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うわさの「Cloud PC」はどのようなサービスになるのかWindowsフロントライン(1/2 ページ)

たびたび話題に上るMicrosoftが提供すると予想されている、より汎用(はんよう)向けの仮想デスクトップサービス「Cloud PC」。さまざまなキーワードから、現状を読み解いてみた。

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 本連載でも何度か扱ってきたキーワードだが、「Cloud PC」のサービスが再び話題を呼んでいる。ここでの初出は「Surface Neo延期」に関する話題として扱ったもので、Microsoft Azure上で動作する仮想デスクトップ環境である「Windows Virtual Desktop(WVD)」のコンシューマー版のような形でCloud PCのサービスをMicrosoftが準備しているという形で紹介した。

「Cloud PC」とは?

 「手元にPCがあるのに、何でわざわざクラウド上の仮想デスクトップ環境を使う必要があるのか」という意見があるかもしれないが、あればあったで便利なのが仮想デスクトップ環境だ。

 クラウド上に保存されたデスクトップ環境を、好きなPCから好きなタイミングで呼び出せば、いつでも普段のデスクトップ環境を利用できる。個人用途であっても、用途に応じてデスクトップ環境を使い分ければ、情報の“移動”に関わる事故をある程度防げる。

 開発者であれば、テスト的にアプリケーションを動かすためのサンドボックス的な使い方も可能だろう。筆者のように移動が多くてPCを1台しか持ち歩けず、しかもバックアップ対策上の理由からMacBookを選んでいるというユーザーの場合、Boot Campのような仕組みを用いずともWindows環境を出先に持ち歩いていろいろテストが行える。

 このようにMicrosoft Officeほど広い層のユーザーに受け入れられるサービスではないかもしれないが、「あれば便利かもしれない」と考える層は一定数いるのではないかというのが、「クラウド上の仮想デスクトップ環境」だ。ただし、現状のWVDはあくまでエンタープライズ用途(もしくは教育用途)を想定したもので、一般ユーザーが扱うには若干ハードルが高い。

 Amazon(AWS)などが同様のサービスを提供しているが、MicrosoftのWVDの場合は基本的にAzureの料金体系に沿っている。仮想デスクトップ環境の利用には、Microsoft 365 E3/E5またはWindows 10 Enterprise E3/E5のサブスクリプションが必要で(Windows 7またはWindows 10のライセンスが必要なため)、それに加えてAzure上でデスクトップ環境を実行するためのインスタンス立ち上げやネットワーク利用、そして実行中に消費するストレージなどを加味した請求が従量課金で行われる。

 それゆえ、WVDはどちらかといえば「管理の手間も勘案して、全ユーザーのWVD利用時間と実際にローカルPCを展開した場合とで、どちらが得か」を判断した上で導入していく形になる。WVDの料金シミュレーターの計算単位が1000ユーザーや100ユーザー単位であることを考えても、個々人に展開する仕組みというよりは、全社単位でどの程度のユーザーを対象にWVDを配布すれば生産性が向上するのかを判断するものだといえる。

Windows Virtual Desktop
Windows 10(7)の仮想デスクトップ環境を利用するには、対応するライセンスが必要だ
Windows Virtual Desktop
料金シミュレーターの一例。これはOfficeアプリケーション利用を想定した基本的な構成だが、オプション設定などを調整して見積もりを得ることが可能だ

 さて、WVDではなくコンシューマー版といえるCloud PCの話題だが、ZDNetのメアリー・ジョー・フォリー氏による4月20日(米国時間)の報告によれば、同氏の情報源の話としてMicrosoftは2021年6月ないし7月中にも、「Project Deschutes」という開発コード名で呼ばれる同サービスを発表する可能性があるという。

 Microsoft 365サービスの延長としての提供で、WVDで利用ハードルの1つとなっていた従量制の料金プランの代わりに一律料金を設定し、個々のユーザーが自身のデスクトップ環境をクラウド上に持つことが可能になる。

Windows Virtual Desktop
Inspire 2021のページ

 従来、この手のサービスやアプリケーション絡みの話題はInspireまたはIgniteのいずれかのカンファレンスで発表されることが多かったが、ジョー・フォリー氏は7月中旬に開催が予定されているInspireにおいて、Cloud PCのサービスが発表されることを示唆している。

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