本当に満足できるのか? 中高生向けモバイルノートPC「LIFEBOOK EH」を中学生と高校生に使わせてみた(1/3 ページ)
富士通クライアントコンピューティング(FCCL)が、高学年の小学生から高校生をターゲットとするモバイルノートPCを発売した。その実力はいかほどのものか、筆者の娘(高校1年生)と息子(中学1年生)に使ってもらいつつ確かめてみよう。
2020年12月10日、富士通クライアントコンピューティング(FCCL)13.3型の新型モバイルノートPC「LIFEBOOK EH」を発売した。モバイルノートPCといえばビジネスマンを想定した製品が多いが、LIFEBOOK EHは高学年の小学生から高校生をメインターゲットとしていることが大きな特徴だ。
FCCLのPCは、文教(学校向け)市場において高いシェアを誇る。ここ数年はそのノウハウを投入したコンシューマー製品に注力している。このLIFEBOOK EHもその1つで、2020年9月に発売された2in1タブレット「arrows Tab EH」の上位モデルという位置付けだ。
筆者には高校1年生の娘と中学1年生の息子がいる。娘はガンダムとトレードカードゲーム(TCG)が大好きで、情報システム科に通っている。一方、息子は暇さえあればPCでゲームばかりしている。ある意味でPCにとても良く慣れ親しんでいると言っても良いだろう。
LIFEBOOK EHは、ちょうど娘と息子の年齢層を想定した商品だ。PC慣れしていても十分使いこなせるものなのか、実際に使ってもらいつつ検証しよう。
Windows 10 Home(Sモード)で第11世代Core i3と高速SSDを搭載
本格的にレビューする前に、LIFEBOOK EHの基本スペックをチェックしていこう。
CPUは第11世代の「Core i3-1115G4」(3.0GHz〜4.1GHz、2コア4スレッド)を搭載している。「Tiger Lake」という開発コード名でも知られるこのCPUは現時点における最新世代で、小学校や中学校に導入される学習用端末(タブレットPC)よりも格段に性能は良い。
一方で、コストダウンのためか、メインメモリは4GB(LPDDR4X-4266規格)と少なめなことが気がかりである。GIGAスクール構想における学習用端末の推奨メモリ容量は4GBで、それを満たせば十分という考えもあるのかもしれない。しかし、CPUのスペックを考えると、せめて8GBは搭載してほしかった。
ただ、ストレージはPCI Express接続の128GB SSDを搭載しているので、メインメモリの容量の割にはサクサク動作する。学習用端末やそれをベースとする子ども向けPCは、コストの都合からストレージに低速なeMMCを使うことが多い。これが体感速度に大きな影響を及ぼすのだ。
「メインメモリは少ないけれど、せめてストレージは……」といったメリハリを効かせた結果なのかもしれない。
OSは、Sモードが有効化されたWindows 10 Home(64bit版)がプリインストールされている。Sモードはセキュリティとパフォーマンスに特化したモードで、「Microsoft Store」で提供されているアプリしか利用できず、Webブラウザも「Microsoft Edge」しか利用できない。その代わり、Sモードは余計なアプリが動作しない分動作が軽く、セキュリティ的にも安心度が高い。
ただ、プログラミング学習で使う場合など、Microsoft Storeで提供されていないアプリを使いたい場合はSモードを解除することもできる。ただし、一度Sモードを解除すると、再度有効化することはできない(参考リンク)。
見やすいフルHD液晶と打ちやすいキーボード
ディスプレイは、フルHD(1920×1080ピクセル)の13.3型液晶で、タッチ操作やペン入力には対応していない。キーボード操作に慣れた小学校高学年以上を主なターゲットとしたモデルなので、タッチやペンは不要と考えたのかもしれない。
GIGAスクール構想の学習用端末のディスプレイは、タッチ操作やペン入力に対応する代わりに解像度がWXGA(1280×800ピクセル)程度のものが多い。中学生や高校生になると、レポートなどで長文の文書を書く機会も増える。タッチ操作やペン入力よりも、ディスプレイの解像度を高くした方が利便性が高まるだろう。
キーボードの使いやすさも高く評価できる。日本語配列の86キーで、キーピッチは約19mmを確保している。配列も標準的で、変則的なキーピッチや横方向に圧縮されたキーもない。
特筆すべきは、キートップ印字がアルファベットのみでスッキリしている点だ。かな(カナ)の印字がないため「かな入力」をする人には向かないが、小学校ではキーボード入力をローマ字入力で学ぶ。LIFEBOOK EHの兄弟機で、大学生や若い社会人をターゲットにした「LIFEBOOK CH」のキーボードも同様なので、若年層でカナ入力はほぼいないと割り切ったのだろう。
キータッチは良好で、快適に入力できる。筆者の娘と息子にタイピングさせてみた様子は、後で紹介したい。
関連記事
- 小学校高学年から高校生までに最適なノートPC「LIFEBOOK EH」登場 12月10日発売予定
富士通クライアントコンピューティングの学生向けPCに新モデルが登場。今度は小学校高学年から高校生をターゲットとした製品で、スペックも比較的高めとなっている。 - 富士通CC、有機ELパネル採用モデルも用意した新コンセプト13.3型ノートなど計4シリーズ
富士通クライアントコンピューティングは、2020年冬モデルとなるノートPC計4シリーズの発表を行った。 - 「どう生きるか」でPCを選ぶ時代に向けて――富士通2020年個人向け冬PC 注目機種を紹介
富士通クライアントコンピューティング(FCCL)が2020年冬商戦向けの新モデルを発表した。あらゆるニーズに応えるべく非常に多岐に渡る新モデルの中から、筆者個人として注目する機種を紹介する。 - Lenovo傘下入りから1000日 富士通クライアントコンピューティングの新展開は?
1月25日、富士通クライアントコンピューティング(FCCL)が中国Lenovo、富士通、日本政策投資銀行の3社合弁体制に移行してから1000日目を迎えた。その記念式典の発表内容から、注目すべき項目をピックアップしてお伝えする。 - Lenovoとの合弁はどう? 「兄弟」との関係は? USキーボードモデルは?――富士通クライアントコンピューティング齋藤社長に聞く
富士通のPC事業を分離して発足した富士通クライアントコンピューティング(FCCL)。中国Lenovoの傘下に入って約1年半が経過した同社は現在、どのような状況にあるのか。同社の齋藤邦彰社長に話を聞いた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.