待望のミドルレンジGPU「Radeon RX 6700 XT」の実力をチェック:フルHD/WQHDゲーミングを快適に(2/4 ページ)
間もなく、AMDの新型GPU「Radeon RX 6700 XT」を搭載するグラフィックスカードが日本でも登場する。「Radeon RX 6800はちょっと高い……」と思っている人にとっての福音となるのかどうか、ベンチマークテストを通して実力をチェックしていこう。
Radeon RX 6700 XTのグラフィックス性能を検証
ここからは、Radeon RX 6700 XTの性能をベンチマークテストを通してチェックしていく。
今回のテストでは、Ryzen 9 5900 XT(3.7G〜4.8GHz、12コア24スレッド)を搭載するAMDプラットフォームでテストを実施した。比較対象として、Radeon RX 6800とRadeon RX 6800 XTを搭載するグラフィックスカードも用意した。
グラフィックスドライバーは、RX 6700 XTのみテスト版の「Adrenalin 20.50」を、発売済みの2製品に関しては執筆時の最新公式版の「Adrenalin 21.2.3」を利用している。なお、ベンチマーク結果は全てSAMを有効化した際の数値となる。
3DMark
まずは、3D描画性能を確認できる定番ベンチマークソフト「3DMark」の結果を確認していこう。
DirectX 12ベースの「Time Spy」系のテストでは、RX 6700 XTの総合スコアはTime Spy(フルHD)で11327、Time Spy Extreme(WQHD)で5260と、当然ながらRX 6800/6800 XTを上回ることはない。
Time Spyにおけるスコア差は、RX 6800比で18%前後、RX 6800 XT比で26%前後。負荷の大きくなるTime Spy Extremeでは、スコア差がRX 6800比で20%前後、RX 6800 XT比で35%前後と広がってしまう。従来製品比べると、パフォーマンス面では明確な差がある。
DirectX 11ベースの「Fire Strike」系ベンチマークでも、この傾向は変わらない。負荷の低いFire Strike(フルHD)では10〜20%、4K(3840×2160ピクセル)で描画するFire Strike Ultraでは20〜30%のスコア差が生じる。
フルHDではスコア差はそれほど大きくならないが、解像度を上げるに従ってパフォーマンスに開きが出てくる印象だ。
FF14ベンチマーク/FF15ベンチマーク
実際のゲームをベースにしたベンチマークテストの結果も見てみよう。
最初に実行した「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ」の公式ベンチマークテスト(FF14ベンチマーク)では、描画品質を“最高品質”に設定し、フルHD、WQHD、4Kの3種類の解像度で計測を実施した。
RX 6700 XTは、全ての解像度で「非常に快適」判定となった。負荷の軽いゲームタイトルであれば、4Kでプレイしても差し支えなさそうではある。特にフルHDにおけるスコアを比較してみると、RX 6800 XTとのスコア差は10%未満だ。最近の売れ筋である「フルHD/リフレッシュレート144Hz」というスペックのゲーミングディスプレイと組み合わせで使う場合、RX 6700 XTは極めて手頃な選択肢といえる。
解像度が上がってしまうと上位GPUに少しのスコア差を付けられてしまうが、AMDの言う通り「ハイリフレッシュレートディスプレイを活用できる」だけのスコアは記録できている。
より負荷の高い「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION BENCHMARK」(FF15ベンチマーク)の結果も見てみよう。このテストでは描画品質を最高段階の“高品質”に設定し、フルHD、WQHD、4Kの3種類の解像度で計測を実施した。
フルHDであれば、RX 6700 XTのスコアは1万を超える。これなら、AAAタイトルでもフルHDなら高水準のパフォーマンスを発揮できるはずだ。WQHDになると、高画質設定で高フレームレートを出すのは難しくなる。とはいえ、ゲームのプレイ自体は問題なく行える。
過去のテストでも明らかなことだが、グラフィックスに関する負荷が高くなると、上位GPUとのスコア(パフォーマンス)差は大きくなる。逆にいえば、それほど負荷を高めなければ差は出づらいということでもある。極端に高い解像度やフレームレートを求めなければ、RX 6700 XTは良い選択肢となりそうだ。
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