信チャネルであり、次期アップデートの最新版テストはここで行われる。

 Neowinによれば、さらなる広域テストのために26日時点での最新ビルドである「Build 19041」のISOが同チャネルのユーザー向けに提供開始された他、最新アップデートのテストが最終段階に入ったことを示唆する「Release Preview Channel」への同ビルドの配信も開始されたという。

 つまり、これから1カ月ないし1カ月半ほどは最終テストが続けられ、早ければ9月末から10月前半には企業ユーザーや開発者を対象としたRTM(Release To Manufacturing)相当のビルド提供が行われ、10月から11月にかけて一般ユーザーへの配信がスタートするとみられる。

 今回は、こうしたWindows 10の最新事情に関する話題をお届けしたい。

バージョン2004ならびに20H2への移行を進める事情

 恒例となっているAdDuplexの8月版Windows 10のバージョン別シェアが出ている。それによれば、最大勢力となったのはNovember 2019 Update(1909)の35.5%で、それにMay 2019 Update(1903)が33.5%で続く。トラブルが続いており、最近ではSSDの寿命の縮める問題も報告されたMay 2020 Update(2004)は、24.1%のシェアまで急伸した。

 前回紹介した6月版でのバージョン2004のシェアが7%7月版では11.6%とわずかしか伸びていなかったことを考えれば、2倍以上の伸びとなる。シェアだけでみれば、バージョン1903のユーザーがそのまま2004へとスライドした形だ。

AdDuplex
2020年8月末時点でのWindows 10のバージョン別シェア(出典:AdDuplex)

 とはいえ、問題続きで配信が遅れ続けたOctober 2018 Update(1809)を除けば、歴代のバージョンと比較してもスローペースでの拡大であることには変わりない。

 以前の記事でも触れたが、現在企業向けアカウントを利用していない、全てのWindows 10ユーザーに対しては自動アップデートが推奨されており、基本的に大型アップデートの配信からおよそ1カ月程度で半強制的な移行が行われる。

 一方で企業ユーザーはある程度インストールのタイミングを制御することが可能で、これがプラットフォーム全体で旧バージョンを残す土壌にもなる。次期大型アップデートの20H2について、バージョン2004より前の状態で足踏みすることで、本来20H2で提供されるとみられていた機能やメリットの一部がスポイルされてしまう問題がある。

AdDuplex
2020年8月までのWindows 10のバージョン別シェア推移(出典:AdDuplex)

 Microsoftでは、以前まで「SAC(Semi-Annual Channel)」の名称で提供していた年2回のWindows 10の大型アップデートについて、アップデート自体は年2回を継続するものの、片方を“比較的大きなリフレッシュ”、もう片方を「改善を中心としたアップデート」とする方針を示している。

 今回のケースでいえば20H1ことバージョン2004が前者にあたり、20H2は後者となる。その意味ではあくまで差分という扱いなのだが、バージョン2004での新機能である「アップデートの小容量化と高速化」が“有効化されるのは20H2から”であり、新しいWebブラウザである「Chromium Edge」が“標準で付属”されるのもこの20H2からだ。

 このあたりの詳細はWindows Experience Blogでも触れられているが、単純な機能改善やバグ修正に留まらない20H2の特徴として大きく挙げられるのが前述2つのポイントだ。つまりバージョン2004の適用が遅れるほどアップデート改善のメリットをユーザーは受けづらくなり、MicrosoftやWebアプリケーションの開発者はChromium Edgeへの移行が進まないことで、検証や開発作業の手間が当面維持されることになる。

新型コロナウイルスの影響はまだまだ続く

 Windows 10のバージョン移行に関する話は続く。Microsoftは8月26日(米国時間)にTech Community Blogで紹介した記事の中で、April 2018 Update(バージョン1803)のサービス期間延長を発表している。

 以前のレポートでも触れているが、その前後にあたるバージョン1709とバージョン1809については新型コロナウイルスのまん延による昨今の厳しい情勢を鑑みて、既にWindows 10 EnterpriseとEducationでのサポート期間を半年ほど延長している。

 特にバージョン1809については、全てのWindows 10エディションにおいて2020年11月10日までの延長を適用しており、主に中小企業を中心としたユーザーには移行作業完了までの猶予期間が設けられたはずだ。

Windows 10サポート期間
現在のWindows 10のバージョン別サポート期間。赤枠が今回のアップデート部分

 MicrosoftのWindowsのライフサイクルに関する情報ページによれば、今回の措置によってバージョン1803のWindows 10 EnterpriseならびにEducationのサービス期間が、バージョン1809と同等の2021年5月11日までとなっている。

 本来であれば2020年11月10日で終了していたもので、こちらもまた特例措置での半年延長だ。昨今の事情を鑑みて、2020年12月8日にサービスが終了するバージョン1903が対象に入るかどうかが焦点となるだけで、これ以上の再延長はないと筆者は考える。

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