“軽い”だけではない! 新型「VAIO Z」を徹底解説(前編)(2/2 ページ)
VAIOノートPCのフラグシップモデルが、約4年ぶりに一新される。カーボン素材を使ったボディーによってハイスペックながらも軽量設計であることが特徴だが、単に「強いCPUを積んだ」「軽いノートPC」というだけではない。この記事では、外観や機構を中心に新モデルの詳細を紹介する。
「画面の180度開閉」と「チルトアップ」を同時に実現
VAIO Zは14型の液晶ディスプレイを搭載している。表面は光の反射や映り込みが少ない非光沢(ノングレア)加工だ。長時間画面を見つめることの多い人にとってはうれしい。
画面解像度はフルHD(1920×1080ピクセル)と4K(3840×2160ピクセル)から選択できる。4K液晶構成は約10億6433万色表示に対応し、HDR(ハイダイナミックレンジ)表示も可能だ。
ノートPC用の4Kパネルはグレア(光沢)加工となっているものが多い。「4Kでノングレアがほしい!」という人にとっては貴重な選択肢の1つとなりそうだ。
最近のVAIOシリーズは、画面を開くとキーボード面に傾斜が付く「チルトアップ」機構を備えている。しかし、その機構の影響で画面を180度開けなかった。対面で座っている相手に画面を見せる際に本体を持ち上げる必要があったのだ。
新しいVAIO Zでは、画面とヒンジの接合部分の構造を見直すことで、キーボードのチルトアップ機構を堅持しつつ、画面を180度開閉できるようになった。ショートカットキー(Ctrl+Alt+上/下キー)をうまく使うことが前提となるが、対面で座っている人に画面を見せやすくなった。
新設計のキーボードは打ち心地は良好 「かな印字なし」がデフォルト
VAIO Zでは、新しい設計のキーボードを搭載している。キーのストロークは約1.5mm、ピッチは約19mmだ(いずれも公称値)。ピッチに変化はないが、ストロークは約0.3mm深くなっている。わずかではあるが、キートップの「くぼみ」も少し深くなった。
実際にキーを打ってみると、最近のVAIOシリーズのキーボードと比べて音が静かになっている。軽量モデルということでキーを打った際の「しなり」が気になる所だが、結構強めにキーを押してもビクともしなかった。ボディーの剛性が十分に確保されているのだろう。
従来モデルとの比較では、タッチパッドの大型化も目に付く。これは、画面解像度の高い4K液晶モデルにおける操作性の向上を目的とした変更だという。クリックボタンは、見た目はもちろん触覚的も操作しやすい独立タイプを引き続き採用している。
直販モデルでは、キー配列を日本語か米国英語(US)から選択できる。最上位構成の「SIGNATURE EDITION」では、使っている本人以外からは見えにくい印字を施した「隠し刻印キーボード」も選べる。
一方、量販店モデルでは通常刻印の日本語キーボードのみ選択できる。しかし、その「通常刻印の日本語キーボード」にはかなの印字がない。人によってはキーボードの設計変更以上に“大きな”変化といえる。
一般的な日本語キーボードには、日本語入力用のキーを幾つか搭載し、文字キーにはかな文字が印字されている。しかし、最近では「ローマ字」で日本語を入力するユーザーが大半を占めており、時折「かな文字の印字が邪魔」という意見も見かける。
そこで一部の国内メーカーは直販限定で「かな印字なし」の日本語キーボードを備えるノートPCを用意するようになった。富士通クライアントコンピューティングが2020年10月に発表した「LIFEBOOK EH」や「LIFEBOOK CH」のように、店頭販売モデルを含めて全モデルを「かな印字なし」キーボードとするノートPCも登場し始めた。
VAIO Zの店頭販売モデルが「かな印字なし」キーボードとしたのは「PC利用者の文字入力環境の変化を受けた取り組み」だという。ローマ字入力が大半を占める“現実”を直視した変化ともいえる。
「私はカナ入力できないと困る!」という人はどうすればいいのか。安心してほしい。直販モデルであれば、かな刻印のある日本語キーボードを選択できる。VAIO Zの購入を希望するカナ入力派の人は、ソニーストアまたはVAIOストアの直販モデルをチェックしよう。
外部ポート類は3つだけ
昨今のVAIOのノートPCは、アナログRGB出力(D-Sub)や有線LANといったいわゆる「レガシーポート」をしっかりと搭載する傾向にあった。それと比べると、新しいVAIO Zはポート類を“思い切って”厳選している。
左側面にはイヤフォン/マイクコンボジャックとThunderbolt 4(USB4)端子を並べ、右側面にはHDMI出力端子とThunderbolt 4(USB4)端子を備えている。5G通信対応モデルでは、背面にnanoSIMスロットが用意される。それ以外の外部ポートは備えていない。レガシーポートだけではなく、現在でも多用されているUSB Type-A端子も省いたことが印象的だ。
Thunderbolt 4端子はUSB Power Delivery(USB PD)による電源入力とDisplayPort Alternate Modeによる映像出力を兼ねている。USB Type-Aで接続する機器を使う場合は、市販の変換コネクターかUSBハブ/ドッキングステーションを用意する必要がある。
VAIOでは、VAIO Zの発売に合わせて純正の「Type-C 4Kマルチモニタードッキングステーション」を発売する。単体での直販価格は2万9500円(税別)だが、直販モデルと同時に購入する場合は2万5000円(同)となる。
このドッキングステーションは正面にイヤフォン/マイクコンボジャックとUSB Type-C 3.1端子(ダウンストリーム)を、背面に電源入力端子、USB 3.1 Type-C端子(PCとの接続用)、DisplayPort出力端子×2、HDMI出力端子、有線LAN端子とUSB 3.1 Type-A端子×2を備える。VAIO Zと組み合わせて使う場合は、映像出力を2ポートまで同時利用できる。
ACアダプターは65W出力のものが付属する。USB PDに準拠しており、左右どちらかのThunderbolt 4端子につないで利用する。このACアダプターはプラグが一体化したウォールマウント式で、非常にコンパクトで持ち運びやすくなっている。
なお、VAIO ZはVAIOノートPCではおなじみの「5Vアシスト充電」に対応しており、USB PDに対応しないUSB電源(モバイルバッテリーなど)を使ってVAIO Zのバッテリーを充電できる。ただし、本体の消費電力によっては「充電しているのにバッテリー残量が減る」という状態になることもあるので注意しよう。
新しいVAIO Z、そしてCore H35プロセッサの実力はいかほどのものだろうか。実機を使ったベンチマークテストの模様は後日、別の記事でお伝えする。楽しみに待っていてほしい。
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