「iPhone 13」「13 Pro」を試して分かったこだわりの違い コンピュテーショナルフォトグラフィーはここまで進化した:本田雅一のクロスオーバーデジタル(6/6 ページ)
これまでiPhoneのファーストインプレッションでは、SoCとその使い方といった視点でコラムを書くことも多かったが、今回の「iPhone 13」世代ばかりはカメラにかなりフォーカスした記事にせざるを得ない。評価用端末を使い始めてすぐにそう感じた。
コンピュテーショナルフォトグラフィーのさらに先
ということで、iPhone 13のProラインは「従来以上にPro」で、極めて強いこだわりのもとに作られている。
今回はOLEDのバックプレーンも違い、結果として最大輝度が異なり、iPhone 13 Proシリーズは1000nitsの表示が行える(iPhone 13と13 miniは最大800nits)。ピーク値では1200nitsなので、照明を落とした環境ならば、HDR対応マスターモニター並みの正確なHDR再現が行える。
それが必要なのかどうかはともかく、そうした最高峰を目指しているのがProラインということなのだろう。
さて、今回のアップデートは今後も続いていくと予想している。Appleが目標に置いているのが本格的なシステムカメラだとすれば、まだまだ十分に熟成は進んでいないと思うからだ。
今世代では写真からスタートしたコンピュテーショナルフォトグラフィーをシネマトグラフに拡張するという試みに挑戦したが、これはiPhone 7 Plusから始めていた光学シミュレーション技術を発展させ、処理スループットを上げた先にあった新しい楽しみ、道具だ。
Appleが本当に「プロ」の道具として、あるいは将来、映像制作のプロを目指す若手クリエイターの萌芽を期待してこの機能を突き詰めていくのであれば、次に期待されるのは、より高い品質のコンピュテーショナルフォトグラフィー技術への進化だ。
被写体の認識、分離の精度がもっと熟成しなければ、本気の作品作りには使えない。プロのようなクリエイティブを作り出す道具というだけではなく、さらに進んで本当にプロの素材に使える領域にまで質を高める。
恐らく次は、トランジスタ密度が大きく向上するTSMCのN3プロセスが使えているはずだ。コンピュテーショナルフォトグラフィーには、まだまだ先のストーリーがあることに期待するとともに、ライバルのGoogleの出方にも注目していきたい。
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