IE11の終了に向けて知っておくべきこと:Windowsフロントライン(2/2 ページ)
長年利用されてきた「Internet Explorer 11」が2022年6月15日でサポート終了を向かえる。日本マイクロソフトが記者発表会を行ったので、そこから見えてきたことをまとめた。
利用可能なリソースと今後の対応
このように正式にIE11のリタイアメントが発表されたわけだが、既にその水面下で次に向けた施策が打たれている。1つは楽天などメジャーなサイトには日本マイクロソフト側から「IEを推奨ブラウザから外すように」との依頼を個別に出しており、少なくともIE11のデスクトップアプリケーションでのアクセスを推奨しない状況を作り出している。
実際に「IE11でのアクセスは推奨しません」といった表示を出すかは各サイトの判断に委ねられるが、おそらくそれくらいの対応がないと、ユーザーが重い腰を上げることはないとも思える。
一方で、企業ユーザーがIE利用から抜けられない最大の理由が、社内で利用しているアプリケーションやサービスがIEでの利用が前提となっており、移行したくても移行できないというものだろう。既にサポート対応が終わった製品や納入品も少なからずあると思われ、それらを利用し続けるためにIE11を起動し、外部サイトへのアクセスも惰性で続ける……という状況が生まれていると推測する。
つまり、必要なのは移行支援であり、場合によってはサポート終了ということでアプリケーションを切り捨てる判断を行わなければならないかもしれない。
Windows 7の延長サポート終了ではそれほど苦戦は聞かれなかったものの、現在の日本のIEシェアを鑑みて、これはWindows XP以来の大きな移行トラブルに発展する可能性も考えられる。日本マイクロソフト側から用意されているリソースはいくつかあるが、事例を参照しつつ、とりあえずはデスクトップアプリケーションの利用を中止して、IE modeへの誘導を進めていく方針のようだ。
暫定措置で先送り的な印象はあるものの、「IEサポート終了」を打ち出しつつ、数年の猶予期間をもって次の対策を練ってほしいという流れだ。
長らく続いたIEの時代だが、もはやシェアが1%を切りつつある海外と比較して、日本では(IE modeとして)もう少しだけ長生きすることになる。
ちなみに余談だが、筆者が2011年4月に米ネバダ州ラスベガスで開催されたMix 2011のカンファレンスにおいてIE10の発表を見たが、その後Microsoft自身はインターネット関連の専門カンファレンスを開催しておらず、開発者向けの話題は全て同年にスタートしたBuildに統合してしまった。そのため、実はIE11の発表はイベント形式では行われていない(バンドルとして提供されたのはWindows 8.1向けが最初)。
IE11の登場は、Windows 8の混乱の中で行われていたので、ある意味でほとんど注目されていなかったと筆者は考えている。
実際、IE6の時代から長らくIEの開発に携わってきたディーン・ハチャモヴィッチ氏は、IE11リリース直後の2013年12月に同ブラウザの開発から離れ、間もなくMicrosoftを去っている。
おそらく、IEという技術に終止符を打つことはIE11リリース前から決定されており、互換性路線を推し進めた「Spartan(後のEdge)」へと引き継ぎ、さらにそれを推進したChromium Edgeへと至る道がIE10をリリースした後に描かれていたのではないだろうか。
そう考えると、2013年のリリースから互換性維持のためだけに存在し続けたIE11に10年以上の期間をかけてようやく終止符が打たれようとしているわけで、「お疲れさま」という言葉をかけるべきなのかもしれない。
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