防じん・防滴+頑丈設計の安心感 小中学生向け2in1タブレットPC「arrows Tab EH」を試す(1/3 ページ)
富士通クライアントコンピューティング(FCCL)が2020年9月に発売した2in1タブレットPC「arrows Tab EH」は、小中学生をメインターゲットに据えている。スペックを見るとエントリークラスだが、ボディーを始めとする設計面でターゲットユーザーへの配慮が見受けられる。筆者の息子(中学生)と娘(高校生)に実際に使ってもらいつつ、その実力をチェックしていこう。
2020年9月10日に富士通クライアントコンピューティング(FCCL)から発売された2in1タブレットPC「arrows Tab EH」は、PCを初めて使う小学生から中学生をターゲットにした製品だ。同社は文教(学校)向けPC市場で高いシェアを誇っており、小中学校でFCCL製PCが導入されているところは多い。このモデルは、同社が富士通を通して学校に納入しているモデルをベースに開発されている。
STEM教育やプログラミング教育に対する関心が高まっていることを受け、PC各社は文教向けPCをベースとしたコンシューマー向け製品を相次いでリリースしている。2018年7月に小学生向けノートPC「LIFEBOOK LH」を発売した同社は、ある意味でその“先駆け”であるともいえる。
arrows Tab EHの想定ユーザーは、先述の通り「小学生から中学生」である。筆者には高校1年生の娘と中学1年生の息子がいるが、娘はターゲットから少し外れ、息子はターゲットの範囲内ということになる。
2人には先日、上位モデルに当たる「LIFEBOOK EH」を試してもらったばかりだが、今回はarrows Tab EHを試してもらい、十分に使いこなせるものか検証していく。
「GIGAスクール構想」の要件を満たしたスペック
先ほども少し触れたが、arrows Tab EHは学校に納入されているモデルをベースに開発されている。具体的にいうと、文部科学省の「GIGAスクール構想」の推奨(最低)スペックを満たした10.1型2in1タブレットPC「ARROWS Tab Q5010/DE」のコンシューマー向け製品という位置付けだ。
使ってみる前に、まずarrows Tab EHの基本スペックを確認していこう。
CPUは「Celeron N4000」(1.1GHz〜2.6GHz、2コア2スレッド)を搭載している。「Gemini Lake」という開発コード名で呼ばれていたCPUで、現行のCoreプロセッサと比べると処理能力の面ではどうしても劣る。ただ、Webブラウザでサイトを閲覧したり、ワープロソフトで文章を作ったり、プレゼンテーションソフトで投影資料を作ったりといった軽めの処理であれば意外とこなせる。
メインメモリは4GBで、これはCPUと合わせてGIGAスクール構想の推奨スペックは満たしている。ただ、家で使うということは、学習用途以外でも活用される可能性もある。それを踏まえると、せめて8GBは欲しかったと思う。
ストレージは、128GBのeMMCを搭載している。容量はまずまずなのだが、Serial ATAポートやPCI Expressバスで接続されるSSDと比べると、どうしても読み書きの速度は遅くなってしまう。それでも、HDDと比べれば高速で、衝撃に強い。読み書きのパフォーマンスについては、この後のベンチマークテストでも触れる。
OSはWindows 10 Pro(64bit版)がプリインストールされている。これも、GIGAスクール構想の推奨スペックに準拠した格好だ。
CPUは2コア2スレッドのCeleron N4000だが、学習指導要領で定められた学習内容なら意外とこなせる。GPUはCPUに統合された「Intel UHD Graphics 600」、eMMCはSanDisk(Western Digital)の「DA4128」を搭載している
防じん・防滴+頑丈ボディーで安心して使える
arrows Tab EHは、子どもが屋外などで使うことを想定し、IP5X等級の防塵(じん)性能とIPX4等級の防滴性能を確保している。また、液晶を取り囲むフレームをあえて太めにして強化ガラスを採用したことで、本体を落下させても液晶ディスプレイが割れにくくなっている。本体の四隅には、滑りにくいラバー素材が使われており、側面や背面にも摩擦力の高いテクスチャーが使われているので、手で持った際も滑りにくい。
ボディーの丈夫さという面では、高さ76cmからの落下試験や振動試験、200kgfの全面加圧試験など、米国防総省の物資調達基準「MIL-STD-810G(MIL規格)」に定める耐衝撃/落下試験をクリアしている。意外とPCをラフに扱いがちな子どもたちが使っても安心だ。
関連記事
- 本当に満足できるのか? 中高生向けモバイルノートPC「LIFEBOOK EH」を中学生と高校生に使わせてみた
富士通クライアントコンピューティング(FCCL)が、高学年の小学生から高校生をターゲットとするモバイルノートPCを発売した。その実力はいかほどのものか、筆者の娘(高校1年生)と息子(中学1年生)に使ってもらいつつ確かめてみよう。 - 富士通クライアントコンピューティングが「小学生向けPC」を開発 何が違う?
富士通クライアントコンピューティングが、Lenovo傘下に移行してから初めての新製品を発表した。教育市場向け製品で培ったノウハウを投入した“小学生向け”のノートPCだという。何が今までと違うのか。【訂正】 - 「どう生きるか」でPCを選ぶ時代に向けて――富士通2020年個人向け冬PC 注目機種を紹介
富士通クライアントコンピューティング(FCCL)が2020年冬商戦向けの新モデルを発表した。あらゆるニーズに応えるべく非常に多岐に渡る新モデルの中から、筆者個人として注目する機種を紹介する。 - 富士通、GIGAスクール対応モデルと同等仕様の10.1型2in1タブレットを一般販売
富士通クライアントコンピューティングは、子供の利用に向く10.1型2in1タブレットPC「arrows Tab EH」の販売を開始する。 - 自信満々のバトンタッチ――富士通クライアントコンピューティングが社長を交代 Lenovo出身の大隈氏が就任
富士通クライアントコンピューティング(FCCL)が、創立以来初めて社長を交代した。新社長は、Lenovoでアジア太平洋地域におけるSMB事業を担当していた大隈健史氏で、前社長のの齋藤邦彰氏は代表権のない取締役会長となる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.