最小の「iPhone 12 mini」か、最大の「iPhone 12 Pro Max」か 使い比べて確信した選ぶべき理由:本田雅一のクロスオーバーデジタル(3/3 ページ)
「iPhone 12 Pro Max」と「iPhone 12 mini」の実機をいち早く試してみたところ、発売済みの「iPhone 12」「iPhone 12 Pro」とは違った魅力がそこにはあった。出そろったiPhone 12シリーズからどのモデルを選ぶべきかを考える。
12 miniはSEよりコンパクトでバッテリーも長持ち
一方で価格やコンパクトさを重視するならば、iPhone 12 miniは本当に魅力的な存在だ。カメラの画質はiPhone 12と同じ、いやスペックのほとんどが全く同じで、違いは画面サイズを除けば内蔵するバッテリー容量の小ささぐらいだろう。
このサイズ、この軽さを求めるならば、iPhone 12と比較して迷うことはないはずだ。写真で見るよりも、手のひらの中に収めて操作してみると、片手で全ての操作が楽に完結することに安心感を覚える。
iPhone 12 miniのバッテリーは、使用開始当初こそ、さまざまなデータ同期とそれに伴うデータの分析やインデックス作成があるため使用時間が短く感じられる。これはiPhone 12シリーズ共通の強力なSoCに対し、絶対的な搭載バッテリー容量が小さいのだから当たり前だが、処理が落ち着けば普段使いの中でバッテリー消費の中心はディスプレイへと比重が移る。
このため、サイズが小さいPhone 12 miniは消費電力の面でやや有利となり(OLEDはディスプレイの各画素が発光する仕組みであるため)、バッテリー容量の小ささという不利の影響が出にくくなるのだろう。
もちろん、使い方に大きく依存する部分ではあるため、ゲームなどを繰り返し遊んだり、動画を撮影したりといった場面では、より大容量のバッテリーを搭載するiPhone 12、12 Pro、12 Pro Maxの方が有利になるが、通勤・通学や普段の生活の中での使い方ならば、そこは大きく気にしなくてもいい。
第2世代iPhone SEよりもコンパクトかつ軽量でバッテリーが長持ち。それでいて、iPhone 12と同じ性能とカメラ、デザインを有する。グローバルで見て、iPhone 12 miniは日本市場で最も多く売れるモデルになるだろう。
個人的にiPhone 12シリーズから選びたいモデルは?
最後に少し見方を変えて、個人的にどのモデルを選ぶのかという視点で書き進めたい。
全てのモデルを使った上で、もし製品レビューなどを行わない立場ならば、という条件では、iPhone 12 miniを選ぶと思う。iPad ProやAir、あるいはMacBook Proなど大画面の道具は仕事上、必要不可欠なので、スマートフォンには携帯端末としての機能しか求めない。そんな立ち位置から見たとき、最も費用対効果が高く、都内の電車での移動などで便利なのはiPhone 12 miniだと感じるからだ。
ポケットにすっぽりと収まり、手のひらにも馴染むiPhone 12 miniのサイズ感は使い始めてみると、しっくりくる。
Proシリーズとの違いである「LiDAR」スキャナ(赤外線レーザーを用いて対象物との距離や形状を測定。暗所でのカメラのオートフォーカスが高速になる)の有無も、筆者の使い方であれば、夜間にポートレートモードの撮影を行うなどの状況下でなければ、あまり活躍するところがない。
暗所でのオートフォーカスが素早くなったというが、もともと、その部分でのiPhone 12シリーズの性能はよく、大きな不満は同じカメラを搭載する12 miniでも変わらない。ということで、2020年のiPhoneで誰にでもおすすめできる万能モデルはiPhone 12 miniだと思う。
もちろん、予算が許すならば、iPhone 12 Pro Maxと12 miniを併用。通常時はiPhone 12 miniを使い、写真を撮影したり、コンテンツを楽しんだりする際には12 Pro Maxを使うという組み合わせにも魅力は感じるが、とても一般的とはいえない。
一方で「最新モデルの最新カメラを、高性能に楽しみたい」と思うならば、iPhone 12 Proではなく12 Pro Maxの検討を進める。価格の違いもあるが、選ぶポイントは画面サイズだ。内蔵カメラがよいことはいうまでもないが、最も悩むのはその大きさだ。
iPhone 11 Pro Maxと同じ横幅ながら、縦方向のサイズが大きくなったことで、片手で持った際に上の方がやや重く感じる上、角張ったデザインは手のひらへの収まりを少しばかり悪くしており、やはり「少し大きくなった」感は否めない。
それでもiPhone 12 Pro Maxを検討したいのは、やはりカメラのハードウェアが変化したためだ。では、その差はどこまで重要なものなのかに関しては、別途掲載したカメラにフォーカスした記事をご覧いただきたい。
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