2度あることは3度ある 低価格PCで教育市場奪還を目指すMicrosoftの挑戦:Windowsフロントライン(2/2 ページ)
Microsoftが力を入れている教育市場だが、苦戦が続いている。これを覆すべく取り組まれている動きを見ていこう。
「Windows 11 SE」とは何か
教育市場に向けてはPCのようなハードウェアだけでなく、新しいソフトウェアも準備しているとボーデン氏は報じている。
同氏の記事では「Windows 11 SE」となっているが、主にTenjinのような低価格の教育市場向けPC向けとなるOS SKUとなっており、学校現場のようなネットワーク上で展開するための仕掛けが施された特別版の扱いのようだ。
Windows 10のS modeとの違いが気になるが、おそらくはIntuneのようなMDMの管理ソリューションとAzure ADを組み合わせて、ポリシー制御やアプリケーション(コンテンツ)のインストールをリモートで行うもので、昨今のリモート学習ニーズと合わせ、クラウド経由でより柔軟に管理することを主眼に入れていると予想する。
ZDNetのメアリー・ジョー・フォリー氏が、2021年6月に「Windows 11 SE」というエディションの存在を指摘しており、話自体は荒唐無稽のものではないようだ。
また同氏はMicrosoft 365 A1の「最大6年間でデバイスあたり38ドル」という新ライセンス価格の存在にも触れており、ハードウェアのみならずクラウドを介した教育市場を明確にターゲットにしたソフトウェアを拡充しつつあることが分かる。
とはいえ、軸となるハードウェアがなければせっかくのソフトウェアも生きないわけで、その点でTenjinは同社の戦略をドライブするための有力な選択肢になり得る。
現状、既に「Back to School」の商戦時期を過ぎており、TenjinならびにWindows 11 SEの投入時期を予測することは困難だが、このタイミングで情報が出そろいつつあることから推察して、年内には何らかのアクションがある可能性が高くなったと筆者は考える。興味ある人は引き続きウォッチしていてほしい。
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